同じ新卒でも「年収差120万円」の衝撃…初任給26万円時代の見えない格差【47都道府県「大卒初任給」ランキング】

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厚生労働省から令和7年の『賃金構造基本統計調査』の結果が発表されました。今回は、これから社会に出る学生や若手社員が最も気になる「大卒新入社員の初任給」に焦点を当て、最新の給与事情を解説します。※本記事では、新規学卒者のうち「大学卒」を大卒新入社員、所定内給与を「月収(初任給)」と表現しています。

賃上げ加速で「初任給26万円」時代へ。学歴差は依然として鮮明

厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査』によると、大卒新入社員の平均初任給は26万2,300円となりました。前年の24万8,300円から1万4,000円(5.6%)の大幅増となっており、深刻な人手不足を背景とした「初任給引き上げ」の動きが統計にもはっきりと表れています。

男女別にみると、男性が26万4,900円、女性が25万9,700円。全世代の男女間賃金格差(男=100)が76.6であるのに対し、新卒段階では98.0と、ほぼ差がない状態からスタートしています。

一方で、同じ「新卒」でも学歴による差は明確です。

●大学院卒:29万9,000円(前年比4.0%増)

●大学卒:26万2,300円(前年比5.6%増)

●高専・短大卒:23万5,500円(前年比5.2%増)

●専門学校卒:23万0,700円(前年比3.5%増)

●高校卒:20万7,300円(前年比5.0%増)

院卒と高卒では、社会人1年目の時点ですでに約9万円の月収差が生じています。さらに、”どこで働くか”によっても、初任給は大きく変わります。まず大卒新入社員の月収を企業規模別に比較します。

●大企業(1,000人以上):26万1,700円(前年比5.6%増)

●中企業(100〜999人):24万0,500円(前年比5.0%増)

●小企業(10〜99人):22万5,600円(前年比3.5%増)

大企業と小企業の差は約3.6万円です。この差は年齢を重ねるごとに拡大し、50代後半のピーク時には大企業52.9万円に対し、小企業43.2万円と、10万円近い開きになります。

業種別(男女計・全学歴含む新規学卒者)では、特定の産業で突出した数字が見られます。最も高い「鉱業、採石業、砂利採取業」と、最も低い郵便局や農協(JA)、森林組合などの「複合サービス事業」を比較すると、大学新卒の段階で月7万円もの差があります。これは将来の資産形成においても大きな格差になると考えられます。

最高:「鉱業、採石業、砂利採取業」30.9万円

最低:「複合サービス事業」23.6万円

都道府県別「大卒初任給」ランキング…トップは28万円超

大卒新入社員の平均給与を都道府県別にみると、昨年は「群馬県」がトップでしたが、今年は「大分県」が28万0,800円で全国トップとなりました。

【都道府県別「大卒初任給」上位5、下位5(男女計)】

1位「大分県」28万0,800円

2位「東京都」27万5,500円

3位「秋田県」27万4,400円

4位「石川県」27万4,000円

5位「千葉県」26万8,300円

43位「福島県」23万4,100円

44位「鹿児島県」23万2,400円

45位「沖縄県」23万1,400円

46位「宮崎県」23万1,000円

47位「山形県」23万0,300円

大卒初任給の平均額は、特定の業種が引き上げる傾向にあります。今回の大分県の場合、「医療、福祉」の大卒初任給が42.0万円と極めて高い水準となったことで、全国1位に押し上げられました。

さまざまな角度から今どきの初任給についてみてきました。昨今は人手不足が深刻化し、新卒者争奪戦の様相を呈しています。しかし給与分布を詳細に追うと、誰もが「新卒者」というメリットを享受できているわけではない、シビアな現実が浮かび上がります。

大卒新入社員の場合、平均給与の中央値は平均より少し下がり24.1万円です。一方で上位10%では29.0万円、下位10%では20.6万円と、月額で10万円近い差が生じています。これに賞与等の差を加味して年収換算すると、1年目から120万円以上の格差がついている計算です。

「初任給アップ」のニュースが世間を賑わせていますが、その恩恵をフルに受けているのは、東京などの大都市圏や大企業に就職できた層、あるいは一部の高賃金業種に限られているのが実情といえるでしょう。

今回の調査で浮き彫りになったのは、地域や企業規模以上に「どの業種に身を置くか」という選択が、社会人1年目の手取り額、ひいてはその後の資産形成のスピードを決定づけるという事実です。空前の「新卒売り手市場」ですが、そのメリットを最大限享受できるか、それとも格差の波に飲み込まれるか。戦略的なキャリア選択の重要性が、かつてないほど高まっているといえそうです。