「誰も聞いていない漫才の営業も…」“じゃない方”芸人が経験した絶望の底。〈億り人〉になった今…どうしても伝えたい、投資をする「お金以外の理由」
NISAの流行や物価高を背景に、「投資を始めたい」と考える人は多いでしょう。しかし、投資に取り組むうえでは、まず自分の「目的」を明確にすることが欠かせません。『借金1000万円から億り人 じゃない方芸人の大逆転投資術』(KADOKAWA)の著者で、「山下本気うどん」プロデューサーのオモロー山下氏は、自身の過酷な下積み時代の経験から行き着いた“ある切実な目的”のために投資を続けているといいます。本人の実体験を通して、投資が人生にもたらす本当のメリットについてみていきましょう。
億り人になるための「6つの習慣」
1.インデックス投資で最強の守りを固める
2.iDeCo→NISA→特定口座の順番で税制優遇を使い倒す
3.絶対に余剰資金でしか投資しない
4.常にキャッシュポジションを保っておく(インデックスの積立投資だけの方には関係ありません)
5.為替の細かい変動に一喜一憂しない
6.個別株は全体の15%までの「趣味枠」に抑える
この「億り人になるための6つの習慣」は、特別なことでもなんでもありません。ウォーレン・バフェットやピーター・リンチの本にも書いてあるし、投資系YouTuberの多くも似たようなことを言っています。それでも僕がこうして1冊の本にまとめたのは「知っている」と「身に染みて分かっている」は、まったくの別物だからです。
含み損5000万円の地獄を味わった夜。1日に3回もナンピンして資金が枯渇した日。債券ETFで「投資系YouTuberの言うことを鵜吞みにしたら火傷する」と痛感した経験。赤字企業に手を出して自分のルールを破った後悔。
たくさんの失敗をしてきたからこそ、皆さんには僕と同じ痛みを味わってほしくない。先に転んだ僕の傷を見て「ああ、ここは気をつけなきゃ」と思ってもらえたら、この本を書いた意味があります。
さて、最後にどうしても伝えておきたいことがあります。「よし、投資を始めよう!」と思ってくれた方に、質問させてください。
「あなたは、何のために投資をしますか?」
老後の安心のため? 子どもの教育資金のため? もちろん、どれも立派な理由です。僕が投資を始めたきっかけは「銀行に置いておくのはもったいない」という些細なものでしたが、今は投資をする目的がはっきりしています。それは「やりたい仕事だけを、選べる自由」を手にするためです。
投資を始める前は「やりたくない仕事」もやるしかなかった
コンビ時代、僕はずっと「仕事を選べない側」の人間でした。本当はやりたくない仕事。例えば、ビュッフェ形式で食事をしているお客さんの前での誰も聞いていない漫才の営業。でも生活のためには、引き受けないと、しょうがなかったんです。
うどん屋を始めたのも、突き詰めれば自分の食い扶持を稼ぐためでした。1998年にマネージャーから突然「来週、1週間休みです」と告げられたときも、それでは生活ができないという強烈な恐怖と不安があったから、吉本の社員になろうと必死にすがりつきました。またナインティナイン・矢部さんのお兄さんの会社でマネージャーとして働きながら、こっそりルミネの舞台に立たせてもらう二重生活を送ったりもしました。
これらはすべて、生きるため。お金がないゆえに「追い込まれて選ばされた道」だったんです。あの絶望の底にいた頃、もし僕に資産があったら。もっと心に余裕を持って、自由に自分のやりたいことを選べたかもしれません。
焦ってコンビを解散することもなかったかもしれないし、「1週間休みです」と言われても「じゃあ、その間に新しいネタを考えよう」と笑って前を向けたかもしれない。
才能ある後輩も、お金が理由で夢を諦めていった
僕だけではありません。お笑いの世界で、お金が理由で夢を諦めていった才能ある後輩たちをたくさん見てきました。
金銭的にギリギリの生活の中で、2人目の子供が生まれ「これ以上は家族を養えない」と泣く泣く芸人を辞めていった仲間もいます。それを見るたびに、僕は胸が締め付けられる思いでした。
「他にやりたいことが見つかったから辞める」という前向きな理由ならいいんです。でも、「才能も情熱もあるのに、お金がないから辞める」というのは、あまりにも悲しすぎる。
お金の不安から解放されれば、「本当にやりたいこと」だけに時間を使える
実際に僕も生活費が稼げないという理由で、芸人を辞めてグラビアアイドルのマネージャーに専念しかけました。だからこそ、好きなことを本気で続けたいのなら、僕たちは「お金を稼ぐ手段」を持たなければならないと思うんです。
投資は、その「自由」を得るための手段になります。しかも、誰でも思い立ったらすぐに始められる。資産があれば、やりたくないことは「NO」と言えるということです。やりたくない仕事を、生活のために無理に引き受ける必要がなくなる。お金の不安から解放されると、「本当に自分がやりたいこと」だけに時間を使えるようになる。
今の僕は、うどんのプロデュース業も、ライターの仕事も、たまに出るYouTube番組などの仕事も、全部「やりたいからやっている」と胸を張って言えます。もし嫌になったとしても、断る自由もある。その先には何物にも代えがたい「ストレスフリーの人生」が待っています。
「もっと早く始めていれば…」投資で成功した〈億り人〉の唯一の後悔
そんな僕が投資に関して、とても後悔していることがあります。それは「もっと早く始めていれば良かった」ということです。
2021年は相場が絶好調でした。あのときすでにインデックスに2000万〜3000万円を突っ込める資金力はあったので、もし2020年ぐらいから投資を始めていれば、今頃めちゃくちゃ増えていたはずなんです。今更言っても仕方ないですが、「あともう少し早くやっておけば……」と今でも悔しくなることがあります。
だからこそ、まだ投資を始めていない人は、小さくてもいいから早く動いてみてほしい。インデックスファンドに毎月投資する「ほったらかし投資」の仕組み自体は、誰にでも再現できます。月1万円からでも、いや、100円からだって始められるんです。
特別な才能なんて必要ありません。数字に強いわけでもない、文系の芸人が、YouTube動画と2冊の本で学んだ知識だけで資産を増やせたのですから。
お笑い芸人
実業家/個人投資家

