@AUTOCAR

写真拡大 (全4枚)

鍵を握るのはソフトウェア

BMWがノイエ・クラッセ・ファミリーを指して言う「ソフトウェア定義車両(SDV)」とは、どういう意味を持った言葉なのか? 開発を主導したライヒェルト氏は次のように答えた。

【画像】革新的な「ノイエ・クラッセ」第2弾は電動版3シリーズ!【BMW i3セダンを詳しく見る】 全44枚

「それは、ほぼすべての機能に、内部に電子部品が組み込まれているという意味です。ただし、ソフトウェア定義車両だからといって、将来的にハードウェアが重要でなくなるわけではありません」


ノイエ・クラッセEV第1弾となるBMW iX3

「理想的なのは、完璧な機械的DNA、例えばドライビング・エクスペリエンスにおいて剛性の高いボディと、すべてのアクスルで完璧な運動特性を持っている場合です。そして、中央処理装置を『スーパーブレイン』、すなわち高速コンピューターとして活用するのです。これらすべての機能を1つのECUに統合します。そして、この最速の演算能力によって、機械系を可能な限り高速に制御できるのです」

要するに、ノイエ・クラッセEVは、BMWらしい走りをするということだ。AUTOCAR UK編集部がiX3で最も気に入っている点は、まさにそのBMWらしい挙動にある。だが、それは単にハードウェアだけによるものではない。

「iX3は2.3トンのクルマとは思えない走りを見せます。2トンよりも軽いクルマのように感じられるんです。ソフトウェアの反応が極めて速く、ハンドルをわずかに動かした瞬間にクルマが反応するからです。実に素晴らしい。ソフトウェアとハードウェアの共生です。それがBMWのやり方です」

パノラミックiドライブに注目

「BMWのエンジニアなら誰もが、BMWをさらに進化させるための『次の大きな革新』を考えていると思います。わたし達は、最新技術を披露するためにBMWを作っているわけではありません。その技術を使って、BMWをより良いBMWにしているのです」

「例を挙げましょう。わたし達は、ディスプレイの壁の前に座るようなことはしたくありませんでした。それはBMW流のドライバーの直感に反します。そこで、一部のエンジニアがフロントガラスを活用し、ピラーからピラーまであらゆる情報を投影するという素晴らしいアイデアを持ち込んだのですが、その『パノラミックiドライブ』の模型を見たときには鳥肌が立ちました。そして、少人数のチームで『そうだ、これを量産化したい』と決めたのです。これこそがBMW流です」


BMW iX3

AUTOCAR UK編集部は、「パノラミックiドライブ」がiX3の大きな成功要因の1つになると考えている。フロントガラスの下部に計器類を投影するシステムであり、目の前にスクリーンを設置するよりも焦点距離が長く、美しく鮮明に表示される上、自分の好みに合わせて設定も可能だ。

「初期の段階から、その可能性を感じていました」とライヒェルト氏は語る。

「あの時、ノイエ・クラッセの中でこの技術を実現したいと決意したのです」

インテリアデザインにも新しい風

「BMW社内では激しい議論が交わされました。『これを完璧な品質で実現できるのか? これは正しい選択なのか?』と。本当に白熱した議論でした。しかし今日、BMW社内の人々を含め、これを運転する誰もが、この一歩を踏み出したことを心から喜んでいます」

「ハンドルに手を置き、道路に目を向ける。必要な情報は、ドライバーの注意をそらすことなくそこに表示される。これは新しいアプローチです。共生的なドライビングと言えるでしょう。ご存知の通り、今日のクルマの中には、ADASを操作しようとしたときに、まるでシステムと戦わなければならないようなものもあります。パノラミックiドライブではあなたが主役であり、ドライバーであり、システムはあなたをサポートするためにあるのです。このシステムと戦う必要はありません」


BMW iX3のインテリア

パノラミックiドライブには他にも利点があると、ライヒェルト氏は言う。

「デザイン担当の同僚たちにとってもメリットがあります。目の前にインストゥルメントパネルがないため、広々としてクールな、モダンなインテリアを作り出すチャンスが生まれます。通常はインストゥルメントパネルの前に座ることになるため、何か新しいものを生み出す余地がないのです」

BMWのあるべき姿に対する新解釈

顧客の間では、EVへの移行に対する抵抗感は依然としてある。そうした世間の雰囲気は開発にも影響を与えた。

「わたし達は、内燃機関車のお客様が完全なEVに飛びつかない理由として、航続距離、充電速度、充電インフラ、そして価格について検討しました。そして、これらの課題を解決し、どのお客様も問題を抱えることがないようにしたいと考えました。これが出発点でした。『同じボディサイズで、(バッテリー容量を最大化するために)どこまでホイールベースを大きくできるか? エネルギー密度を20%高めるにはどのセル技術が必要か? 最も効率的なアクスルはどれか?』と問いかけから始めました」


BMWでノイエ・クラッセの開発を主導したマイク・ライヒェルト氏

ライヒェルト氏は、このプロジェクトが自身のキャリアを決定づけるものになると認めている。

「白紙の状態から始めるのは革命的なことであり、今後10年か20年の間、これを繰り返すことはないでしょう。普通はやらないことです。今後は通常通り、さらに開発を進めていきますが、より漸進的なアプローチになるでしょう」

すべてが斬新であるにもかかわらず、ノイエ・クラッセのアーキテクチャーは、BMWの最高水準を堅持しているとして高く評価されている。

「つまるところ、BMWらしさを感じられるはずです。しかし、それは完全に現代的なものであり、BMWのあるべき姿に対する新たな解釈です。そして、それこそがわたし達にとって最大の賛辞です」