母が「老後資金が不安だから」と、私に毎月「5万円」の援助を求めてきます。年収「600万円」でも家計は苦しいのですが、断るのは冷たいでしょうか…?

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「老後が不安だから援助してほしい」と親から頼られたとき、どのように対応すべきか悩む人もいるでしょう。実際、高齢者世帯の家計は厳しい傾向にあり、年金だけでは生活が苦しいケースも少なくありません。   一方で、援助する側の現役世代も決して楽ではありません。毎月の生活費や将来への備えを考えると、毎月5万円の仕送りは家計にダメージを与える可能性があります。   本記事では、「親を助けたい気持ち」と「自分の生活を守ること」の間で悩む方に向けて、現実的な判断基準や、家族関係を壊さない話し合い方を解説していきます。

親への仕送りを断るのは冷たい? まずは年間60万円の重みと親族の扶養義務の正しい境界線を知ろう

母親から「老後資金が不安だから」と毎月5万円の援助を求められると、育ててもらった恩や親孝行の観点から支援を断りにくいと感じる人もいるでしょう。
しかし、毎月5万円の仕送りは年間で60万円、10年間で600万円という非常に大きな金額になります。自分の家計を犠牲にしてまでこの要求をすべて受け入れる必要ないと考えられます。
法律上の義務という観点から見ても、民法第877条において「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められています。ただし、この扶養義務は、自分の生活を犠牲にしてまで相手を助ける義務ではありません。
自分の生活に余力がある範囲でできる限りの援助を行う「生活扶助義務」にとどまります。つまり、年収600万円であっても自身の家計が苦しい状態であれば、法的に見ても無理な仕送りを行う義務はないでしょう。

高齢者世帯と「年収600万円」世帯のリアルな家計収支

高齢者世帯は家計が苦しいケースもあり、年金で何とかやりくりしている世帯も少なくありません。
総務省統計局が発表した「家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、高齢者夫婦の無職世帯では、可処分所得約22万2000円に対し、消費支出は約26万4000円となっています。つまり、毎月約4万2000円の赤字となるため、援助を望むのも自然といえるでしょう。
次に、援助する側を見ていきましょう。年収600万円の場合、家族構成などにもよりますが、一般的に手取りは約470万円(月39万円)ほどとされています。
また、家計調査報告によると、二人以上の勤労者世帯の消費支出は約34万6000円となっています。つまり、手元に残る黒字はわずか4万4000円程度です。
この状況で毎月5万円を母親に仕送りすると、家計は赤字になってしまいます。子どもの教育費の準備や、自分たちの老後資金の貯蓄も難しくなり、将来的に家計が破綻するリスクが高まります。

仕送りを断る・減額するための3ステップ

仕送りを一蹴して関係を悪化させないためには、具体的な数字をもとに話し合うことが大切です。
まずは、母親が実際にいくらの年金を受け取っていて、何にどれくらい使っているのかを確認にしましょう。具体的には、次のような手順を踏みましょう。


・ 母親の通帳を見せてもらい、実際の収支(年金額や固定費など)を書き出す
・ 自身の家計簿を見せ、余裕がないことを伝える
・ お金を直接渡す代わりに、実家のスマホ代の見直しや、高額療養費制度・介護保険サービスなど、公的制度の活用を一緒に調べる

ただお金を渡すのではなく、まずは家計の見直しについて話し合う機会を設けることが大切です。

年収600万円でも仕送りは必ずしも義務ではない|まずは自分の生活を守る選択を

親から援助を求められた場合でも、まずは自身の家計状況や将来設計を踏まえて検討することが大切です。
年収600万円の世帯であっても、日々の生活を維持し、将来への備えを行う中での「毎月5万円」の支出は、家計の根幹を揺るがしかねない大きな負担となり得ます。親を支えたいという気持ちは大切ですが、それによって自分自身の生活や子どもの教育機会、 そして自分たちの老後を危機にさらしてしまっては本末転倒といえます。
冷たく突き放すのではなく、「助けたい気持ちはあるけれど、わが家の家計もこれが限界である」という事実を誠実に伝え、お金を渡すこと以外のサポート方法を一緒に模索していくことが、お互いの未来を守るための賢明な選択となるでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第四編 親族 第七章 扶養 (扶養義務者)第八百七十七条
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編]2025年(令和7年)平均結果の概要 総世帯及び単身世帯の家計収支 Ⅰ 家計収支の概況(二人以上の世帯)2 二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支 図Ⅰ-2-8 二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支 -2025年-(12ページ)、<参考4>65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年-(18ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー