女子ゴルフ・倉林紅プロ 苦労人ルーキーのツアー初優勝を支えた、震災を乗り越える“父の教え”
女子ゴルフツアー「資生堂・JALレディスオープン」で、ルーキーの倉林紅(こう、21)が史上最多の7人のプレーオフを制し、待望のツアー初優勝を飾った。昨年のプロテストは3度目の挑戦で4位合格。同年のQTは15アンダーの1位で通過した。昨年の合格組は埼玉栄高3年だった伊藤愛華や20歳のジ・ユアイら豊作といわれたが、そのなかで先陣を切っての優勝となった。プロゴルファーの沼沢聖一氏が言う。
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「大型プレーヤーが出てきたという感じです。百戦錬磨のプロが出場権を争うQTで1位になり、今回も7人のプレーオフを勝ち抜いたのは精神力が強い証拠。ショットがしっかりしていて、アイアンの距離感もいい。なによりグリーン上がうまく、パットのうまさでプロとして生き残り、賞金を稼げるタイプです」
故郷は宮城県富谷市。東日本大震災を5歳で経験している。自宅は激しい揺れに見舞われた。
「震災から半年後、父・大作さん(54)の"夢を持って新しいことをやろう"というひと言をきっかけに、4歳上の兄・太聖さんと一緒にクラブを握った。それまでやっていた体操もダンスも苦手だったというが、ゴルフについては父から"おまえなら絶対にできる"との声がけに応えようと努力を重ねたといいます。トイレに『挑戦目標』と『現実目標』を書いた紙を貼り、着実に進歩してきた」(担当記者)
2005年生まれの同世代には、昨年ツアーデビューして初優勝も飾った荒木優奈(21)や入谷響(21)など強豪が揃うが、倉林も東北で圧倒的な強さを見せて東北中学選手権を3連覇。宮里藍を輩出した東北高に進んで活躍した。
「ただ、一発合格とみられていたプロテストでは2度の不合格という苦労も味わった。ちなみに名前の『紅』には、両親の『紅一点、キラリと光る存在に』という願いが込められているといいます。これまでの歩みは家族の支えがあってのものでしょう」(前出・担当記者)
プロテスト合格後の昨年のファイナルQTのトップ通過は、開催コースで研修生をする兄がバッグを担いでサポートしたこともプラスに働いた。JLPGA関係者はこう言う。
「新人プロが1年目から活躍するパターンが増えている。昨秋のプロテスト合格者22人のうち9人がQT上位となりレギュラーツアーデビューしており、誰が先頭ランナーとして初優勝するかが注目されていた。
プロテスト1位タイの伊藤愛華はQT16位、4位の倉林紅はQT1位の資格でツアー前半戦に挑んだ。倉林は2月の開幕前哨戦となる若手プロの2日間大会(INTLOOPグループレディースカップ)でも逆転優勝して300万円を手にしている。優勝者には『アース・モンダミンカップ』への出場権を手にするなど期待はされていた」
ツアー初優勝後は「もっと強くなって、女子ゴルフを盛り上げたい」と笑顔を見せた。震災の記憶を胸に、21歳の背中を家族が押し続ける。
※週刊ポスト2026年7月24・31日号
