資生堂が開発したストレス臭に対策する制汗スプレー「エージーデオ24 パウダースプレー」

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 “スメハラ”という言葉ができるほど、体臭に対する意識が強まっている。におい対策といえば脇に使う制汗スプレーが一般的だが、最近では頭皮や足など他の部位に対策する製品も出現した。またにおいの質に着目した製品も発売された。におい対策市場は拡大をみせている。

承認を取得

 殺菌成分に着目―。マンダムは「頭皮汗臭を防ぐ」効能の承認を厚生労働省から取得。デオドラントスプレー「ルシード薬用 頭皮とカラダのデオドラントジェットスプレー」として展開している。全身に使えるにおい対策スプレーだが、頭皮が発するにおいを抑えられるのが大きな特徴だ。

 同スプレーには、油に取り込まれやすい殺菌剤「イソプロピルメチルフェノール」と油に取り込まれにくい殺菌成分「リゾチーム塩酸塩」を配合している。皮脂量が多い頭皮においても優れた殺菌力を発揮する仕組みだ。

 従来、頭皮はにおい対策の対象にはなっていなかった。同社では調査を実施し、実は頭のにおいを気にしている男女が多いことを発見。ニーズに合った製品を開発した。脇から頭へ、におい対策を一歩前進させる。

 かねてにおいが問題となっていた部位への対策を促進する動きもある。ライオンは、足の汗を抑えるジェル「Ban汗ブロック 足用ジェル」を発売した。足のにおいやムレは、長年生活における悩みとしてあげられている。ただ、同社の調査によると実際に対処している人は2割程度に止まるという。そこで脇汗対策で培った技術を足に応用した。

 ナノイオン制汗成分と耐水皮膜成分を配合。足汗の出口にフタをした上に、耐水ヴェールが密着する。足のにおいやムレの原因となる足汗を、出る前にブロックする仕組みだ。

 確かな効果と使いやすさを両立させ、足のにおい対策を促進する。

ストレス臭対応
 一方、資生堂ではにおいの質に着目する。ストレスが原因で発生する“ストレス臭”の対策製品「エージーデオ24 パウダースプレー」を発売した。

 人間がストレスを感じると発する物質を発見。同物質を「STチオジメタン」と称し、包み込んで目立たなくする「STハーモナージュ香料」を開発した。同香料を制汗スプレーに配合した。

 同社の調査によると、ストレス臭は不安や疲労感を伝染させるという。対策を促し、従来制汗スプレーを使っていない人や、冬にも使用を訴求する。市場自体の拡大に期待がかかる。

競争が加速
 これまでエチケットとして求められていたにおい対策だが、「ストレスを減らす」という意味で健康な生活に直結し始めている。注目され始めてまだ年数の浅いにおい市場は、いまだ開拓する余地が大きい。原因菌の殺菌やにおいの吸着など、技術開発競争が加速しそうだ。
(文=門脇花梨)