女性の健康課題巡る経済損失は3兆円超、解決目指す「フェムテック」広がる…トイレにナプキン・体調予測
女性特有の健康課題による負担を低減するため、国内各社が商品やサービスの提供を進めている。
生理や更年期症状などによる経済損失額は3兆円を超えるとの試算もあり、政府も活用を促している。(寺田航)
「急な生理が来た時、自由に使うことが出来てよかった」。東京都世田谷区が4月、公共施設のトイレに生理用ナプキンを自動で取り出せるシャープのディスペンサー「トドクト」を設置すると、区には利用した女性から感謝するメッセージが届いた。
トドクトは通信機能があり、ナプキンの残り枚数が少なくなると自動で知らせてくれる。公共施設などではトイレに生理用品を常備するケースは少なく、利用状況を管理しやすくすることで普及を狙う。シャープの谷村基樹・新規ヘルスケアPJ課長は「生理用品が当たり前に提供される環境をつくりたい」と話す。
女性特有の健康課題を技術で解決する商品やサービスなどは「フェムテック」と呼ばれ、参入する企業が相次いでいる。
パナソニックはクリップ型の専用機器を就寝時に装着し、衣服内の温度変化を計測してスマートフォンのアプリで体調を管理できるサービス「リズモ」を提供している。衣服内温度は月経のリズムと連動するとされ、生理周期や睡眠状態に関係した体調変化を前もって予測しやすくなる。
新興企業の「ハーライフラボ」(沖縄県)は、更年期症状に特化したオンラインサービス「ビバエル」を手がける。
損失「3兆円超」
経済産業省によると、女性特有の健康課題に関連した経済損失額は、月経に伴う体調不良の月経随伴症で約5700億円、更年期症状で約1兆8700億円で、婦人科がんなどを加えると総額で3兆円を超える。更年期症状や不妊治療で離職にいたるケースがあり、女性が健康的に働ける環境づくりが求められている。
経産省は企業向けのガイダンスを今年5月に初めて公表した。経営者や管理職、人事担当者ら向けに、社員に対するフェムテック導入の意義や導入事例などをまとめた。
新興企業の「リンケージ」(東京都)は企業など向けに男性が生理痛を疑似体験できる研修を実施している。電気で腹筋を刺激する専用装置を身につけることで、生理痛に近い症状を再現する。担当者は「男性もつらさを共感できれば、負担がある女性とのコミュニケーションが図りやすくなるのではないか」と話す。
ニッセイ基礎研究所の乾愛研究員は「女性の管理職や正社員への登用が進む中、健康状態を最適化していく環境整備が求められる。職場などで理解を深める機会を増やしていくべきだ」と指摘している。

