【イメージ】マイナンバーカード

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 政府は、感染症の世界的大流行(パンデミック)の際や物価高対策で国がマイナンバーを活用し、国民に現金を直接給付できるシステム基盤を整備する方針を固めた。

 政府が近く閣議決定する「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に関連システムの改修方針を明記する。政府と与野党が検討中の新たな給付制度での利用も視野に入れている。

 国が新たな基盤整備に動く背景には、新型コロナウイルス禍への対応で行った現金給付の反省がある。実務を担う市町村の作業が混乱し、行政のデジタル化の遅れが浮き彫りになった。

 重点計画の原案では、この経験を「デジタル敗戦」と位置づけ「困っているタイミングで必要な手を迅速に、直接に差し伸べることも可能な給付インフラを構築していくことが極めて重要な課題だ」と強調した。市町村任せで過重な負担が指摘されていた給付実務の転換を目指す姿勢を示したものだ。

 新たな基盤は、予算執行などを管理する官庁会計システム「ADAMS」を一般向けに使うことを想定している。振り込みを指示すると、日本銀行から各金融機関を経由して、マイナンバーとひもづく個人の公金受取口座に現金が届く仕組みだ。

 現在も事業者への支払いなどで使われている手法だが、1日当たりの振込件数に上限があるため、ADAMSと日銀の振り込みシステムを改修する方針を原案に盛り込んだ。

 政府と与野党による社会保障国民会議では、2029年度から中低所得者の税・社会保険料負担を軽減するための給付制度の導入を検討している。原案では制度導入にあたり「公金受取口座の登録と利用を前提とする方向で給付主体との調整を図る」と明記した。

 ただ、公金受取口座の登録は現在、5割程度にとどまっている。給付を全国民に公平に行き渡らせるには登録率を100%に近づけることが不可欠となる。口座が本人のものかどうかの確認作業の円滑化や、給付を担う人員の確保、組織の整備などの課題も残っており、システムの導入時期が今後の焦点となりそうだ。