大雨で「大災害」危機…渋谷の高級住宅街に無許可で【高さ8mの土砂の壁】が出現で近隣住民が猛反発!
法廷闘争は泥沼か
「不安で仕方ないです。『あんなに高い土砂の壁が崩れたら……』と考えると、夜もまともに眠れません」(現地の住民)
代々木公園に近く、都内有数の高級住宅街として知られる渋谷区富ヶ谷。この地で盛り土を巡る大騒動が起きている。
「3階建ての分譲マンションを建てる計画があり、’24年10月から旧建物の解体工事が始まりました。ところが業者は盛土規制法の許可を取らずに擁壁(ようへき)を解体したうえ4mの掘削(くっさく)を行い、掘った土砂をさらにその背後に積み上げて盛り土を作ったのです」(全国紙社会部記者)
掲載した写真(上)をご覧いただきたい。現場は、狭い道路と住宅が密集する傾斜地。斜面下の南側から見上げると高さ8mほどの土砂の壁が目の前に迫ってくる。現地に住む女性が憤(いきどお)る。
「擁壁の解体工事で、許可は不要と判断したのは渋谷区ですよ。専門家は、住民、区、業者を交えた斡旋(あっせん)調停で、土砂災害を防ぐための対策なしの工事は『常識外』と批判しました。
私たち怒っています。昨年10月には渋谷区を相手に行政訴訟を起こし、事業者に工事停止を求める仮処分を東京地裁に申請したんです。地裁も今年3月、違法工事状態にあると認定し、区に工事停止を業者に命令するよう義務づける仮決定を出しました」
’21年7月に静岡県熱海市で28人が犠牲になった土石流災害をきっかけに成立した盛土規制法の趣旨に沿った判断だ。しかし区は、工事を止めたものの決定を不服とし即時抗告。高裁での審理が現在も続いている。渋谷区の見解はこうだ。
「同じ現場の新擁壁の造成に関しては盛土規制法の許可を出していますが、解体工事にともなう土砂の状態は日々状況が変わるので対応のしようがありません。崖の安全管理は建築基準法で事業者が行うことになっています」(都市計画課)
熱海の土石流災害にも詳しい、不動産鑑定士の冨田建氏が指摘する。
「区の判断や体制には疑問を感じます。盛土規制法は新しい法律なので解体工事の例外規定など、自治体ごとに運用の解釈のばらつきが出ている面があるのではないでしょうか。法の抜け道を許さないよう自治体間で事例を共有するとともに、責任の所在を明確にして運用体制を確立することが重要です」
住民は、大雨や大地震による土砂崩れ発生リスクに怯える日々を送っている。
『FRIDAY』2026年6月5・12日合併号より
取材・文:形山昌由(ジャーナリスト)
