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マニュアル操作にこだわる理由

次世代のBMW『M3』の内燃機関搭載モデルが、テスト走行のためにニュルブルクリンクに姿を現した。量産モデルでは、これまでのようにマニュアル・トランスミッションが搭載される可能性がある。

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7月初頭、AUTOCARの取材に応じたBMW M部門責任者のフランク・ファン・ミール氏は、ガソリンエンジン搭載高性能車については「可能な限り長く」マニュアル・トランスミッションを提供し続けると述べていた。


次世代M3の姿を予告するBMW Mコンセプト・ノイエ・クラッセ    BMW

同氏は、従来オートマティック・トランスミッションが主流だった米国市場において、小型クーペの『M2』の販売が実際にはオートマティックとマニュアルで50対50の割合で分かれていることを指摘した。

また、シフト操作によって運転の没入感が高まるとし、「わたし達は、自分でシフト操作を行うというこの機械的なつながりを重視しています。これは単なる技術的な問題ではなく、感情的なものであり、今もなお重要な意味を持っているのです」と語った。

しかし、ファン・ミール氏によると、一般向けモデルにマニュアル・トランスミッションを搭載することは難しくなりつつあるという。

「サプライヤーの数は減りつつあり、運転支援システムの導入が進む中で、駆動系を切り離すことがますます困難になっています。無理に切り離そうとすると、運転支援システムだけでなく、マイルドハイブリッド・システムからも切り離すことになるのです」

しかし、同氏は「不可能というわけではない」として、「マニュアル・トランスミッションを可能な限り長く維持するつもりです」と力を込めた。

トレードマークの直列6気筒エンジン

いずれにせよ、次世代の内燃機関搭載M3で注目すべきは、ターボチャージャー付き3.0L直列6気筒ガソリンエンジンだ。

これは、ドイツのライバルブランドとは異なるアプローチだ。アウディRS5は、従来のRS4の2.9L V6エンジンを維持しつつプラグインハイブリッド(PHEV)化したのに対し、メルセデスAMG C 63はV8エンジンから4気筒PHEVへと移行した。


BMW M3ツーリングの直列6気筒エンジン

M2や『M4』にも搭載されているBMWのS58エンジンは、最近、ユーロ7排出ガス基準を満たすために大規模な改良が施された。まず、プレチャンバー燃焼と呼ばれる燃焼方式に対応した。この方式では、燃料がメインチャンバー(主室)に到達する直前の小さな空間(副室=プレチャンバー)で、少量の燃料に点火する。これにより高エネルギーの「ジェット」が発生し、それがメインチャンバー内の混合器を一気に燃焼させる。

BMWによると、従来のスパークプラグよりもはるかに高速であり、複数の利点があるという。その中でも最大の利点はエネルギー効率の向上、ひいては燃費の向上であり、排出ガスの削減につながるのだ。

プレチャンバー燃焼は、燃料の早期爆発(ノッキング)の抑制にも寄与しており、より高い圧縮比での走行が可能となり、結果的に出力の向上につながる。

改良型のS58エンジンには、新しい可変ジオメトリーターボチャージャーも搭載されている。

環境規制に対応しつつ性能を維持

これらの対策により、BMWは排出ガス規制対応に伴う出力低下を最小限に抑えることができた。「出力は現行のエンジンと同等」になるという。参考までに、現行のM3は最高出力530ps、最大トルク66.2kg-mを発揮する。

ファン・ミール氏はAUTOCARに対し、次のように語った。


BMW Mコンセプト・ノイエ・クラッセ    BMW

「BMWは今日、M3で業界をリードしており、その地位を手放すつもりはありません。だからこそ、(開発プログラムの開始当初に)現行エンジンをユーロ7基準に適合させると最初に述べたのです。そして、それはすでに完了しています」

「次世代M3について言えば、ドライブトレインはすでに揃っています。もちろん、内燃機関搭載のM3についても計画通りに開発を進めています」

ファン・ミール氏は、「出力を維持できると確信している」と自信を見せたものの、改良型エンジンの課題として冷却を挙げた。

「サーキットを走れば、当然ながら温度が問題になります。これに対処するため冷却性能を向上させましたが、大型エンジンとそれに必要な大型クーラーには、さらに高い耐久性が求められるという課題があります」

実際、ニュルブルクリンクで目撃された次世代M3のプロトタイプでは、フロンドエンドに大きな開口部が設けられており、その中には大型のインタークーラーが収められていた。なお、リアエンドでは4本出しマフラーも確認できた。

電気で走るか、内燃機関で走るか

次世代M3のガソリン版とEV版は異なるプラットフォームをベースとするため、実質的にまったく別のモデルとなるが、共通のデザインを採用する予定だ。デザインは6月に公開された『Mコンセプト・ノイエ・クラッセ』が参考となる。

ガソリン版とEV版の主な違いとしては、前述した大型のフロントグリルに加え、リアディフューザーのサイズが挙げられる。EV版では排気管がないことためアンダーボディの空力性能を高めることができるが、4本出しマフラーを備えたガソリン版ではこれは不可能だ。


BMW Mコンセプト・ノイエ・クラッセ

ファン・ミール氏は、M部門の今後の展開として、顧客に内燃機関とEVの選択肢を提供することが重要だと述べた。

「『エンジン音や外観が好きなため、あるいは充電できないため』という理由で内燃機関車を選ぶというお客様もいらっしゃるでしょう。それはまったく問題ありません。レースやドライビングダイナミクスにこだわるなら、EVを好むかもしれません」

「しかし、(どちらのバージョンも)顧客層は実際には同じです。選択も今までと同じようにできます。M2、M3、M4、あるいはMパフォーマンスモデルを購入するかを選ぶように。これからは『電気で走りたいか、内燃機関で走りたいか』という選択もできるようになります。わたし達は、クルマの走りや運転感覚は常に変わらないということをお約束します」

ステーションワゴン導入にも期待

BMW Mの販売責任者シルビア・ノイバウアー氏は最近、AUTOCARの取材に対し、内燃機関搭載M3の価格はEV版と「同程度」になると語った。

一方、セダンと並び、ツーリング(ステーションワゴン)も引き続きM3のラインナップに加わる見込みだ。


BMW M3ツーリング

「M3ツーリングは、当社のラインナップの中でも最高のモデルの1つです」とノイバウアー氏は述べている。

中国では予想外の成功を収めた一方、より大型の『M5ツーリング』も米国で売上予想を上回ったという。どちらの市場も、これまではBMWのステーションワゴンに対する需要がそれほど高くなかった。