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ボルボが安全を研究し続けてきた、安全とその重さ

ボルボのセーフティセンターでシニア・テクニカル・スペシャリストを務める、ロッタ・ヤコブソン博士によるセミナーに参加しました。35年以上にわたり自動車安全の研究・開発に携わってきた、この分野の第一人者です。

【画像】ボルボ『子どもの車内安全に関するメディアセミナー』 全21枚

筆者は数年前、一般財団法人日本交通安全教育普及協会の『チャイルドシート認定指導員』を取得しました。チャイルドシートを正しく着用しなかったが故に子どもが亡くなってしまうニュースを目にするたびに、正しい知識があれば防げたはずの事故を少しでも減らしたい、という思いから取得したものです。


ボルボのセーフティセンターでシニア・テクニカル・スペシャリストを務めるロッタ・ヤコブソン博士。    ボルボ

そのため、安全への姿勢で知られるボルボの安全思想には、以前から強い関心があり、今回のセミナーへの参加は楽しみでした。

「メディアが知らないと、世の中の大人は正しい知識を得ることができない。大人が知らないと、子供の安全を教えてあげる人がいない」という言葉から始まったセミナーは、冒頭から引き込まれるものがありました。

スクリーンには1950〜60年代の映像が流れ、こんな昔からすでに自動車安全の研究が始まっていたことに驚きました。ボルボの安全思想の根底にあるのは『人間が中心』という考え方。『クルマが安全に走れる』から始まり、『人が守られる安全』、そして『衝突を回避する安全』へと進化してきたといいます。

その象徴ともいえるのが、1959年に開発された3点式シートベルトです。骨盤と肩を支えるこの仕組みは今も有効で、「なぜなら人間は変わらないから」というロッタ博士の一言が印象的でした。

8万人以上の実際の事故データを収集・分析し、現場で得た知見を安全技術に活かすサイクルが続いているといいます。さらに、ボルボの研究結果が他メーカーのクルマにも反映されているという話に、このブランドが自動車全体の安全水準を底上げするのに貢献していることを再認識させられました。

4歳まで後ろ向き。知っているようで知らない、チャイルドシートの正解

セミナーのメインテーマは、衝突時における子どもの安全です。ボルボが推奨するのは、最低4歳まで後ろ向きチャイルドシートを使用すること。さらに身長140cmに達し、かつ10歳以上になるまでブースターシートを使用することを勧めています。

後ろ向きチャイルドシートの発想は、宇宙飛行士の着座姿勢から着想を得たもの。スウェーデンのチャルマース工科大学のアルドマン教授によって1964年にプロトタイプが作られ、1967年に市販化されました。


後ろ向きチャイルドシートは1960年代から進化し続けている。    ボルボ

なぜ後ろ向きなのか。交通事故の大半は正面・前方衝突で、スピードが出ている場合が多い。子どもは頭が重く大きく、首が細くて弱いうえに、新生児の首の骨はまだ軟骨で、骨になりきれていない状態です。それを後ろ向きに乗せることで、衝撃を頭部と胴体に分散させることができるのです。

「身長が達しても骨が達していないこともある」という言葉には、ハッとさせられました。

また、ブースターシートが必要な理由も明快。子どもには骨盤の突起がないため、座る位置が低いとお腹を圧迫してしまいます。ブースターシートによって骨盤で体を支え、シートベルトを正しい位置に当てることができるのです。

ショルダーベルトは首の方に来ていても、衝撃時はずれ込むため問題ないそうです。厚手のジャケットを着ているとベルトに大きなたるみができてしまい、本来の性能を発揮できないため、乗車時は脱いだほうがよいという指摘は、大人にも当てはまる話でした。

車内センサーが『第二の目』になる。そして今日からできること

セミナーの後半では、子どもやペットの車内置き去り防止サポートについて紹介がありました。

熱中症による車内死亡事故は、過失よりも疲労や注意散漫によって引き起こされることが多いといいます。人間の脳が『忘れる』という状態になってしまうのは、誰にでも起こりうること。だからこそ、クルマが『第二の目』になる必要があるとロッタ博士は言います。


これまで8万人以上の実際の事故データを収集・分析し、安全技術に活かすサイクルが続いている。    ボルボ

ボルボが搭載している車内センサーは、ミリ単位で呼吸時の胸の動きまで感知できるというもの。車内に誰かがいる場合、呼吸などを検知するとドアをロックできなくなります。さらにEVでは、ロック後も車内に人がいる場合、バッテリーが続く限り空調を作動させ続けるといいます。

一方で印象に残ったのが「ボルボ車でなければできないわけではない。我々の意識次第でできることもある」という言葉です。

ロッタ博士はセミナーの締めくくりに、どのクルマに乗っていても今日から実践できる安全のヒントを紹介してくれました。

子どもとの安全なドライブのために、今日から実践できる安全のヒント

1.子どもの体格と年齢に合ったチャイルドシートを必ず使用する。
2.できるだけ長く、少なくとも4歳までは後ろ向きチャイルドシートを使用する。
3.後ろ向きチャイルドシートを助手席で使用する場合は、前席エアバッグがオフになっていることを確認する。
4.チャイルドシートが正しく取り付けられ、子どもがチャイルドシートに正しく固定されていることを確認する。
5.ブースターを使用する際は、以下を確認する。
・腰ベルトが骨盤の上、太もも側にかかっていること
・肩ベルトが胸と肩にかかっていること
6.ブースターシートを使用する子どもには、シートベルトプリテンショナーと優れた総合保護性能を備えた、安全なクルマが重要。
7.子どもやペットを、絶対に車内に放置しない。

子どもの安全を守るのは、クルマの性能だけではありません。大人がきちんと知ること、そしてメディアがそれを伝えること。その役割の重さを、改めて感じたセミナーでした。


画面は実際の事故状況を再現するために開発された衝突試験施設。    ボルボ