政治家や行政に対して不満を持つ人々はどこの国にも存在するものですが、メキシコでは「公約に掲げた道路の補修が行われていない」ことに激怒した人々が、市長をトラックにつないで「市中引き回しの刑」に処してしまったと報じられました。実際にトラックで引きずられる市長の姿を撮影したムービーも公開されています。

Mayor in Mexican city of Las Margaritas dragged through street by angry citizens - The Washington Post

https://www.washingtonpost.com/world/2019/10/09/mexican-mayor-failed-fix-roads-promised-so-angry-townspeople-dragged-him-through-streets/

Mayor dragged through streets with pickup truck for breaking promise

https://mexiconewsdaily.com/news/mayor-dragged-through-streets-with-pickup-truck/



市長がトラックで引きずられる事件が起こったのは、メキシコ南東部のチアパス州にあるグアテマラとの国境沿いの都市、ラス・マルガリータスです。チアパス州は住民の多くが貧しい農民であり、2018年の調査では77%の人々が貧困状態にあるとのこと。

ラス・マルガリータスのホルヘ・ルイス・エスカンドン・エルナンデス市長は、選挙公約に道路の補修を掲げて当選していましたが、実際に道路の補修が行われることはありませんでした。これに激怒した先住民族のグループが市庁舎に突入、市長を連れ出してトラックで引きずり回したと報じられています。

実際に市長が市庁舎から連れ出された際の様子が以下のムービーで確認できます。





右の建物がラス・マルガリータスの市庁舎のようで、市庁舎前の道路にピックアップトラックが停車しています。荷台にはすでに数名の男性がスタンバイ。



棒などを持った複数の人々が、騒ぎながらトラックに近づいてきます。



大勢に囲まれている白いシャツの人物が、市中引き回しの刑に処されてしまったエルナンデス市長。



必死に抵抗する市長を、別の男性が抱え込んでいます。市の職員らも抵抗したそうですが、暴徒化した市民たちには勝てなかったようです。



棒を持った抗議者らは殺気立っており、撮影者自身も身の危険を覚えたのか後ずさりしながらその場を離れました。この後でエルナンデス市長はトラックにつながれ、引きずり回されてしまった模様。



引きずられるエルナンデス市長の姿を監視カメラが撮影したムービーがこれ。





ムービーはかなり暗く、画質も粗め。



それでも、右側からトラックらしきものが走ってきたのがわかります。



その後ろで引きずられているのがエルナンデス市長です。



手を縛られているらしいエルナンデス市長は、なすすべもなく引きずられて画面の左に消えていきました。



エルナンデス市長は警察に救助されるまで数ブロックにわたり引きずられたそうで、すり傷などの外傷を負ったとのこと。警察はこの事件に関連して11人を逮捕したそうで、引きずられてから数時間後にはエルナンデス市長が記者会見を開き、「逮捕された人々は誘拐および誘拐未遂で起訴されるだろう」と述べました。

メキシコでは麻薬組織との抗争などから政治家が襲撃される事件が珍しくありませんが、「選挙公約を守らなかった」といった理由で首長などが襲撃されるのは珍しいそうです。

なお、チアパス州では2019年7月にも「選挙公約を守らなかった」として首長が襲撃される事件が発生しています。ウイシュタンという町では、「水道などの公共サービスを改善する」という公約を町長が守らなかったとして、住民たちが「町長らを女装させて歩かせる」という事件が発生しました。

What to do when the mayor breaks promises? Dress him as a woman

https://mexiconewsdaily.com/news/what-to-do-when-the-mayor-breaks-promises/