記事のポイント
「ストロンガー ウィズ ユー」は当初米国で不人気だったが、TikTokの盛り上がりを受けて再注目された。
若年層の嗜好変化により、重厚な香りが人気となり、フレグランス市場がZ世代男子にも拡大した。
新作発売に合わせたTikTok活用やイベント施策が奏功し、セフォラでの売上が80%増加した。


2017年、ジョルジオ アルマーニ(Giorgio Armani)のセカンドラインで、より手の届きやすい価格のエンポリオ アルマーニ(Emporio Armani)が初めて「ストロンガー ウィズユー(Stronger With You)」というコロンをデビューさせたとき、バニラを全面に押し出したその香りは米国では受け入れられなかった。アルマーニの親会社ロレアル・リュクス(L’Oréal Luxe)のプレジデント、シルヴィア・ガルフォ氏は、おそらく当時は米国市場がこの特別な香りに対応できていなかったのだろうと語る。

一時、この香りは米国市場では販売されなくなったが、英国には残り、活発な#PerfumeTokコミュニティのおかげでブランドが予想もしなかった復活を遂げた。「発売から数年後に我々は市場からこの香水を撤去した。だが2023年の後半には……英国の若いFragToker(フレグランス系TikToker)たちから、この香水はすごくいい、でも米国では手に入らない、といったTikTokのレビューをたくさん耳にするようになった」とガルフォ氏は言う。そして地元での売上が回復し始め、また米国と英国の嗜好は相関する傾向があると同氏は述べた。

TikTokで広がるZ世代男子のフレグランス熱



COVIDの際にフレグランス市場は驚くべき急成長を遂げ、それが持続してティーンエイジャーの男子など、新たな興味深い層を取り込んだ。

「8年前にはその市場は存在しなかった。フレグランスのユーザーはもう少し年齢層が高く、Z世代はユーザーではなかったのだ。男性はアクティブで爽やかな気分になれるようなフレッシュな香りを使っていた。当時、この香りは強すぎる、かなりスパイシーで鼻につくほど主張が強い、などと思われていたかもしれない。[だがその後] 市場は完全に変化した」とガルフォ氏は言う。

「COVIDの後に変化が現れ、それが過去2年間で加速しており、若い世代が超強くて重厚で長持ちするスパイシーな香りを求めてこのカテゴリーに参入している」と、ガルフォ氏は言い添えた。

TikTokでは@Calcologneの名で知られるカラン・ブルメアーズ氏もこの意見に賛同している。同氏は香水に関する投稿を始めて1年足らずで54万4000人以上のフォロワーを獲得した。「私のコミュニティ、つまり若い男性たちはバニラが大好きで、ストロンガー ウィズユーはとても強いバニラの香りで長持ちする」と同氏は述べている。

「製品を市場に再投入するのは容易ではない。小売業者が躊躇して簡単には売れなかった。しかし、我々はTikTokにどれだけの影響力があるのかを熟知しており、確信があった。香水のエキスパートであるFragTokerたちは本当にうまくこの香りを説明している。どのように香りを表現するのか、どのように感じるのかという点で的確だった」。

Z世代に刺さる「ストロンガー ウィズ ユー」戦略



3月、エンポリオ アルマーニは、成長を続けるストロンガー ウィズユーコレクションの第4弾となるストロンガー ウィズユー パルファムをローンチした。これを記念して、5月22日には人気急上昇中のポップスター、ベンソン・ブーン氏(インスタグラムのフォロワー数550万人、TikTokのフォロワー数870万人)による公開パフォーマンスをヴェニスビーチで開催した。

この場所はエンポリオのアイデンティティにぴったりだったとガルフォ氏は言う。そこに集う人々は、おそらくジョルジオ アルマーニのイベントが行われたマリブに来る人々よりも「オルタナティブでオーセンティックで創造的」だ。ブーン氏についてガルフォ氏は、「彼はストロンガー ウィズユーの価値観を体現している。大胆だが本物で、無理をせずナチュラルな魅力を放ち、自分らしく、やりたいことを思うままに楽しんでいる」と述べた。

約1000人のファンがレップベッツ(RepBets)のプラットフォームを通じてブーン氏のコンサートにアクセスできた。コンサートの後、バービー・フェレイラ氏、ルーカス・ゲージ氏、ベニート・スキナー氏、アダム・ディマルコ氏、オーウェン・ティール氏らをゲストに迎え、ブランドによるVIPパーティが開催された。

ブーン氏のイベントのために、アルマーニによってロサンゼルスに招かれたブルーミアーズ氏は次のように話す。「ストロンガー ウィズ ユー[製品]のラインナップは全体的に大衆受けする。万人向けだ。業界にはニッチな香りが好きな人もいて、個人的な意見としては、そういうのは非常にファンキーな香りだ。でもストロンガー ウィズ ユー[の香り]では、アルマーニはさまざまなバリエーションを出すことに成功している。あらゆるデモグラフィック、あらゆる年齢層に合わせたバリエーションがある。新しい[リリースに対する]反応はとても好意的だ」。なかには10歳の子供もいる若いオーディエンスにとって、フレグランスは「現代のトレーディングカード」のようなものだとブルーミアーズ氏は指摘している。

このフレグランスのカムバックは確かな成功を収めつつある。実際にセフォラ(Sephora)では、アルマーニのメンズフレグランスの購入者が最近80%増加したという。

[原文:The unexpected comeback of Emporio Armani’s Stronger With You, with help from #PerfumeTok]

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida、編集:坂本凪沙)