クラフトビール大国・埼玉へ。東京から電車で行ける日帰り旅で、ブルワリー巡り
実は埼玉が県内に約30のブルワリーを有するクラフトビール大国なのをご存知でしょうか。全国に缶やボトルを流通させているブルワリーがあれば、約1坪のマイクロなところもある。で、味も多種多様。今、埼玉で飲めるビールが面白いんです。そこで今回は、醸造所にレストランやタップルームを併設する“おいしいブルワリー”をご紹介します。東京から電車でスイーッと行けちゃう日帰りビール旅。ブルワリー間のはしごも楽しめますよ!
Case 1/西武鉄道 飯能駅:原点へのリスペクト エキゾチックな1杯をグビッ!『【Brewery】カールヴァーン ブルワリー/【Restaurant】カールヴァーンブルワリー&レストラン』@飯能市
池袋から西武線に揺られて約1時間。駅から伸びる道をてくてく行くと里山の風景の中に1軒の館が建っていた。
入口をくぐると広がるのはアラビアンナイトの世界観。
なぜ?と疑問が頭をよぎるけれど、ビールの発祥はメソポタミア文明でピラミッド建築時には労働者のエネルギー源でもあったドリンク。
館内で醸されるそれらも古代小麦のスペルトを使ったヴァイツェンにアレキサンドリアのライムピールが香るエールなど歴史や土地の背景を忍ばせている。
食事もエジプトから地中海にかけての料理が中心で、エキゾチックな味わいのビールとスムーズにマッチする。
ビアフライト 1870円、カリフラワーのハリッサ・タジンランチセット 2970円

『カールヴァーン ブルワリー/カールヴァーンブルワリー&レストラン』(手前)ビアフライト 1870円 レギュラービール4種のセット。本文中で紹介した「アラビアン ライム・エール」や「スペルト・ヴァイツェン」のほか、エジプト産コリアンダーと飯能産の柚子が香る「カールヴァーン・ベルジャンホワイト」、アンデス山麓のカカオニブを使った「アンデスカカオ・スタウト」を飲み比べできる。(奥)カリフラワーのハリッサ・タジンランチセット 2970円 チュニジアの万能調味料ハリッサのピリリとした辛さとニンニクの香りが、カリフラワーなどたっぷり入った野菜の甘みを引き立てる。セットはタジン&パンのほか、食後のドリンク付き
さらに入間川の渓谷という絶好のロケーション。新緑の木々に包まれながら、のんびりビールの原点に浸るひと時を。
【おみやげビールはコレ!】アラビアンライム・エール 770円

『カールヴァーン ブルワリー/カールヴァーンブルワリー&レストラン』アラビアンライム・エール 770円
アレキサンドリアのライムピールにカルダモンをミックスし、爽やかでありつつも官能的な香りも持つゴールデンエールに仕上げている。レギュラービールは全種類ボトルでも販売する。

『カールヴァーン ブルワリー/カールヴァーンブルワリー&レストラン』館内はアラビア装飾と明治の洋館建築が融合した造り。写真奥はタンクが並ぶブルワリーエリア。窓の外にはこれからの時期にぴったりの広々としたテラス席も設置
飯能市『カールヴァーン ブルワリー/カールヴァーンブルワリー&レストラン』
[店名]『カールヴァーン ブルワリー/カールヴァーンブルワリー&レストラン』
[住所]埼玉県飯能市大河原32-1
[電話]042-973-7000
[営業時間]11時半〜16時半(ランチは14時半LO)※月・火はランチのみ、17時〜21時(20時LO)※土は〜22時(21時LO)
[休日]水
[交通]西武池袋線飯能駅南口から徒歩12分
≪ハシゴするなら次店へ≫
Case 2/東武鉄道・JR 小川町駅:旅すればこそ!畑から育てたビールをその土地で味わう『【Brewery】麦雑穀工房(ざっこくこうぼう)/【Restaurant】麦雑穀工房タップルーム』@小川町
太陽の光を受けて伸びやかに育った麦畑。それが看板ビールの「雑穀ヴァイツェン」を飲んだ時、頭に浮かんだイメージだ。
工房がある埼玉県・小川町は、有機農業の先進地域。原料となるライ麦やキビ、アワなどを自家栽培でまかなうのも他所との大きな違い。
さらにハーブや果実も近隣の農家から仕入れ、麦カスも再び肥料として畑へ。町の農業の輪をビールがハブになって循環させていた。
この日、醸造所の2階にあるタップルームのビアタップは9種類。
雑穀ヴァイツェン(パイント)1000円、おがわポーター(ハーフ)750円

『麦雑穀工房/麦雑穀工房タップルーム』(左)雑穀ヴァイツェン(パイント)1000円 焼きたてのパンのような素朴な香ばしさが持ち味(右)おがわポーター(ハーフ)750円 焙煎麦芽のロースト香が膨らみつつ後味はスッキリ。温度によって変わる表情も楽しみたい。どちらもレギュラービール
「イロドリ」はローズマリーの香りがキュートだし、「おがわポーター」は色合いから想像するよりずっと爽やかな苦みに舌が包み込まれた。
都内へ帰る東上線の中でも、ここで出合ったビールの余韻に興奮が止まらない。
【おみやげビールはコレ!】イロドリセゾン・みかん 650円

『麦雑穀工房/麦雑穀工房タップルーム』イロドリセゾン・みかん 650円
埼玉・富士見市産の温州みかん、かぼす、花柚子を使ったセゾン。和の柑橘らしいおだやかな香りがあり、酸味、甘みのバランスも絶妙。熊谷のデザイナーによる缶のビジュアルも印象的。

『麦雑穀工房/麦雑穀工房タップルーム』醸造所の2階にあるタップルーム。平日は近隣の住民、週末は遠方の客で賑わう
小川町『麦雑穀工房/麦雑穀工房タップルーム』
[店名]『麦雑穀工房/麦雑穀工房ターンブルワリー&レストラン』
[住所]埼玉県比企郡小川町大塚88-6
[電話]0493-72-5673
[営業時間]15時〜18時半LO※土・日・祝は11時〜
[休日]月・火(祝は営業し翌休)
[交通]東武東上線ほか小川町駅から徒歩5分
Case 3/東武鉄道・JR 川越駅:埼玉クラフトの先駆けのビールを中華と共にプハッ!『【Brewery】COEDO BREWERY/【Restaurant】COEDO BREWERY THE RESTAURANT(コエド ブルワリー ザ レストラン)』@川越市
産声をあげたのが今から30年も前。最初は埼玉県・川越観光土産の地ビールだった。その後、ドイツからブラウマイスターを招聘しブラッシュアップを重ね、今や埼玉はもちろん全国にもその名が知られる存在に。
そんなブルワリーの造りたての1杯を食事しながら楽しめるのが、駅前商業施設にあるこちら。
ベテラン料理長が作る中華は全体を品よくまとめながら、醤や薬膳スパイスで味わいや香りに立体感を持たせることでビールに寄り添わせている。
そしてここでしか飲めないビールが「The ハウスエール」。
The ハウスエール(M)810円、よだれ鶏 〜四川家庭風〜 580円、スペアリブのチリガーリック炒め 2000円

『COEDO BREWERY/COEDO BREWERY THE RESTAURANT』(左)The ハウスエール(M)810円、(奥)よだれ鶏 〜四川家庭風〜 580円 しっとり仕上げた口当たりからラー油の香ばしさが広がる。(手前)スペアリブのチリガーリック炒め 2000円 下茹でしてから揚げた身はホロホロ。パンチのある味付けがビールを呼ぶ
すぐ隣の工房で醸されたフレッシュ&スムースな飲み口に埼玉県産の柚子のアロマがふわりと広がる清涼感。
併設する「COEDO KIOSK」では、そんな樽生を量り売りで購入できる。
【おみやげビールはコレ!】毬花 650円

『COEDO BREWERY/COEDO BREWERY THE RESTAURANT』毬花 650円
毬花=ホップの花。名前の通り柑橘やトロピカルな香りが特徴のホップをふんだんに使用しつつもアルコールは控えめ。クリアな喉越しからシャープな苦みも広がる洗練された味わい。

『COEDO BREWERY/COEDO BREWERY THE RESTAURANT』
川越市『COEDO BREWERY/COEDO BREWERY THE RESTAURANT』
[店名]『COEDO BREWERY/COEDO BREWERY THE RESTAURANT』
[住所]埼玉県川越市脇田本町8-1 U_PLACE1階
[電話]049-265-7857
[営業時間]11時半〜15時半(15時LO)、17時〜22時(21時LO)
[休日]無休
[交通]JR埼京線ほか川越駅西口から徒歩3分
Case 4/JR 明覚駅:音楽×ビール アイデアを共有した一期一会の味『【Brewery】Teenage Brewing(ティーンエイジ ブルーイング)/【Restaurant】Taproom“bekkan”』@ときがわ町
降り立ったのは埼玉県・八高線の明覚駅。行き交う人もまばらな無人駅にやってきたのは、自由で現代的。斬新だけど、どこか洗練されたビールに出合うため。
このブルワリーを立ち上げた代表の森さんはミュージシャンでもあり、醸造を始めたのは2023年からとまだ新顔。とはいえその独創性はすでに確立された存在だ。
彼の頭の中では曲作りとビール醸造は繋がっていて、音と音を掛け合わせるように原料を組み合わせていく。それもセオリー通りでなく、ちょっとハズしたアレンジで。
そうやって生まれた予定調和でない味わいや香りに飲み手は引き込まれてしまうのだ。
Come And Play In The Milky Night(R)1190円、Strange Days(R)1190円

『Teenage Brewing/Taproom“bekkan”』(左)Come And Play In The Milky Night(R)1190円 リンゴをベースにしたスムージーサワーエール。シナモンやソフトクリームの風味で後味はビックリするほどアップルパイ!(右)Strange Days(R)1190円 副原料のほうじ茶やカカオ、チェリーなどの香りが次々にやってきて個性的な調和を生む
しかも造られるビールのレシピはほとんどが一期一会。だから次のリリースを楽しみに何度もこんな旅に出たくなる。
【おみやげビールはコレ!】The Minimal 650円

『Teenage Brewing/Taproom“bekkan”』【おみやげビールはコレ!】The Minimal 650円
セカンドブランド「Nobody Brewing」の埼玉限定ビール。ピルスナーらしい麦芽の旨みがありながらホップもしっかり効いている。クラフトビールの入門編として最適の一本だ。

『Teenage Brewing/Taproom“bekkan”』
ときがわ町『Teenage Brewing/Taproom“bekkan”』
[店名]『Teenage Brewing/Taproom“bekkan”』
[住所]埼玉県比企郡ときがわ町馬場435-1
[電話]0493-81-5308
[営業時間]11時〜16時半(16時LO)※土・日・祝は〜19時(18時半LO)
[休日]月
[交通]JR八高線明覚駅から徒歩12分
≪帰りにもう1軒!≫『U.B.P BREWERY(ユービーピーブルワリー)』@浦和区
2022年、埼玉県さいたま市浦和区初のブルワリー併設パブとして開業した。年間を通じて、50〜60種類をリリース。
パブでも王道の味わいのものから、埼玉県産原料を使用したシリーズ、遊び心あふれる1杯までと幅広いビールを楽しめる。
また、2025年には「彩白(いろは)」と「URAWA CITY ALE」の2種類が国際的なコンペティション、“ワールド・ビア・アワード”で金賞受賞の快挙を達成!
URAWA CITY ALE(ハーフ)800円、彩白〜IROHA〜(パイント)1300円

『U.B.P BREWERY』(右)URAWA CITY ALE(ハーフ)800円、(左)彩白〜IROHA〜(パイント)1300円
サッカー関連のイベントにも積極的に参加し、街の盛り上げにも貢献している。

『U.B.P BREWERY』
浦和区『U.B.P BREWERY』
[店名]『U.B.P BREWERY』
[住所]埼玉県さいたま市浦和区高砂2-1-19 ホテルグローバルビュー浦和1階
[電話]048-674-4685
[営業時間]17時〜22時(21時半LO)※土は13時〜、日13時〜19時(18時半LO)
[休日]火
[交通]JR京浜東北線ほか浦和駅西口から徒歩3分
≪帰りにもう1軒!≫『GROW BREW HOUSE(グロウブリューハウス)』@川口市
駅の出口を出て薄暗い通りを歩くと、ぽっかり明かりの灯る店がある。元は材木置き場だったガレージで2019年から醸造を開始したブルワリーだ。
テーマのひとつが地産地消。小ロット&多品種生産で、トラディショナルなシリーズから、トガッた味のラインまで、地元の人々の好みに寄り添う味わいを生むのがモットーだ。
BIG BRIDGE IPA(中)900円、Leith Walk IPA(大)1050円

『GROW BREW HOUSE』(右)BIG BRIDGE IPA(中)900円、(左)Leith Walk IPA(大)1050円
醸造長もタップルームに立ち、客のリクエストをビール造りに反映させている。
さらにクラフトビールとしてはややお手頃価格で飲めるのもありがたい。

『GROW BREW HOUSE』
川口市『GROW BREW HOUSE』
[店名]『GROW BREW HOUSE』
[住所]埼玉県川口市西川口1-25-8 近藤ビル1階
[電話]080-4052-1258
[営業時間]17時〜23時(22時半LO)※土・日・祝は15時〜
[休日]無休
[交通]JR京浜東北線西川口駅西口から徒歩4分
電車に乗ってLet’s GO!盛り上がりを見せている埼玉のブルワリーを巡れ
埼玉とあなどるなかれ!実は昨今、県の観光資源のひとつになるんじゃないかってくらいクラフトビールがアツい。各路線に実力派のブルワリーが点在し、しかも駅からも徒歩圏内。ビールを飲みにふらっと行けるブルワリーを紹介します。
まずは西武線の飯能駅。駅から1kmほどの場所にあるのが、『カールヴァーン ブルワリー』だ。アラビア装飾と明治の洋館建築が融合する館内は非日常感たっぷりだし、テラス席からの眺めも抜群。もちろん料理もビールの味も文句なし。ビールを目当てにやってきたけど、そうじゃない人でも十分に楽しめます。
そして東武東上線の代表が、小川町駅からすぐの場所にある『麦雑穀工房』だ。前述の『カールヴァーン』のような派手さはないけれど、自家栽培した雑穀に地域の農家が育てたハーブや柑橘など、素材の多くが地場のもの。それをブルワリーの2階でできたてを飲むっていう特別感がある。クラフトビール好きならここはハズせない。
東武にJRなんなら西武線でも行ける川越。この地が誇る埼玉のクラフトビールシーンを牽引してきたブルワリーが、ご存じ『COEDOBREWERY』。改めて飲んでみると、初心者からツウまで誰もが旨いと思えるような絶妙なバランスに仕上げられていて、思わずさすがと舌を巻く。都内でもここのボトルビールを置いている飲食店も多いけど、工房のすぐ隣で飲む「生」はひと味違った。
一方で個性を追求した新進気鋭が『Teenage Brewing』だ。飲むもの、飲むもの新感覚の味わいで、ビールの自由度の高さを知ることになる。ブルワリーがあるのがJR八高線の明覚駅というヘンピな場所。でもこの遠さも旅感があって意外と楽しかったりする。
これからますますビールがおいしくなる時期の到来!週末のちょっとした観光に出る感覚でブルワリーを訪れてみると、また新たな魅力を発見できますよ。
撮影/小島 昇、取材/菜々山いく子
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
※画像ギャラリーでは、埼玉で楽しめる珠玉のビールの画像をご覧いただけます。
※月刊情報誌『おとなの週末』2026年6月号発売時点の情報です。

