左から吹越満、三池崇史、園子温
29日公開の映画『冷たい熱帯魚』で主演を務める俳優の吹越満と園子温監督が、このほど、東京ミッドタウンで行われたトークイベント「第2回三池崇史監督presents大人だけの空間」に出席し、映画監督の三池崇史と過激トークを展開した。

酒を飲みながらのトークは、映画『冷たい熱帯魚』の制作秘話や、園監督の三池監督への思いなど、多岐にわたった。

映画『冷たい熱帯魚』を作るきっかけ


三池崇史(以降、三池):この映画のスタートは?

園子温(以降、園):もともとは、愛犬家殺人事件をリサーチして作った映画なんですけど、ほぼ忠実に作ってありつつ、「事実は小説より奇なり」といいますが、事実って、起承転ぐらいまではいいんですが、結が、いつもだらしないんですよ。好き勝手やって、最後はだらだらする。結くらいはフィクションにしたいと思っていた。

事実は、事実なりのだらしなさがある。すっぱいものを舐めてきた人が、ああなったらなと思うのが映画だと思うんですよ。何話してるんだっけ?

日活の千葉プロデューサーが愛犬家殺人事件を映画にしてくれと言ったので、しただけです。

初対面、三池崇史への思い


:三池崇史っていうのは、俺にとって、すごい尊敬する人だった。商業映画をやる前から、Vシネを見まくっていた。こいつはすごいなと。清(黒沢)と三池はどっちが追い抜くのかなと思っていた。10年前に商業映画に出て行ったときに、三池を潰せば何とかなると思っていた。

偶然決まったキャスティング


吹越満(以降、吹越):『冷たい熱帯魚』のオファーを受けたときは、本当にうれしかったんです。

:下北の喫茶店で、キャスティングに悩んでたら、吹越さんが入ってきたので、「空いてる?」って聞いたら、「空いてるよ」って言われて、それで決まっちゃった。俺、三池の映画見ているとき、いい加減な真面目を感じるんだよね。いい加減さが面白いっていうのを信じている。

三池:普通は監督より先に、企画が決まっている。データ的にこの人が出ているほうがヒットするというのが、キャスティングの核にあるんです。広く浅く、みんなに気に入られているというのが、主役の条件になるんです。この映画を見ると、偶然の出会いが、本当に(役)そのものなんですよ。

映画『冷たい熱帯魚』の見方


:吹越さんが一般的な日本人。

吹越:映画を見るときの入門編としては、僕を通して見るのがいい。

:吹越さんも詐欺師に通じる道もあるんで、今後は、吹越さんみたいな人を見たら、詐欺師と思ったほうがいいと思う。不動産ブローカーでこういう人を見かけたことがある。

三池:吹越さんの役が、唯一、観客にとって救いなんですよ。シンパシーを感じている時に、覚醒する。その瞬間って、映画の奇跡のよう。起承転結があって、パッケージとしてよく出来たすごさも映画には必要なんでしょうけど、この作品はどこか荒削りで、瞬間瞬間が光っている。

殴られ、血を流して書いた台本


:三池さんに勝っちゃったかなと思ったのは、クランクイン前に、朝帰ったら、フィアンセがいなくなっちゃったんですよ。家具も全部なくなっていたんですよ。

当時はひどい状態で、おまわりさんを見たら「捕まえて」と言っていたんですよ。人を殺すかも知れない状況にあるので。その時に、クランクインがあって、グッドタイミングでした。

吹越:1月4日からリハーサルしたんですけど、「あけましておめでとうございます」の時に、園さんの眉がなかったんですよ。しかも青タンを作っていて、明らかに誰かに殴られているんですよ。何があったんだろうと思った。

:当時、歌舞伎町のウィークリーマンションに住んでいて、毎日、人に殴られてナンボだと思っていたので、ボコボコされていた。変なホストにケンカを売るんですよ。「お前なんで、そんなに貧乏臭いんだよ」って言うと、「何が悪いんだよ」と、向こうが殴ってくれるんで、血を出して帰って台本を書いていたんです。それが『冷たい熱帯魚』なんですよ。

三池崇史監督の『十三人の刺客』と共に、第67回ヴェネツィア国際映画祭で絶賛された問題作、映画『冷たい熱帯魚』は、1月29日よりテアトル新宿ほか全国順次ロードショー。

■あらすじ
家庭不和を抱えつつも慎ましく小さな熱帯魚店を営む社本(吹越満)は、娘の万引き事件をきっかけに同業者の村田(でんでん)夫妻と知り合う。人のよさそうな村田の高級熱帯魚の輸入を手伝うことになった社本は、予想もしなかった破滅へと引きずり込まれていく…。

■関連リンク
園子温監督作品「冷たい熱帯魚」公式サイト