工事現場などに生コンクリート(生コン)を運ぶために走っているミキサー車は、いつも後部のドラムがぐるぐると回っています。なぜ回転する必要があるのでしょうか。

いつもぐるぐる…ミキサー車のヒミツ

 工事現場などに生コンクリート(生コン)を運ぶために走っているミキサー車は、いつも後部のドラムがぐるぐると回っています。なぜかというと、コンクリートの性質が大きく関わっています。


ミキサー車のイメージ(画像:写真AC)。

 コンクリートはセメントと粗骨材(砂利)、細骨材(砂)と水を混ぜて作ります。セメントと水が反応し、化合物ができるとそれが砂利や砂と結びつき、まだ柔らかい状態のコンクリートである生コンが作られます。

 この生コンの状態を維持するのには、絶えずその化合物をかき混ぜる必要があります。材料が分離してしまうからです。
 
 また、生コンは“鮮度”も重要です。時間が経つと生コンが固まり始め、品質が損なわれてしまうのです。そのため、工場で製造されてから現場まで、90分から120分以内(外気温により異なる)に輸送するという決まりがあります。そこへ着くころに最高の品種となる生コンを提供するために、ミキサー車は中身をゆっくり混ぜ合わせながら現場へと向かいます。

 ドラムの回転数は多くの場合は1分間に1.5回転ほどですが、13回転と高速で回すこともあります。高速回転させる機能は、工場ではなくミキサー車の内部で材料を混ぜ合わせてコンクリートを作る際に使用します。

 ただ、2023年現在の土木工事では品質管理がかなり厳しくなっており、工場で練り混ぜを行ってから持って行く、JIS規格で定められた「レディーミクストコンクリート」を使用することがほとんど。そのため、ミキサー車がコンクリートを作る機能を持っていても、あまり利用されていないようです。

 実は「ミキサー車」という呼び方は、厳密には“生コンを作るクルマ”を指し、コンクリートを運搬する車両は本来、「アジテータ車」や「レディミクスト車」などと呼ばれます。ただ、一般的にほとんど区別されていません。

 ちなみに、コンクリートと同じく砂利と砂を原料にアスファルトを混ぜて路面などに使うアスファルト合材に関しては、もっと品質管理が容易で、平トラックでも輸送が可能です。

※一部修正しました(12月2日18時15分)。