「安らげる場所は一切なかった」4歳から18歳まで親や兄弟のケアを続けた当事者「学校の物が買えず、貧困に気付く場面もあった」「他の子が遊んでいる中、自分は帰って家事をしていた」

京都市で、小学校から高校に通う子どもたちに「ヤングケアラーに関する実態調査」が行われた。ヤングケアラーとは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもや若者のこと。責任や負担が重く、学業・友人関係に影響が出たり、1人で悩みを抱えたりすることもあるという。
【映像】「母親はパチンコか男遊び…」4歳から続いたヤングケアラーの乃亜さん(10代)
約13万人を対象にした今回の調査では、ヤングケアラーのおそれがある子どもが620人。そのうち学校への情報提供を認めた378人には、必要に応じて聞き取りを行った。一方で172人は「学校に伝えないでほしい」と回答。その中の148人は連絡先の記載がなく、困りごとを抱えながらも、行政が当事者に接触できない状況が浮き彫りになった。
政府は2024年、子ども・若者育成支援推進法を改正し、ヤングケアラーを支援対象として明記した。そして新たにヤングケアラー支援を含めた「こどもまんなか実行計画2026」を決定した。なぜ声を上げず隠してしまうのか。『ABEMA Prime』ではヤングケアラー当事者と考えた。
■「4歳から18歳まで続いた」ヤングケアラー当事者

6人兄弟の乃亜さんは、幼少期から親や兄弟のケアを行ってきた。「始まったのは4歳頃から。姉が早くに子どもを妊娠したために、赤ちゃんを保育所に連れて行った後、自分も保育園に通っていた。母の精神状況が不安定で、姉もマタニティーブルーだった」。
ヤングケアラーだと気付いた経緯を「学校の物が買えず、貧困に気付く場面もあった。他の子が遊んでいる中、自分は帰って家事をしていた」と振り返り、「家は安心できる場所ではなかった」と明かす。
そうした状況が「4歳から18歳まで続いた」という。「安らげる場所は一切ないに近い。小さいコミュニティーで育ち、大人を信頼していない子どもに育った。学校は学ぶ場所であり、楽しい場所ではなかった」。
家族の反応については「母の精神が安定していたり、ギャンブルに行かなかったりする日には、『大好きだよ』『生まれてきてくれてありがとう』と言われ、その一言だけで自分が肯定・理解されたという、安心感や幸福感を覚えた」と語る。
外部の支援は「あるにはあったが、『大丈夫?』と聞かれた時に、これが当たり前に育ってきたから『大丈夫』と言うしかなかった。家事をしなければ手が出てきて、精神も揺れ動く」のだという。
■あおちゃんぺ「親から『言うな』と洗脳されてきた」

ギャルタレントのあおちゃんぺは、「私も当事者だったが、同意しかない。『助けてほしい』の前に、その異常性に気付くことに時間がかかった。人に“おかしな家”と思われるのも怖い。遊びたい気持ちが第一だったが、帰って家事をしなくてはいけない。バレたくないから、友だちに毎日ウソをついて帰るのがしんどかった」と話す。
親からは、「『家事は特別えらいことでもなく、人様に助けてもらうことでもない“当たり前”だ』と言われていた。しかし近所には父子家庭だとバレていた。友だちの母親から『ごはん食べていきな』と言われても、父親は嫌がった。『施されるのは恥だ』との思いから『言うな』と洗脳されてきた」。
そして、「うちは親が手を出す家庭だった。親が怖いから、ダメと言われたことはもうしない。人に助けてもらって、1回家事が免除になれば、その後に何をされるかわからない。だから言えなかった」と告白する。
しかし親と同居しなくなり、「いろいろと気付いた」という。「当時は家庭と学校が、自分の世界の全てだった。『学校で言えず、家も怖い』となると、誰にも言えなかったが、世界の外に“助けてくれる権力を持つ、親よりも強い人間”がいると知っていれば言えただろう。父親が私の生殺与奪の権利を握っている、ただ1人の人間だと思っていた」。
■「学校に伝えないで」と子どもたちが望む理由

ケアラーアクションネットワーク協会代表理事の持田恭子氏は、自身もヤングケアラーだった過去を持ち、現在は支援活動を行っている。「小学校3年生の時に母親が精神的に不安定になり、いつも『死にたい』と言っていた。それ以前は友達と夕方遅くまで遊んでいたが、ウソをついて一目散に家に帰るようになった。友達がだんだん疎遠になっていき、『付き合いが悪い』と、いじめにも発展した」。
そうした経験の上で、「学校に伝えないで」と子どもたちが望む理由として、3点挙げた。「まずは『家族がいきなり引き離されてしまうのでは』。支援はハードルが高く、大ごとになる不安があり、かえって隠して孤立に向かってしまう。2つ目は『かわいそうな弱者だと思われたくない』。人に頼る発想が浮かばず、たとえそれを知識として習っても、実際の友人関係とは異なる。そして3つ目が『親から口止めされる』だ」。
行政などの関与は「“ヤングケアラー”の言葉が認知され、ようやくタッチできるようになった。『行政に何ができるのか』の議論は早急すぎる。まずは仲間同士のサポートが大切だ。同じ経験をした人同士が出会う場所はいくつもあるが、それを行政は把握していない。自分の地域に、どれだけサポート団体があるかを把握して、まずはそことつなげる。いきなり支援を入れるとなると、不安や恐れが生じる。まずは行政と団体が連携して、そうした場に子どもや若者を紹介することが大事だ」と訴える。
あおちゃんぺは、情報を周知する上で「友達の反応が怖い」と心配する。「“ヤングケアラー”と聞いて、友達が『何これ』とバカにした様子になると、もう明かせなくなる。大々的にみんなの前で言われるのは結構怖いかもしれない。1人ずつなら楽かもしれないが、みんなのリアクションが見える場は怖い」。
乃亜さんは「気付いてくれる大人」の重要性を語る。「髪の毛を切ったときに、ただ『切ったね』だけでなく、『切ったけど心境が変わった?』のように、その人の奥深くまで察してくれる人がいたら良かった」と話した。
(『ABEMA Prime』より)
