60歳目前で「理想のグレイヘア」に。途中経過も楽しみ 、自分らしくいられた理由
雑誌『天然生活』『クウネル』などで人気のエッセイスト・広瀬裕子さん(60歳)。ここでは、60歳を迎えるまでの日々で考え、選択し、アップデートしている暮らしの知恵や思いを書き下ろしたエッセイ集『60歳からあたらしい私』より、グレイヘアになるまでの経緯を抜粋して紹介します。

「ヘアカラーをやめよう」そう決意した日

私がヘアカラーをやめることにしたのは、50代半ばを過ぎたときのことです。髪色を白くしていくなかで、気が重いのはその過程ではないでしょうか。私に関して言えば、髪色が白くなるより、途中の中途半端な状態が憂うつでした。
ショートカットでも、白い髪にするには1年かかります。今思うと1年はあっという間ですが「今日から1年後」と言われると躊躇してしまいます。今までカラーをしていた髪色と本来の髪色の2色になった自分を想像し、「もう少し先にしよう」。そう思ってしまいます。
白い髪がすてきな俳優さんもいます。でも、私たちが目にするのは、白い髪になったときの姿。途中は、わかりません。「どんな風に過ごしていたのだろう」と想像します。もし、気持ちよく自分本来の髪色にしていく方法があるとしたら、カラーをやめたいと思う人もいるのではないでしょうか。
グレイヘアを目指すときに決めたこと

白い髪にするとき、決めたことがあります。それは、同時に髪をのばすことです。
白い髪がある程度のびてきた時点で切りそろえるのが、最も早くすっきりする方法ですが、それ以外にもやり方はあるはずです。その「それ以外」を試してみようと思いました。
選択や方法がいくつかあれば、自分に合うやり方が選べます。「カラーをやめよう」と心を決めるきっかけになるかもしれません。なにより私自身が、時間をかけ、白い髪にしていくのです。過程も楽しみたいという思いがありました。
「白い髪が新鮮」という言葉に置き換え、気持ちをきり替えた

私がいくつか大切にしていることに「そのなかに楽しさや意味を見いだす」というものがあります。白い髪にすることもそれと同じ。「白い髪が増えてきた」と捉えるより「白い髪が新鮮」と言葉を置き換えると、楽しさと未来が広がります。
自分がどうすれば快くいられるか、どう考えれば気持ちが軽やかでいられるか。立場や状況は、人それぞれですが、できないことや課題があったとしても、言葉や気持ちをきり替えることはできます。
かつての自分や自分以外のなにかと比較するより、ここにいる自分を大切にし、手をかけられるときはかけ、気を配れるところは配り、思い出したときに背すじを伸ばす─。そんな風に日々を重ねていけたらいいですね。
白い髪になり思うのは「白い髪は、未来の自分と手をつなぐこと」。あたらしい髪色の私は、始まったばかりです。
