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70歳の高校生 森じい

クラスメート「ハッピバースデーディア森下さん!」
森じい「ありがとうございます。今日から70代になりました」
クラスメート「すごっ」

【写真を見る】“70歳の高校生” 卒業式は亡き妻と共に 悲しみの底から「忘れ物を取り戻した」4年間

賑やかな誕生日会。

主役はこの学校で教えている先生・・・ではなく生徒です。森下敦さん。50年遅れで熊本県立水俣高校の定時制に入学しました。

ハートのエースは・・・キャンディーズ

森じい「周りは孫みたいな年代ですもんね。じいちゃん感覚で私もおります」

クラスメート「森ちゃん」「森ちゃん」

みんな、親しみを込めて「森ちゃん」「森じい」と呼んでいます。

――トランプでゲームをしながら
森じい「ハートのエースはキャンディーズだった」
クラスメート「何それ?」
森じい「入学した時は怪訝な顔をしていました。でも2か月後にはべらべらしゃべるようになりました」

森じいが高校に入学した理由、それは

孫世代のクラスメートたちとの、笑顔が絶えない学校生活。

森じいが高校に入学したのには、ある理由がありました。

日中、森じいは隣町の鹿児島県出水市で作物を育てています。農園の名前は”フクちゃん農園”。 

森じい「妻の名前がフクヨで、フクちゃんって呼ばれていたから、フクちゃん農園という名前にした」

最愛の妻・フクヨさんとは40年前に結婚。どこへ行くにもいつも一緒でした。

子ども3人を授かり、幸せな日々を過ごしていましたが…

森じい「妻が亡くなったとき、妻を守れなかった悔しさと申し訳なさで自分の髪の毛を剃り落としたんですね」

4年前、フクヨさんは、ガンでこの世を去りました。

妻に誓った「高校卒業」

悲しみに明け暮れる日々の中で、森じいは残りの人生を悔いなく生きることを心に決めます。

そこで、心残りの1つとなっていたのが”高校を卒業すること”でした。

森じい「学校へ行くのを楽しみにしているんですよね、意外と。1人の時間じゃなくなるから」

1日も休まなかった学校生活も、終わりのときが近づいていました。

卒アル、どれ載せる?

担任の先生「卒業アルバムの作成を引き続きやってください」

卒業まで2週間を切ったこの日、卒業アルバムに載せる写真をクラスメートと選んでいました。

森じい「これいいね」

森じい「阿蘇の蕎麦道場に行った時の写真で、わたし経験があったもんだから、勝手に進めたら怒られちゃいまして。他のみんなから笑われました」

森じい「楽しいことは夢のようにあっという間という感じで。寂しいな気持ちが強いですもんね」

卒業式当日

森じいはいつものようにトラックで登校して来ました。

森じい「今日妻も連れてきたのでですね。妻に一番間近で卒業証書を受け取る所を見てもらおうと思って妻も連れてきました」

さらに・・・

森じい「ふうちゃんも来てくれたね。」

森じいの卒業式を見届けたいと、孫と3人の息子たちも駆けつけました。

長男・飛雄馬さん「最初は知らなかった。入学式が終わってお父さん高校生になったって言われて、え⁉ってなった。何事にも一生懸命ですよね。だからこの4年間乗り越えれたんじゃないですかね」

この日、全日制と定時制、合わせて144人の生徒が水俣高校を巣立ちます。

代表挨拶「本日、水俣高校を巣立ち、新たな一歩を踏み出します。今日までも高校生活の日々は楽しかったこと嬉しかったこと悲しかったこと悔しかったこと、たくさんの思い出に溢れています」

仰げば尊し

人生に悔いを残さないため4年間高校に通った森じい。

定時制の生徒を代表して、卒業証書を受け取ります。

森じい「お土産になると思いますよ妻に」

森じい、本名、森下敦さん。

70歳で高校を卒業しました。

森じい「みんな本当にありがとう。楽しい高校生活でした。ありがとうございました」

森じい「楽しい4年間だったかなと思います。学びというのは年齢に関係なく一生涯大切なものだと思う。忘れ物を取り戻すために高校生になって本当に良かった」

――記念撮影
クラスメート「目つぶってるよ!」
森じい「それ、俺にも送ってね!」

<入学時に配信した記事>2024年6月13日
▼先生ですか?「生徒です」68歳の高校生 孫世代と“50年遅れの青春”を決心した理由