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●女性ホルモンが食欲に影響する
それまで順調にダイエットを続けていたのに、生理が近づくと食欲が急に増して、挫折してしまったことはありませんか? もしくは、生理前や生理中に毎回、体が重くなったように感じたり実際に体重が増えたりして、「何とかしたい」と思っている人もいるかもしれませんね。

今回は、この時期における女性の体の状態を理解した上で、できる限り体重を増やさない方法を考えてみましょう。

○体重が増えやすい理由

女性の体では、一般的に、生理が始まる2週間ほど前に排卵が起こります。その後、妊娠に備えて「黄体ホルモン」という女性ホルモンの分泌が増加します。生理前に体重が増えやすくなる現象には、この黄体ホルモンが関係しています。

まず、黄体ホルモンの働きによって、体が子宮内膜を厚くするために栄養や水分をためこもうとし、全身がむくみやすくなります。

また、黄体ホルモンには、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを低下させ、体内の血糖値を上げる作用もあります。血糖値が上昇すると、それを下げようとしてインスリンが過剰に分泌されます。すると血糖値が急激に低下して、低血糖の状態に。低血糖になると空腹感を覚えやすくなり、つい食べすぎてしまう原因になります。さらにインスリンには、脂肪を合成して蓄える働きがあるため、体に脂肪がつきやすくなります。

生理が始まると、黄体ホルモンの量は減るのですが、生理中は体温が低くなり、血行や代謝が悪くなる傾向があります。つまり生理前から生理中にかけての時期は、むくみや食欲の増加、代謝の悪化などによって体重が増えやすく、ダイエットしても体重が落ちにくい時期と言えるのです。

●体重を増やさない4つのコツとは
○「体重キープ」を目標に

では、ダイエット中の人や体重を増やしたくない人は、この時期をどのように過ごせばいいのでしょうか。まず、心身ともに不安定なこの時期に、過剰な食事制限や激しい運動は禁物。たとえ体重が自然に1〜2kg増えてしまったとしても、多くの場合はむくみによるものなので、生理が終われば自然に戻ることがほとんどです。ダイエット中の人は休息期と考え、3食の食事をきちんととって、規則正しい生活を送りましょう。その上で体重増加を防ぐために、次の対策を実践してみてください。

・糖分の多いおやつは避ける
我慢しすぎると反動で食べすぎることもあるので、お腹がすいたときは適量の間食をとってもかまいません。ただし、チョコレートやケーキなどの糖分の多いお菓子は、カロリーが高い上、血糖値を急激に上昇させ、低血糖の原因になります。間食するなら、チーズ・ナッツ・煮干し・玄米のおにぎりなどの血糖値が上がりにくい食べ物を選びましょう。

・利尿作用のある食べ物・飲み物をとる
この時期に体がむくむのは自然なことですが、むくみがひどくて気になる場合は、利尿作用のあるきゅうりやスイカ、余計な塩分を排出する作用を持つ「カリウム」を多く含む食べ物(リンゴ・バナナ・アボカドなど)をとるといいでしょう。

・軽めの運動をする
激しい運動は体に負担をかけますが、散歩程度の軽い運動は、カロリーを消費するためにも血行をよくするためにも有効です。ストレッチや体操など、室内でできる運動でもかまいません。

・衣服や入浴で体を温める
生理前・生理中は、体に水分がたまって冷えやすく、血行も悪化するので、夏場もインナーウェアや靴下などでしっかり保温を。生理中でも、自宅の清潔な湯船であれば、ゆっくり入浴しても良いでしょう。

生理が終わると、それまでとは一転して、基礎代謝が上がり、体重が落ちやすい時期になります。生理後から次の排卵までの期間に、アクティブな運動を取り入れた本格的なダイエットを再開すると、効率的に理想体重に近づくことができるでしょう。ダイエット成功のためにも、生理前や生理中は無理せずリラックスして過ごすことが大切です。

※画像は本文と関係ありません

○記事監修: 星合明 医師

星合勝どきクリニック 院長
1986年獨協医科大学・医学部医学科卒業。1992年獨協医科大学大学院卒業。同年獨協医科大学付属病院産婦人科臨床助手。1994年より獨協医科大学産婦人科教室非常勤講師。その後、文京区星合産婦人科病院副院長を経て2001年2月より、東京都中央区勝どきにて「星合勝どきクリニック」を開設、医長を務める。

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