ニュース番組『わたしとニュース』では、現在、政府・与党が導入を検討している消費税減税や国民民主やチームみらいなどが提案する給付金などの各案を教育経済学者で慶應義塾大学の教授・中室牧子がシミュレーションした。所得層別にどれだけ恩恵を受けられるかなどを分析した。

【映像】収入別グラフでわかる"消費税減税と給付、どっちがお得?"

 まず中室氏は、高市総理の目指す「食料品消費税ゼロ」をめぐり、5兆円ともされる税金の使い道については6月13日がリミットになるため、国民もしっかり意思表示をする必要があるとの見方を示した。

「皆さんに知っておいていただきたいなと思うのは、高市総理は、『消費税に関する議論については夏までに結論を得る』とこれまで繰り返し話しているということ。総理が6月13日に海外のサミットに出るという報道が出ているから、それまでに何らかの形で結論を得たいというのが今の与党を含めた考えなんだろうと思う。13日まで約1週間しかないから、この間に5兆円近くになると考えられる消費税の問題に、決着をつけなければいけない。だから私は、この問題については、国民の皆さんに広くきちんと知っていただいて意思表示をしていただくことが大事だと思う。5兆円は私たちの税金だから」(中室牧子氏、以下同)

 そもそも、「給付付き税額控除」実施までの“つなぎ“として、2年限定の食料品消費税の税率ゼロを掲げてきた高市総理。中室氏はこの「実施までのつなぎ」に関して次のように説明した。

「今、さまざまなことで物価が上がっていて、物価高に苦しんでいる世帯がいる。社会保険料も高くなっているから、苦しんでいる低所得者の方の負担軽減が選挙の時に議論になった。負担軽減のために給付付き税額控除をやるということだったが、実施するためにも2年、3年と時間がかかるから、その間のつなぎとして(食料品)消費税ゼロの案が出てきた」

消費税以外で負担軽減…他の党が掲げる給付金制度とは

 また、消費税率を下げることにも時間はかかることを押さえた上で負担軽減のための他の党案について言及した。

「消費税率をゼロ%に下げるなら、1年以上はかかるんじゃないか。ゼロ%ではなく1%にするなら、もう少し時間は短くて済むけれど、半年ぐらいはかかるんじゃないか。だから実は今、その消費税を1%にするつなぎ案以外にも、国民民主党やチームみらいから違う案が出てきている。国民民主党の案は、『社会保険料還付付き住民税控除』で、最大2000万人ぐらいを対象に5万円を給付したいというアイデアだ。チームみらいは、『所得連動型給付』といって、年収540万円程度までの人を対象に、約8000万人に最大6万円を給付する案だ。3つの案は全て約4.5兆円から5兆円かかる案だ。それを消費税減税でやるのがいいか、住民税控除でやるのがいいか、所得連動型の給付でやるのがいいか、どれがいいかという選択」

 では、実際に高市総理の目指す「消費税率ゼロ」と国民民主党の「社会保険料還付付き住民税控除」とチームみらいの「所得連動型給付」だと、誰がどの程度恩恵を受けるのだろうか。中室氏が実際に試算したグラフのデータを紹介した。

年収ごとに3つの案を比較したグラフ

「私の研究室で試算をして並べてみたグラフ。濃い緑がチームみらいの案、薄い青が国民民主案、薄いグレーの棒が消費税1%の案になっている。横軸に年収が取られている」

「1番わかりやすい国民民主の案でいうと、世帯年収が約600万円のところまでは、(1年で)約10万円の給付がある。チームみらいの案は、所得連動型だから、所得が1番低い人たちの給付が、12万円11万円にと1番多くなっていて、所得が上がれば上がるほど給付額が徐々に減ってくる。消費税は所得の高い人が得になるから、物価高とか社会保険料に苦しむ中低所得の人たちの負担軽減を考えるのであれば、国民民主案やチームみらいの案の方が合理的だと考えることもできる。ただ、国民がどれを望むかだと思うから、1週間の間にちゃんと意思表示をすべきだと思う」

 最後に、結局どのように決着していくのかについて述べ、改めて国民の意思表示の重要さを伝えた。

「国民会議というところで議論をされているけれど、1番最初にその会議の取りまとめとして出てきた案は、チームみらいの所得連動型給付に1番近いような案が出てきていた。しかし、ここ1週間ぐらいの間に、また議論がゼロに戻ったようなところがある。ここ2、3日で急に、2年間食品食料品消費税率ゼロみたいな案が出てきている。それに対して野党の方から、『国民会議で議論してきた話と全然違うじゃないか』という批判も起こっている」

「こういう議論を総じてみると、混沌としていて、どういう決着になるかわからないと私は思う。だからこそ、今このタイミングで国民自身が一体何を求めているのかを意思表示をすることはすごく大事だと思っている。時間を惜しむことなく議論しよう。メディアも国民も是非お願いします」

(『わたしとニュース』より)