天皇杯・埼玉決勝で“東京国際大ダービー”が実現! 部員総勢350名、13チーム編成で県内を席巻
優勝した東京国際大FCは、社会人主体で構成する関東リーグ2部で8年目を迎え、準優勝のトップチームは関東大学リーグ1部に加盟。両チームによる決勝対決は3大会ぶり4度目で、通算戦績は2勝2敗。トップチームは前々回大会までに7度出場しているため、大学としては「通算9度目」の天皇杯出場となる。
決勝点は前半18分だ。186センチのMF谷内田嶺央がGK松本のゴールキックをヘッドでそらし、このボールに素早く反応したエースFW樋口航大がループシュート。GKに阻止されたが、拾い直して強シュートを放つと、今度はDFに当たる。再び樋口がこぼれ球を回収し、倒れ込みながら執念で打った3回目の一撃がゴールインした。
後半も相手の速さと巧さ、卓越したパス回しに押し込まれ、守備に追われる展開が長く続いた。それでも5人の選手交代をはじめ、23分過ぎから守備に人手を割く陣形に変え、前後半で計20本のシュートを打たれながらも、GK松本やDF富永涼大を中心に忠実で粘り強く応対。来季の柏レイソル加入が内定しているMF落合陸らを擁すトップチームを無失点に封じた。
東国大の指導に関わって15年目の武藤真一監督は、「恥ずかしい試合でした。何もありません」と切り出し、「本来なら(天皇杯は)トップチームが出たほうがいいんです。ちょっと複雑な気持ちですね」と言って、手放しでは喜ばなかった。
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トップチームの指揮を執る前田秀樹監督は、日本代表MFとして国際Aマッチ65試合に出場した名手。昨季の関東大学リーグ2部で3度目の優勝を遂げて4年ぶりに1部復帰を果たした。就任15年目の今季は開幕戦で明治大に4−0、筑波大に3−1、昨季2位の駒沢大を4−1、優勝した流通経済大も3−0で寄せ付けず、早稲田大に3−0で快勝して破竹の5連勝。4月30日の第5節終了時点で首位に立っている。
これを思えば、武藤監督の心中も理解できる。ただ最後まで集中力を切らさず、果敢に身体を預けてシュートをブロックしたイレブンの戦う姿勢には目を細め、「試合前に明日は母の日。お母さんにありがとうと言える試合をやろうと伝えました」と激励したそうで、しっかりやり遂げた選手を褒めた。
決勝点ゴールを奪った樋口は、右足の骨折で半年間戦列を離れ、この日が先発での復帰戦。「倒れてもやり続けた結果、得点できました、入った瞬間は気持ち良かった。ベンチも含めチーム一丸の勝利です」と笑顔を振りまき、「武藤さんの下で3年間やって格段にレベルアップしています」と指揮官の指導に感謝する。
武藤監督は現役時代、ジェフユナイテッド市原などでJ1通算204試合に出場したMFだった。
初出場した天皇杯は1回戦でY.S.C.C横浜に2−3で惜敗。主将の谷内田は「勝って良かったが、天皇杯までにもっと高めないといけないから、これからがなお大変です。トップチームのためにもひとつは勝ちたい」と意気込みを示した。
東国大FCは関東リーグ2部で、5月1日の前期第4節までに4位の好位置にいる。
同じ大学チーム同士の決戦となったことで、前田監督は大学代表という立場から、トップチームのベンチには入らなかった。試合後「敵の陣地にスペースがないのですから、もっと考えてプレーしないといけない。そのあたりが未熟ですね」と指摘した。
2008年に大学から強化クラブに指定されたサッカー部は、約350人が在籍し13チームで編成。今回の決勝を争った2チームのほか、埼玉県社会人リーグ1部加盟のTIUとドリームス、同2部のハピネスとドルフィンズSCなどがある。
取材・文●河野 正
