森保監督 半年続投の舞台裏「W杯優勝でも半年契約を変えないつもりだったのか」日本協会の方針は二転三転
日本サッカー協会は日本代表の森保一監督(57)と27年1〜2月のアジア杯サウジアラビア大会まで契約を延長。来年3月以降はU―21日本代表監督の大岩剛氏(54)を兼任でA代表監督に据える異例の決定を下した。交渉の舞台裏では何が起きていたのか。関係者の証言をもとに、水面下の動きに迫った。
W杯開幕を約3カ月後に控えた3月。日本サッカー協会の宮本恒靖会長は森保監督にW杯北中米大会後の契約を結ばない方針を伝えた。外国人監督の招聘(しょうへい)を本線として、水面下でトットナムで欧州リーグを制したアンジェ・ポステコグルー氏に接触。Jリーグの野々村芳和チェアマンらの外国人監督を推す動きもあり、ザルツブルク、ベンフィカなど名門クラブの監督を歴任し、現在はJリーグのアドバイザーを務めるロジャー・シュミット氏の名前も挙がった。
だが、調査段階で10億〜20億円規模の予算が必要なことが判明して方針を転換。1度は契約打ち切りを伝えた森保監督に、5月に急転して続投オファーを出した。宮本会長は24日の会見で「外国人の監督が来てゼロからスタートするのがいいのかなど、さまざまな議論をした結果、継承を優先した」と説明している。
この時点で30年W杯はU―21日本代表監督の大岩氏をA代表監督に据えるプランが固まっていた。当初、森保監督に口頭で伝えた期間は1年だったが、少しでも早く新体制に移行すべきとの声が内部で上がり半年に短縮。同時に大量のコーチ陣にも契約延長オファーを出す必要があるため、1年と半年では人件費に大きな差が出るとの考えもあったとされる。複数の日本協会幹部からは「つなぎのような契約で森保監督への敬意を欠く。失礼だ」との声も上がった。
日本協会の内規は日本代表監督の選考は会長、技術委員長、会長が指名する助言者による「3者」で候補者を一本化すると定めている。助言者は18年W杯ロシア大会で日本を指揮した西野朗氏。関係者によると、宮本会長は森保監督に続投オファーを出す5月の段階でG大阪時代に選手と監督の間柄だった西野氏に協力を仰いだという。西野氏が監督を務めたW杯ロシア大会のコーチが森保監督で、師弟関係にある。当初、西野氏は森保監督への敬意を欠く日本協会への協力に難色を示したが、最終的には日本サッカーの未来を考えて一肌脱いだ。
W杯後は年内に親善試合6試合が組まれており、アジア杯で決勝まで勝ち進めば最大で13試合。森保監督は「私が新監督から13試合を奪うことになるかもしれないと考えた」と葛藤を明かしている。それでもアジア杯を制して少しでもFIFAランクを上げることが日本の将来につながると判断して承諾。二転三転した日本協会の方針に振り回されたことは「雇う側と雇われる側のシンプルな関係。宮本会長は真っすぐ向き合ってくれてありがたかった」と問題視せず「納得してやらせていただいた」と強調した。
そもそも日本協会は3月や5月段階で森保監督に契約に関する話をする必要があったのか。ある日本協会関係者は「水面下で他の監督に接触するなどの準備は必要だが、本来はW杯の結果や内容を検証した上で森保監督に契約に関する話をするべき。W杯で8強や4強、優勝していても半年間の契約延長を変えないつもりだったのか。それは世論が許さないのでは」とあきれ顔でつぶやいた。(特別取材班)

