ブラジルとの大一番を前に、日本代表DF板倉滉(アヤックス)が頼もしさを示した。グループリーグ最終戦のスウェーデン戦で左太腿裏に違和感を訴え、前半途中に交代。前日27日は別メニュー調整となったが、ヒューストンでの最終調整で全体練習に復帰した。

 左太腿裏にテーピングを巻いているものの、試合出場へ前向きな姿勢を見せ、「自分としてはブラジル戦で必要な場面があったらやりますし、という状態です」と語った。慎重な言葉遣いではあるが、その一言には覚悟がにじんでいた。

 MF遠藤航の負傷離脱によってW杯開幕直前にチームキャプテンに就任して以降、常にチーム全体を見つめてきたのが板倉だ。昨季は所属するアヤックスで負傷に苦しむ時期があり、今大会も決して最初から万全な状態で参加できたわけではなかった。初戦のオランダ戦は出番なし。2戦目のチュニジア戦で先発にこぎつけたが、スウェーデン戦で負傷交代。悔しい思いがあることは想像に難くない中でも、しっかりとチームをまとめ上げている。

 日本時間30日午前2時(現地時間29日正午)にキックオフされるブラジル戦の前夜には宿舎で選手ミーティングを実施する予定だ。「試合前にみんなの顔を見て話すことは大事」と言い、「不安を取り除くという意味で、何か言いたいことのある選手がいれば話してもらう。試合の入りや飲水タイム、得点後、失点後など、もう一回確認していきたい」と狙いを明かした。キャプテンとして一方的に話すのではなく、選手同士が意見をかわし、不安をなくして試合へ向かう場にしたい考えだ。

 ヒューストン入りし、決勝トーナメント初戦が目前に迫った。「グループリーグ突破は最低限。ここからだぞという思いがみんな強い。すごくフレッシュな状態で臨める」と、チームの充実ぶりを口にする。

 自身は前回カタールW杯の決勝トーナメント1回戦・クロアチア戦を累積警告による出場停止で欠場した悔しさも経験している。それでも今回は「自分が出る出ないは関係ない」と言い切る。「チームのためにみんながやっていて、それがグループステージでいい結果につながっている。チーム一丸が大事。そうでないと勝てる相手ではない」。

 世界屈指の強豪を前にひるむつもりは一切ない。「いいチームで終わりたくない。ここで終わってしまったら、自分たちが求めているものではない。本気で優勝を目指しているチームだと思う」。ピッチ内外で仲間を支える板倉が、日本を新たな歴史へ導く先頭に立つ。

(取材・文 矢内由美子)