脳科学者の茂木健一郎氏が、自身のYouTubeチャンネル「茂木健一郎の脳の教養チャンネル」で「映画『サウンド・オブ・ミュージック』で、一番感動的なシーン。」と題した動画を公開した。不朽の名作ミュージカル映画を題材に、物語の核心となる感動のメカニズムを脳科学的な視点も交えながら深く掘り下げた。

茂木氏はまず、『サウンド・オブ・ミュージック』に登場する「ドレミの歌」やオーストリアの“第二の国歌”とまで言われる「エーデルワイス」が、実はこの作品のために作られたオリジナル曲であるという事実に触れる。「あまりにもよく出来ている」ため、多くの人がその背景を知らないままスタンダードナンバーとして親しんでいると指摘した。

その上で、茂木氏は自身が「一番すごいシーンはここだと思っている」と語る、物語のクライマックスについて言及する。それは、妻を亡くした悲しみから家庭内で音楽を一切禁じていたトラップ大佐が、子供たちの歌声に心を動かされ、自らも一緒に歌い出す場面である。

茂木氏はこのシーンについて、脳科学でいう「エピファニー(真実が明らかになる瞬間)」だと解説。「音楽を禁じていたのは、音楽好きだった亡き妻を深く愛するあまり、音楽に触れることがあまりにも悲しかったから」という、大佐の厳格さの裏にあった真実が明らかになる瞬間だと述べた。子供たちの純粋な歌声によって心の氷が溶け、閉ざされていた家庭に音楽が戻ってくる。このカタルシスこそが、この映画が持つ感動の源泉であると力説した。

最後に茂木氏は、この映画を「最高のプロパガンダ映画」という視点からも分析する。第二次世界大戦下、ナチスの圧政から自由を求めて逃れる一家の姿は、観る者に普遍的な価値観を強く訴えかける。茂木氏は、人間の愛や自由、家族の絆といったテーマを感動的な物語と音楽に乗せて描くことで、結果的に優れたプロパガンダとして機能していると指摘。「プロパガンダ映画はこうじゃなくちゃいけない」と述べ、芸術が持つ力の一側面を示して締めくくった。

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