「若者の車離れ」という言葉が聞かれるようになって久しく、とくに公共交通機関の発達したエリアに住む若者にとって、車は「コスパが悪いもの」という考えが定着していると見られます。

実際に、東京23区内などでは「車がなくても何ら不便を感じない」という環境も多いですが、一方で若者たちから「車が欲しい」という気持ちは本当になくなってしまったのでしょうか。

今回は23区内に住む20代~30代の方を対象に、「いくらお金があったら車が欲しいか」を聞いてみました。

「年収1000万円でも買わない」という声も

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まずアンケートに答えてくれたのは、IT系企業に勤務する20代後半の男性です。現在年収は400万円ほどだといいますが、車の維持に対する意欲はどのくらいあるのでしょうか。

「さすがに23区で車はコスパが悪すぎるんで、年収が1000万円になったとしても買わないと思いますね。そもそも年収1000万円も夢のような話ですけど、そうなったら車じゃなくて投資とかに回すかな。

さすがに年収3000万円くらいあったら、1台くらい買うと思いますけど。いや、それでもマンションとかを買うのが先かな」(20代男性・中野区在住)

このように、かなりの稼ぎがあったとしても、「車の優先順位は低い」という意見は多く聞かれました。

広告系の企業に勤める30代前半の男性は次のようにいいます。

「ポンッと1億円くらいもらえたら買うでしょうね。逆にいうと、そのくらいじゃなきゃ無理というか、そもそもこの辺で生活するには不要なものですし。優先順位的にはやっぱり、まず家を買ってからになりますよね」(30代男性・杉並区在住)

たしかに都内で働きつづける前提であれば、「なくても生活できる自家用車」よりも「生活の地盤となる家」の方が優先度は圧倒的に高いのでしょう。

「いくらあっても車はいらない」一体なぜ?

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さらに、不動産会社に勤務する20代後半の男性は、自家用車に対してかなりドライな見方を示してくれました。

「今の年収が800万円くらいですけど、いくらあっても自家用車はいらないかな。維持費を考えると、車で移動したければタクシーの方が安上がりですし、旅行はレンタカーで十分なので。万が一、年収2000万円とか3000万円とかになっても、無駄なお金は払いたくないんですよね」(20代男性・豊島区在住)

こちらの方が住むエリアでは、月極駐車場の相場は2万円台後半だといいます。税金や保険代に加えて、「乗らなくてもかかる費用」がこれだけかかってしまうと、「車を所有するのはお金の無駄」という考えに至っても無理はないのかもしれません。

冷静に考えて無理でしょ……

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就職してから「車が不要な環境」に身を置いていると、そもそも「自分の車を買う」という考えが浮かんでこない人もいるようです。システムエンジニアとして働く20代前半の男性は次のように語ってくれました。

「車はあったら便利ですけど、今の倍くらい稼がなきゃ無理ですね。今の年収が手取りで300万円くらいで、家賃だけでも100万円以上ですし、貯金もできず我慢ばっかで。

倍でも厳しいですかね? 正直車を買うなんて、考えたこともないので。(駐車場の相場を調べて)いや止めておくだけで2万? 完全に無理でしょ、倍でも無理。この辺に止めてる人、みんな富豪じゃないですか……」(20代男性・中野区在住)

このように、稼ぎが増えたとしても、「現実的な維持費を知って諦める」というケースは多いのかもしれません。

車を買うなら引っ越さないと…

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一方で、ライフステージの変化とともに、車が必要になるケースもあるかもしれません。そうした可能性について、アパレル関係に勤務する20代後半の女性は以下のような見解を聞かせてくれました。

「去年結婚したこともあり、そろそろ車が欲しいなとは思うんですけど、今の稼ぎではかなり都心から離れないと無理ですね。年収は夫婦で700万円ちょっとですが、この辺で車を維持するならあと300万円は欲しいかな。

車をもつためだけに通勤が不便になるのもイヤですし、実際に動くのは子どもができてからになりそうですね」(20代女性・練馬区在住)

やはり子育てを視野に入れるのであれば、都内であっても「車はあった方が便利」と考える人は多いでしょう。

しかし23区内に住みつづけながら車を維持するにはかなりの余裕が必要であり、現実的には東京西部や埼玉、千葉あたりのベッドタウンなどを検討する家族は多いと思われます。

このように、23区内に住む若者にとってはとくに「車をもつハードル」は高く、それこそ「宝くじでも当たらないかぎり難しい」といった考えに至る人も少なくないようです。

車がなくとも商業施設や病院など、周辺環境が整っているエリアでは、車は「必需品」ではなく「贅沢品」であり、若者の関心が薄くなるのも無理はないことなのでしょう。