ゲームセンターの景品としても人気のスクイーズ

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 現在、若い女性を中心に流行し、重度のコレクターまで増えているというのが“スクイーズ”である。主にシリコンなどでできた玩具で、ぎゅっと握ればスライムのように変形し、放すと元に戻る。触り心地や質感も個体ごとに異なり、握るとグチュッ、パリッ、などと音が出ることもある。そのユニークな素材感に、はまる人が続出しているのだ。

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 雑貨店をのぞくと、スクイーズが店頭に大量に並んでいる。人気の製品は品薄、もしくは売り切れるケースまで出てきているようだ。また、高額かつデザインに凝ったスクイーズを扱う専門店までオープンしている。一部では“ポスト・シール”として、シールに続くスクイーズブームがくるのではないか……と、予想されているのだ。

ゲームセンターの景品としても人気のスクイーズ

 さて、少女漫画雑誌「ちゃお」や「ちゃおプラス」などで漫画を執筆する漫画家・辻永ひつじ氏もスクイーズの愛好家である。辻永氏は「プリパラ」から「おねがいアイプリ」まで「プリティーシリーズ」のコミカライズなどを長年手掛ける仕事柄、女児向けコンテンツの変遷を興味深く見てきたという。

 一方で、スクイーズに関しては、コレクターというよりは、あくまでも漫画を執筆する傍ら愛でて癒されているそうだ。「触感で楽しめるのが新しい」「音も含めて楽しめるのが斬新」と、辻永氏。集めて触って楽しめるスクイーズの魅力を、存分に語ってもらった。【取材・文=山内貴範】

触って握れば癒される

――辻永さんはなぜ、スクイーズにハマったのでしょうか。

辻永:私は、昔からこういうかわいい系の雑貨を集めるのが好きなんですよ。スクイーズもその一環で集め始めた感じですね。なので、気づいたら家の中にたくさんあったという感じなので、いつ頃から買い始めたのかは、はっきりとはわからないのですが……。

 あと、私はYouTubeなどでスクイーズを楽しんでいる人を見るのも好きなんですよね。実際、みなさんとても楽しそうですし。

――普段、スクイーズをどのように楽しんでいるのですか。

辻永:原稿を描いていて疲れた時に、触ったり握ったりしています。いつも机の傍らに置いて、時おり触っては、癒されていることが多いです。握ったときに出る音も好きですし、感触も一個一個違う。それだけで癒されますね。何も考えなくてよくなる、と言いますか(笑)。脳を使わずに楽しめるので、リフレッシュ効果はあるのかもしれませんね。

――感触が好き、という人は多いようです。

辻永:触感は本当に様々です。さらさら、しっとり、もちもち、そして中に液体が入っているスクイーズだと、ぐちゅぐちゅっという音がたまりません。握ったときに、中のラメがきらきらと光るものもありますし、高価なものはトロトロした水っぽい独特の触感のものもあります。また、ぺりぺりはがしたりする音を楽しむタイプのスクイーズもいいですね。

「五感を研ぎ澄ませて買っています」

――スクイーズは今、何個お持ちで、どんなところで購入しているのでしょうか。

辻永:数えたことはないのですが……、普段は「100円ショップ」や「しまむら」で購入しています。フリマサイトで買ったものもあります。なので、私が買っているものは、決して専門店で売っているような高価なものではないですよ。今はTikTokショップで海外から直接購入する買い方もあるそうです。

――スクイーズを購入するときの基準はあるのですか。

辻永:見た目のかわいらしさと、揉み心地で選んでいます。五感を研ぎ澄ませて買っています(笑)。

 というのも、スクイーズと一言で言っても素材も様々なんですよ。昔はスポンジや粘土のような感じのものが多かったですが、今はシリコン製のものが人気の中心でしょうか。しかし、同じシリコンを使っても、その割合で柔らかさが全然違ってくるのも面白いところです。

――触って確かめて買うのがポイントなのですね。しかし、最近は人気のスクイーズが入荷すると、すぐに売り切れになってしまうケースも多いと聞いています。

辻永:そうですね。実際に、私が行く100円ショップでは、売り切れていることが増えました。なので、ブームが起こっているのかなと思ってみています。

YouTubeでも人気が沸騰中

――ネット上でも、スクイーズのブームがじわじわと広がっているという意見があります。

辻永:だいぶ前からSNSでは人気が拡大していると思いますし、既に一部のショップでは競争になっていると聞きます。人気のものはすぐ売り切れるし、スクイーズを売っているショップでTikTokライブが始まったら、紹介された商品はすぐ買わないと売り切れてしまう現象が起きています。

――購入する層は女の子や女性なのでしょうか。

辻永:どうでしょうね。TikTokライブを見ていると、男性にも受けている気がします。女の子はかわいらしさに引き込まれると思うのですが、男性はランダム性があり、レアな商品がある点を楽しんでいるように思います。あくまでも推測ですが……。

――スクイーズに関連した動画をYouTubeに投稿している人も増えているようですね。

辻永:YouTubeには昔からスクイーズの動画を投稿している人がいます。昔のブームの時は、スクイーズはスポンジのような高反発素材でできたものが多く、音を楽しむものではなかったように思います。

 時が流れて、ASMR動画のような音を楽しむ要素が合わさって、低反発で、袋越しで音が出るように進化を遂げたのではないかと、勝手に考察しています。今は開封動画が人気ですが、私はスクイーズの遊び方を独自に開発している人の動画が楽しいですね。スクイーズを自分で作ったりしている人もいますし。

 原稿を描いているときは、スクイーズの動画を流していることが多いです。音だけでも楽しめるのが魅力ですね。

――人気をどのように見ていますか。

辻永:みなさんがスクイーズを買って、触って、癒されているのは素敵なことだと思います。ただ、スクイーズの魅力は触り心地にあります。ブームが過熱すると、見て、触って買えないケースが増えてしまうのではないでしょうか。私はあくまでも、店頭で買いたいので、買い占めなどは起こってほしくないですね。

シールブームの次はスクイーズブーム?

 シールブームが一段落つき、一時は転売屋も出現するほど人気だった「ボンボンドロップシール」も比較的手に入りやすくなってきた。シールを大量にストックしておいた人や、ブームに飽きてしまった人が“放出”を始めたようで、フリマサイトにはシールが大量に出品され始めている。

 一方で、スクイーズを店頭の目立つ場所に置く店も増えている。渋谷や原宿、池袋、上野のアメ横などでは実際にそういった光景を見かけた。種類がとにかく豊富で、コレクションしたら楽しそうだ。“ポスト・シール”と呼ばれているのも理解できる。そういえば、ボンボンドロップシールもぷくぷくとした感触が人気で、若干の共通点もある。

 子供がいる筆者の友人に話を聞くと、スクイーズは子供たちの間でも人気が広がっているようで、「学校に持ってきた子供がいて、その子を中心になってブームが広がっているようだ」とのことである。アクセサリー感覚でランドセルやバッグに付けられるスクイーズもあり、子供たちに人気が出ている要因らしい。

 ブームが過熱すると、種類が増え、交換する楽しみなども生まれて盛り上がるだろう。しかしながら、スクイーズは見た目だけでなく、触ってこそ、その魅力を堪能できるもの。シールのような行列ができるほどのブームになると、触感を試さずに購入することにもなりそうで、購入後に「失敗した!」という事態にならないか不安である。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部