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ニュースのその先を考える記者解説。1日のテーマは「ナフサ供給不安の混乱なぜ? 今後どうなる?」についてです。経済部の山下莉紗記者が解説します。

■白黒パッケージも…政府主導で塗料用シンナーを用意

――中東情勢の混乱でナフサ由来の製品は供給が不安視

いまは改善されたこともありますが、いままでに様々な影響が出ていました。

4月に取材した東京都内の梱包資材などの専門店では、すでにプラスチック製品などの値上げや在庫が少なくなっていた商品がありました。他にも、カルビーが一部の商品のパッケージを白と黒の2色に変更するなど食品包装へも影響が広がりました。

――こうした状況に政府はどう対応

ナフサから作られる塗料用シンナーについて、政府主導で720缶用意されました。

元々、政府はナフサ由来の石油製品は前の年と同じ量流通していると説明していました。しかし、住宅業界などからシンナーの調達が難しいとの声があったことから「流通上の目詰まり」をなくそうと政府が介入し、工務店などが化学メーカーから直接買えるようになりました。

先週始まりまして、すでに30件、65缶分の要請があるということです。

■中間企業が多い構造“混乱の一因”

――政府は総量として足りていると説明…なぜ必要なところに届かなかった

石油化学製品が消費者に届くまでの流通の一例です。

石油元売りから始まってナフサなどから原料を作るメーカー、そしてそれを使える状態などに加工するメーカーがあり、さらにそれを最終的な商品にするメーカーを経て小売りにいくのです。

化学メーカー出身でナフサの市況に詳しい専門家、柳本浩希さんによりますと、この中間で関わる企業が多い構造こそが混乱を生んだ一因だとしています。

――具体的にはどのようなことが起きていた

帝国データバンクの調査によりますと、原料などを調達する側では必要な資材を早めに抑えようとする動きが強まりました。半数以上の企業が、前倒し発注など「在庫の確保」を行ったと答えています。

一方、原料を加工したり売ったりする側では、原料の価格高騰や納期を守れるかの不安などから、注文を受ける数を絞る「受注制限」を行ったという企業が3割弱ありました。一部では、対応する顧客自体の優先順位をつける対応もみられたということです。

こうした動きがサプライチェーンのそれぞれの段階で起きたことで、局所的に「足りない」「届かない」などの目詰まりが起こったとみられています。

■ 米国産原油の調達…軽油など生産量減少の可能性も

――今後、不足するようなことは

専門家の柳本さんは、ナフサから精製される化学品の生産については、精製装置の稼働率も向上していくことから、当面は安心できる状況だとしています。

――今後の中東情勢の影響は

政府が進める原油の代替調達ですが、気になる点があります。

代替調達先であるアメリカ産原油は中東産に比べると軽質で、ナフサやガソリンを多く精製できるということです。一方で、いままで主流だった中東産で豊富にとれるジェット燃料や軽油、重油などについては生産量が減少してしまう可能性があるとしています。

供給量が減った場合、価格の高い状態が続く可能性がありますので航空業界や運輸業界への影響が懸念されます。

取材を続けている運送会社でも、軽油の価格は高止まりすると想定していて、どのように対応していくのか検討を進めていると話していました。

――山下記者がこのニュースで1番伝えたいことは

「供給網の再点検を」です。

ナフサ関連製品の次の焦点は、高止まりするであろう価格面に移ってきています。

適切な価格転嫁が行える環境になっているかも含め、業界全体だけでなく政府と一体となった供給網の再点検などが求められていると考えます。