舘ひろし76歳、免許返納迫られるスターを演じ…セルフパロディーに「自分をさらけだすしかない」
さっそうとハーレーダビッドソンに乗っていた映画スターが、運転免許の返納を迫られる――。
公開中の「免許返納!?」で、舘ひろしが演じる主人公、南条弘はそんな窮地に追い込まれる。俳優としての自身のセルフパロディーとも言える映画に、舘は「自分をさらけ出すしかない」と取り組んだ。(近藤孝)
「免許返納!?」冒頭の場面。70歳になった南条は、「老人家族」という映画で枯れた老人を演じ、味わい深い演技が評価される。古希を祝うパーティーの席でも喜びを語るが、内心は若い頃のようにアクションを演じたいと思っている。
「それは、私自身かな」と舘。南条同様、「演技派になりたいと思わない。それだけの実力もないし、そういう教育も受けていない」と語る。
現在76歳の舘は、1976年の映画デビュー作「暴力教室」で不良グループのリーダー役を演じた。以降、「皮ジャン反抗族」やテレビドラマ「西部警察」などで、アクションスターとしての地位を確立。ドラマと映画の「あぶない刑事」シリーズでも、ショットガンを手にハーレーにまたがる姿がトレードマークになった。
昨年公開された映画「港のひかり」では、目の不自由な少年を支える元ヤクザを好演。渋みのある名演だったが、「あれは、ただただ気持ちのままに演じただけで、結果としてああいうふうになったんです」と照れくさそうに話す。
南条は、「車やバイクよりも大事なものがある」と発言したことが、免許返納の意思表明と誤解される。映画の後半は、訳あって返納を拒む南条とマネジャー(西野七瀬)が東北を旅するロードムービーになるが、舘のコメディータッチの演技が何度も笑いを誘う。
南条はダンディーだけど、おちゃめだ。「舘さんもおちゃめ?」と尋ねると、「どうなの?」と取材に同席したスタッフらの顔を見て、「そうだって言ってますよ」。「自分ではどう思う?」と重ねて聞くと、「僕はまじめに生きているつもりです」とちゃめっ気たっぷりにほほえんだ。
本作では、そんな舘の多彩な顔を楽しめる。存在感が際立つが、映画スターは「化石みたいなものでしょ」とぽつり。「映画スターっていうのは、映画でデビューした人。僕はたまたま最初が映画だったけど、今は映画でデビューして主役をはって、という時代じゃないのでは」と自身のデビュー時を振り返る。
とはいえ、映画への思いは尽きない。俳優・舘ひろしを育てた石原プロモーションの先達たちの名を挙げ、こう語った。「映画は石原(裕次郎)さん、渡(哲也)さん、小林(正彦)専務の夢だったわけですから、僕もそれを背負っている。当然、映画に出続けることへのこだわりはあります」

