「かなり手ごわい」V奪回への切り札となるか…巨人に加わった新戦力を近鉄OB佐野慈紀氏が分析「相手チームからすれば、非常に不気味な存在になるだろう」

写真拡大 (全2枚)

小笠原はチーム合流後、安定したパフォーマンスが光る(C)産経新聞社

 野球評論家の佐野慈紀氏が現在の野球界を独自の視点で考察する「シゲキ的球論」。今回は巨人、阪神が一騎打ちの様相を見せ始めたセ・リーグペナントレースの行方を占う。

【動画】緩急をつけた小笠原の圧巻投球シーン

 前半戦最終3連戦は敵地甲子園で巨人が阪神に勝ち越し終了した。初戦は延長戦に入りドラフト5位ルーキーの小浜佑斗がプロ初ホームラン、虎キラーとなっているボビー・ダルベックの一発が飛び出すなど、巨人の勢いも目立った。

 ともに同率首位ターンとなった2球団の後半戦から再び始まる戦いに関して佐野氏がキーマンにあげたのは、新加入となった左腕、小笠原慎之介だった。

 阪神戦では7回1失点。移籍後初勝利となった中日戦でも6回3安打無失点と安定したパフォーマンスが光った。またメジャー帰りの小笠原といえば、中日時代はパワーピッチングが持ち味だったが、ときに荒れ球も目立った。しかし再びNPBに復帰すると、ストライク先行、チェンジアップとナックルカーブをコーナーに投げ分ける制球の良さが目立つ。

 今季はまだ2登板ながら、13イニングを投げ1失点、防御率0.69とチームの期待に応えるパフォーマンスを示している中、佐野氏は小笠原の投球について「かなり手強い。相手チームからすれば、非常に不気味な存在になるだろう」ときっぱり。

 特にチーム合流2試合目となった26日の阪神戦のマウンドを「全球団に対して大きなアピールができた」と評価。主砲、佐藤輝明には1発を浴びながら、主軸の森下翔太からは3三振を奪った。走者を背負いながら、粘りのピッチングで最少失点に抑えた。

 その強さの要因は、アメリカで学んだ技術的なアップデートにあるという。「チェンジアップの精度が上がっているし、何より日本にいた時よりもボールの強さが増している。投球のバリエーションが明らかに増えた」としながら「アメリカで取り組んできたことが、何一つ無駄になっていない」と分析。

 「彼はメジャーの舞台では球のスピード自体はそこまであるタイプではないので、1つ1つの球種の精度を上げないとアメリカでは通用しない。それを自覚してきっちり自分のメカニクスをアップデートしてきた」ことが大きかったとした。

 小笠原のパフォーマンスには橋上秀樹監督代行も合格点を与え、後半戦も先発ローテーションで回っていくとみられる。チームには竹丸和幸、井上温大とこちらも安定したピッチングの若手左腕がいる中で、左3枚が大事な後半戦でどう他球団に効果を発揮していくのか。

 再び日本球界に戻ってきた左腕は後半戦も注目の存在となりそうだ。

【さの・しげき】

1968年4月30日生まれ。愛媛県出身。1991年に近鉄バファローズ(当時)に入団。卓越したコントロールを武器に中継ぎ投手の筆頭格として活躍。中継ぎ投手としては初の1億円プレーヤーとなる。近年は糖尿病の影響により右腕を切断。著書「右腕を失った野球人」では様々な思いをつづっている。