「立ち止まらず歩いてください!」

 ハロウィン本番を迎えた10月31日の23時頃、渋谷センター街周辺を訪れると、警察官が繰り返しアナウンスしていた。しかし、その声は届いていないのか、集まった大勢の若者たちが、路上に立ち止まっては写真を撮っていた。

 そんななかひときわ目を引いたのが、「下着姿」と思えるほど肌を大胆に露出した女性たちだ。その数は1人や2人ではなく、彼女たちにカメラを向ける男性たちも少なくない。

「下着ハロウィン」とでもいうべきこの状況で思い出されるのが、10月中旬の「下着ユニバ」騒動だ。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)で女性インフルエンサーが過度な露出コスプレをして、SNSに写真を投稿したことで、「場にそぐわない」とネット上で物議を醸したのだ。

 これを受け、USJの運営会社は《公序良俗に反する服装やパークにふさわしくない過度な露出はお断り、退場いただく場合があります》とツイッターにて注意喚起をおこなう事態に。

 それから数週間を経て、今度は渋谷に大量出現した「下着ハロウィン」の女性たち。蛍光色の覆面とビキニ姿に身を包んだ30代女性に話を聞くと、笑いながらこう答えた。

「この格好ですか? 海外のアーティストのマネをしました。露出が高いから、たくさん盗撮されているけど、まったく気にならないですね(笑)。自分のしたい格好を楽しんでいるって感じです」

 また、友人と埼玉県から来たという18歳の女子大生は、「オオカミの仮装です」といって楽しそうに語る。

「初めて渋谷ハロウィンに来ました! コロナ禍で高校時代は全然楽しめなかったので、はっちゃけたいなっていうのが正直な感想かな。この仮装にしたのは可愛いから(笑)。露出は多いけど、そこは気にしてないです。たくさん声をかけられますけど、ナンパ狙いでこの格好をしているわけではないですよ(笑)」

 一方、3人と連絡先を交換したと話す24歳の女性留学生も。

「私は中国から来ていて、2日連続で渋谷ハロウィンに来ました。コスプレは可愛いから着ています。今日は3人の男性と連絡先を交換しました。とても楽しいです!」

 この日の東京の最低気温は10.3度。「下着姿」では寒かろうに、秋の寒空をものともしない笑顔を見せていた。10月31日の渋谷には、コロナ禍で失った「非日常感」を “一肌脱いで” 取り戻したい人々が集まっていたようだ。