「こんな“律儀な実行犯”見たことない」連続緊縛強盗 素人同然の手口で「格落ちルフィ事件」捜査関係者明かす
所沢の事件現場(写真・梅基展央)
「逃走に使った車をわざわざコインパーキングに停め、出庫する際にはきちんとお金も払っています。しかも、タッチパネルで駐車した番号を打って、お金を払っている。その様子が防犯カメラにバッチリ撮られているし、おまけにタッチパネルには指紋も残っていたのです。強盗事件で、こんな“律儀な実行犯”は見たことがありませんよ」
苦笑交じりにそう話すのは、ある捜査関係者だ。
東京都国分寺市や埼玉県所所沢市で、9月18日から10月1日にかけて相次いで4件発生している強盗事件。いずれの事件も、深夜に複数人で住宅に押し入り、住民らに暴行を加えて緊縛した上で逃走している。奪われたのは現金やカード。警察は、4事件が同じ指示役の犯行の可能性があるとみており、関連性を調べているところだ。
冒頭の言葉は、国分寺市で9月30日に発生した事件についてのもの。犯人の車両が現場付近のコインパーキングに停められていたことの稚拙さに、捜査関係者は呆れていた。さらにこう続けた。
「2023年の、通称『ルフィ』が関与した一連の強盗事件とともに語られることの多いこの事件。しかし、手口を比べると、この『第二のルフィ事件』は、相当な“格落ち”と言えるでしょう。
『ルフィ』一味は、逃走するための車両は現場近くに路駐し、運転手が乗ったままで、すぐに逃走できる体制を取っていました。それが今回は、防犯カメラもついているコインパーキングに停めている。しかも、同じ車両を使って10月1日に埼玉県所沢市で再び強盗事件を起こしています」
車を隠す気さえないような一連の行動。しかし、犯人らの無計画ぶりはこれにはとどまらなかった。
「その埼玉では、コンビニの駐車場に3台停めていた。そのうちの1台は、コンビニの出入り口のすぐ近くでした。『防犯カメラに撮ってくれ』と言わんばかりですよ。それに、きちんと障害者用の駐車スペースを避けて停めているのです。
そのコンビニでは、犯行前に買い物までしていたんです。実行犯で現在指名手配中の森田梨公哉容疑者の様子が防犯カメラに映っていますが、マスクをしているものの警戒感はまったくありません。これでは、『顔も撮ってくれ』と言っているようなものですよ。それだけを見てもまったくのシロウト集団と言っていいでしょう」(同捜査関係者)
国分寺市の強盗事件発生後、警察は使用された車両を緊急手配していたため、同じ車両が使われた所沢市の事件の時にはすぐに現場周辺を包囲し、3人の容疑者の身柄を確保できたという。彼らの計画性のなさがうかがえる。
「こうした強盗犯の場合、逃走する際は別のレンタカーに乗り換えて逃げたりします。現場に来た時に乗っていたレンタカーは、足がつかないようにそのまま乗り捨てるのです。でも、今回はそんな手配は一切していない。
しかも指示役はどんな名簿を使っているかわかりませんが、侵入した家にお金があるかどうかがわからないまま、犯行に及んだとみられています。要するに、情報の精度が低いのです。『ルフィ事件』の時は、狙う家にいつどれぐらいのお金があるのかを犯人らは把握していましたからね」(事件記者)
すでに逮捕された容疑者の供述によれば、逃走する際には電話で「逃げるな」などと脅されていたというが、そんな指示は支離滅裂にも思える。
「全体的に見て小手先でやっているし、計画も雑。指示役は、『ルフィ事件』を見よう見まねでやったと思えるほど。彼らは海外ではなく、もっと身近にいるかもしれません」(同前)
杜撰な犯行を企てた首謀者はだれなのか。全容解明が急がれる。