サウンド・オブ・ミュージックがアルツハイマーに効く−米研究

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あるアメリカの老人ホームで行われた4カ月にわたる実験の結果、サウンド・オブ・ミュージックやオズの魔法使いなどのミュージカルのヒット曲を歌うことで認知症が改善されたそうです。フィンランドで行われた10週間の実験でも効果がみられています。

アメリカの東海岸にある老人ホームで行われた実験では、認知症の患者を、歌を歌うグループと聞くだけのグループに分けて比較したところ、認識能力と線描能力のテストや実験の終わりに実施された生活満足度のアンケートで、歌ったグループにより良い結果が見られました。

バージニア州のジョージ・メイソン大学の神経科学者のジェーン・フリンさんは、歌を歌っていない施設は導入を検討すべきだと言います。

「実験では認知症が進行して隔離病棟にいる患者にも効果がありました。つまりあきらめてはいけないということです。何か彼らを引き付けることを行うのが重要であり、なにより歌うのは安くて簡単、楽しいからです。」

この実験では、軽い認知症患者と重い認知症患者に分けて、週に50分3回のセッションを4カ月にわたり実施しました。それぞれのグループの半数は歌い、残りの半数は参加して歌を聞くだけ。曲目は患者が親しみやすいようミュージカルから往年のヒット曲を選ばれました。

実験の前後に行われたテストの結果、歌っていたグループでは認識能力の向上が見られ、また特定の時間を表す時計の針を書く問題でも高得点が出ました。

記憶の喪失や脳の機能低下などが認知症の症状ですが、しばしば歌の歌詞やメロディーを覚える能力には著しいものがあります。「多くの人は歌を歌って育っており、その記憶は長期にわたって残るものです。歌うことでその記憶がよみがえることがあります」とフリンさんは話しています。

また、この研究はこの分野での他の調査にも裏打ちされています。ヘルシンキ大学の研究者が、認知症患者における10週間の歌唱コースの効果を研究した結果、歌を歌ったり聞いたりすることで気分や方向感覚が良くなる効果がありました。

イギリスのアルツハイマー・ソサエティでは定期的にグループで歌うセッションを開催しています。広報担当者は「多くの記憶を取り戻すことは難しくても、たとえ短期間でも音楽で何か思い出すことはあります。また、歌うことで認知症の人がコミュニケーションをとったり楽しい気分になったりすることができます」と語っています。

確かにメロディーを聞いて何か思い出すことってありますよね。今のうちにたくさん歌を歌っておきましょう!

参考:Alzheimer’s patients’ brains boosted by belting out Sound of Music
http://www.theguardian.com/science/2013/nov/11/alzheimers-patients-brains-boosted-sound-music-singing