こちらは、NASAの探査機「サイキ(Psyche)」が目指している小惑星「プシケ(16 Psyche)」の想像図です。


【▲ 小惑星プシケ(16 Psyche)の想像図(Credit: SSL/ASU/P. Rubin/NASA/JPL-Caltech)】

プシケと言えば、かつてその大部分が鉄やニッケルなどの金属で構成されていると考えられ、その価値は「10,000,000,000,000,000,000ドル(1000京ドル)」に達すると試算され、2017年ごろに大きな話題となりました。これは世界のGDP合計を遥かに上回る天文学的な数字です。(※)


※…soraeでは2020年11月に特集しました。1000京ドルの価値に関しては、含有金属を地球上の価格で単純換算した「試算」であり、実際の採掘可能性や経済的価値を示すものではありません。


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しかし、近年の研究ではそのイメージに変化が生じています。2021年に発表された研究では、プシケは純粋な金属の塊というよりも、金属に加えてケイ酸塩鉱物や炭素質物質が混在し、内部に多くの隙間を持つ(多孔質な)天体である可能性が指摘されました。研究では、金属82.5%に対し、低鉄パイロキシン7%、炭素質コンドライト10.5%という組成(重量比)が推測されており、冒頭の画像のような「金属と岩質成分が入り混じった姿」が、現在の有力な予想のひとつとなっています。


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2026年現在の探査機「サイキ」の状況

2023年10月13日にケネディ宇宙センターから打ち上げられたサイキは、現在、小惑星帯(メインベルト)への長い旅路の途中にあります。2026年5月には火星に接近し、ミッションの大きな節目となる火星スイングバイを実施する予定です。火星の重力を利用して加速し、目的地の小惑星プシケへと向かう最終的な軌道に乗ります。


当初、探査機は2026年に到着する計画でしたが、打ち上げの延期を経て、現在は、2029年7月下旬に小惑星プシケの重力に捕獲され、8月から本格的な観測運用を開始する予定です。


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私たちがその「真の姿」を目の当たりにするまで、あと約3年半。プシケはかつての惑星の「コア(核)」がむき出しになったものなのか、それとも複数の天体衝突を経て形成されたラブルパイル天体なのか…探査機サイキが届けてくれる答えに、世界中の天文学者が期待を寄せています。


【▲ NASAの小惑星探査機「サイキ」の想像図(Credit: NASA/JPL-Caltech/ASU)】

サイキのミッションのタイムライン

2023年10月13日:打ち上げ成功2023年12月:深宇宙光通信(DSOC)の試験成功2025年5月〜6月:推進システムの圧力低下への対応(バックアップ系へ切替、フル運用再開)2025年9月:恒星間天体「3I/ATLAS」の観測(追跡)2026年5月(予定):火星スイングバイの実施2029年8月(予定):小惑星プシケに到着

 


※地上から観測について、2026年1月現在は観測が非常に難しい状態であることを確認しましたので、該当部分を削除いたしました(修正日時:1月11日10時)


編集/sorae編集部


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