親の介護で悩むあなたへ。罪悪感を手放す「境界線(バウンダリー)」の考え方
「親の介護は、子どもが最後まで自宅ですべき」という世間の目に縛られ、心も体も限界を迎えていませんか?介護サービスや施設を頼ることに冷たさや罪悪感を抱くのは、バウンダリーが混乱している証拠です。
ソーシャルワーカーとして46年わたり家族支援に携わってきた長谷川俊雄先生に、お互いの尊厳を守り、共倒れを防ぐために介護のプロの力を上手に借りる「愛のある境界線(バウンダリー)」の引き方についてお話をお聞きします。
――親の介護で「施設に預けるのは冷たいのではないか」「かわいそう」と罪悪感を抱え、心身ともに限界まで疲れ果ててしまう人がいます。自分を犠牲にしない適切な距離の取り方はありますか?
長谷川先生:これは「親の介護は自宅ですべき」という、根拠のない社会的通念、つまり「ディスコース(決めつけ)」や世間の価値観に縛られている状態ですね。自分と社会の価値観の間に境界線(バウンダリー)が引けていない状態です。感情と責任の境界線が混乱している証拠です。親の介護をしたいけれど、現実的には難しい。そんな葛藤に直面したとしても、仕事を辞めてまで一人で介護を抱え込む必要はありません
――罪悪感から抜け出すには、どうすればよいでしょうか?
長谷川先生:ぜひ「ケアマネージャーなど第三者の評価」を求めてください。一人で抱え込んでいると視野が狭くなってしまいますが、専門家に相談することで自分の状況を相対化できます。「みんな同じように専門サービスを頼りながら役割を分担しているんだ」と現実を知るだけでも、罪悪感は驚くほど和らぎますよ。
―― 専門家に頼ることは、悪いことではないのですね。
長谷川先生:もちろんです。いちばん避けるべきなのは、無理をしてお互いが「共倒れ」になってしまうことです。
ケアマネージャーさんは共倒れを防ぐために、介護保険の点数をフルに使ってプランを立ててくれます。これは親御さん自身がこれまでの長い人生の中で納めてきた保険料という、大切な「権利」です。権利を行使してプロに頼ることは、当然の選択です。
――個人で責任を背負いすぎないことが大切ですね
長谷川先生:その通りです。例えば、平日はデイサービスや訪問介護、ショートステイなどの介護サービスを必要に応じて活用し、自分自身の生活や仕事を守る。そして、一緒に過ごせる時間は心に余裕を持って向き合う。すべてを一人で抱え込まないからこそ、お互いが笑顔で過ごせる時間が生まれます。これも、お互いの尊厳を守るための健全なバウンダリーの引き方です。
介護負担を他人に頼ることは冷たさではなく、家族全員が笑顔で暮らすための「愛のある境界線(バウンダリー)の選択」なんです。

