Canna Lily

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 ゲーム『ガールズバンドクライ First Riff』から生まれた5人組ロックバンド「Canna Lily」。松隈ケンタ率いるサウンドクリエーターチームSCRAMBLESが楽曲制作を担当し、デビュー曲「残像の高鳴り」の作詞をしたのは、作家、アーティストのモモコグミカンパニー(ex. BiSH)。ロック愛好家も含めた幅広い層からの注目を集めているこのバンドの1stワンマンライブ『未明に咲く花』が、6月20日に東京・代官山UNITで開催された。チケットはソールドアウトしてフロアは満員。このライブの模様をレポートする。

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 バックステージで円陣を組んでいるメンバーたちの掛け声が聞こえた直後、観客の間からも上がった熱い声。そして、箭野 結羽(Vo/橘田 楓役)、早坂 莉寧(G/星 亜矢芽役)、紫乃月 姫咲(B/榊原 紫苑役)、椎名 在音(Dr/千ヶ崎 竜胆役)、佐野 櫻(Key/雪志摩 ナズナ役)がステージに登場。オープニングを飾ったのは、6月19日にリリースされたデビュー曲「残像の高鳴り」だった。演奏と歌を彩る観客の掛け声と手拍子がものすごい。掲げた腕に巻かれた「LEDマグネットバングル」の青い光が作り上げる風景が幻想的。Canna Lilyが初めて生で音を届けた空間は、待ちわびていた人々の熱気で満たされていた。

 「私たち、Canna Lilyは、ゲーム『ガールズバンドクライ First Riff』のオリジナルバンドとして3ヶ月前にデビューしました。そして今日、ようやくみなさんとお会いすることができました!」と箭野が挨拶をした後、メンバー各々が自己紹介。

「今、18歳で、昨年までピチピチのJKをやってました。Canna Lilyの中で最年少。ギターくんと知り合ってからまだ短いんですけど、今日のために全力で練習してまいりました!」(早坂)。「私はメンバーの中で唯一の関西、京都出身の22歳です。この場にいる時だけでも日常から解放されて、自由に歌って、踊って、時には叫んだりして、自分らしくいられる場所、ライブにしたいなと思ってます!」(椎名)。「自己紹介なので、好きな食べ物の話をしたいと思います。丼ものが大好きなんですが、なんと5月の末から、かわいい衣装を着るために丼ものを禁止してました! 今日は全力で精一杯演奏して、また美味しい丼を食べたいと思います!」(佐野)。「私の名前は『姫』に『咲く』と書いて『姫咲』なんですけど、姫カットの姫と同じなんです。なので、『姫カットの姫咲ちゃんだ』と覚えて帰ってくれたら嬉しいです!」(紫乃月)。「私、お酒が本当に大好きなんですけど、アルコールを飲むと声帯が腫れちゃうので、ちょっと禁止してました。今日はライブを大成功させて、カーッ!といきたいなと(笑)。今日は最高のライブにするぞー!」(箭野)

 ……まだ緊張気味ではあったが、親しみやすいキャラクターが伝わってくるMCタイムだった。

 しっとりしたピアノで幕開けて、スティックカウントを経て他の楽器が合流。爽やかに躍動した「自由への奔走」。青春パンクを彷彿とさせる甘酸っぱいムードの疾走感で盛り上げた「君にささげる未来」……まだリリースされていない曲たちも、『ガールズバンドクライ First Riff』公式サイトの紹介文通りの「『がむしゃら』な足跡から咲くロックンロールバンド。」というCanna Lilyを感じさせてくれた。このライブのために地道な練習を重ねてきたのだろう。伝わってくる一生懸命さも、各曲をCanna Lilyらしく輝かせていた。そして、和気あいあいとしたメンバー同士のやり取りも楽しい。2回目の小休止で始まったトークは、自ずと各々のポンコツエピソード暴露合戦となっていた。何かと手がかかる早坂、椎名、佐野を箭野と紫乃月が助けることが多いらしい。5人の関係性が伝わるMCタイムを経て、ライブは後半に突入した。

 箭野がステージから姿を消して、「何が始まるんだろう?」という反応を観客が示したところで、紫乃月と椎名によるセッションがスタート。パーカッシブなスラッププレイや動きの多いフレージングを繰り出すベースに対して、変拍子を交えながらアプローチをするドラム。このインスト曲は、椎名が手掛けたのだという。初作曲だったそうだが、リズム隊のグルーヴを存分に堪能させてくれた。そして、早坂のギター、佐野のキーボードも加わり、「変わらない世界と歌(未明に咲く花 Ver.)」がスタート。力強いサウンドに包まれた箭野の歌声も雄々しさを帯びる。途中で炸裂した紫乃月のベースソロが、観客の喝采を浴びていた。続いて披露された「キズナ」も歌と演奏の熱量が高い。“かっこいいCanna Lily”を感じさせてくれる2曲だった。 

 本編ラストの曲を始める前に、メンバー各々が想いを語った。

 「最年少の伸びしろはすごいんで、見守ってくださると嬉しいです。」(早坂)。「私はまだまだ未熟だし、表現者としてもまだまだなんですけど、1つ1つ積み重ねていくことで、『人生最高!』っていうのがあと何回更新されるんだろう?と。それが今からドキドキで、楽しみです」(椎名)。「Canna Lilyは始まったばかりですが、これからたくさんライブをして、たくさんみなさんと思い出を作って、たくさん成長していきたいと思っています」(佐野)。私もCanna Lilyのベーシストとして、まだまだかっこよくなりたいなと思ってます。私たちのこと、応援よろしくお願いします!」(紫乃月)。「さっき円陣をした時にみなさんの『うぉー!』っていう声が聞こえてきて。あの瞬間からヤバくて。嬉し過ぎて……うわあ、泣かないって言ったのに(紫乃月から渡されたハンカチで涙を拭く)。もっともっと広い会場で一面の青い景色を見たいと思いました。そこにみなさんを連れて行けるように、メンバーのみんなとその景色を見られるように、これからもっともっと頑張れるなと思いました。」(箭野)

 一人ひとりのCanna Lilyに懸ける想いがますます強いものになっているのがわかった。そして、「Canna Lily、最後まで咲かせるぞー!」と箭野が叫び、「今を超えて」がスタート。演奏が始まるや否や手拍子の嵐となり、全力の掛け声が沸き起こった。時折、早坂と紫乃月に背中を預けて歌う箭野が、とても幸せそう。5人が力を合わせて未来へと進もうとしている姿を感じる曲だった。

 アンコールで最初に届けられたのは、「自由への奔走」。本編2曲目の時は緊張気味なのが伝わる固い演奏だったが、互いの音を重ねて鳴り響かせるのを彼女たちは無邪気に楽しんでいた。そして、「Canna Lilyの公式サイトがオープン」「2026年9月5日(土)・東京・WWW X で2ndワンマンライブ『枯れ歌の情景』を二部制で開催」という発表の後、5人は2ndワンマンライブへの意気込みを語った。

 「今日はライブ、大成功かなと思うので、家に帰ってから一杯カーッ!とやれそうだなと(笑)」(箭野)。信じられないくらいもっともっと盛り上げるライブにしたいので、ぜひ次回も来てください!」(早坂)。「マイクを置いて、生声で伝えますね。今日、めっちゃ楽しかった! ありがとう!」(椎名)。「すごく楽しくて、『もう終わっちゃうのか』と寂しいんですけど、2ndワンマンライブが決まって、みなさんとまた会える機会があるので、とても嬉しいです」(佐野)。「私も在音ちゃんと同じ方式で、マイクは使うんですけど、叫びたいと思います。みんな、最高だったよ! また9月に会おうね!」(紫乃月)

 早坂のギターソロ、紫乃月の骨太なベースプレイ、佐野の温かなピアノ、椎名が放つシャープなビート……各楽器の魅力も存分に発揮された「変わらない世界と歌」でライブは一旦終了。しかし、観客の声に応えてダブルアンコールが行われた。ブルーの照明で染まったステージに立ち、佐野のピアノ伴奏で歌い始めた箭野。そこにギターの力強い刻みが加わり、ドラム、ベースも順番に合流。アンサンブルの構築の過程がドラマチックだった「残像の高鳴り(未明に咲く花 Ver.)」が、このライブのラストを飾った。熱量を高め続けるサウンドが爽やか。バンドをやる喜びで満ちた5人は、活き活きとした表情を浮かべていた。

 全曲の演奏を終えた彼女たちは、満杯のフロアを背景にして写真撮影。「C」を作りながら右手の人差し指立てる「CLサイン」をメンバーと観客が掲げ、「オツリリー!」を合図にシャッター音が響いた。全力を出しきった彼女たち、目一杯に楽しんだ観客の笑顔は、写真に収まっているはず。Canna Lilyが歌、音、笑顔で作る風景は、今後、ライブを重ねていく中で輝度を増していくのだろう。楽しい未来を想像させてくれる1stワンマンライブだった。

(文=田中大)