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 がん医療の中心的な役割を担う都道府県がん診療連携拠点病院の9割が、薬物治療の専門医が不足していると考えていることが読売新聞の調査で分かった。

 がん対策基本法の成立から20年で医療は進展したと、回答した病院の全てが答えた。医療技術の進歩に対し、適切に薬を取り扱う人材が十分にいない実情が浮き彫りになった。

 同法は2006年6月に成立した。20年を迎えるのに先立つ今年4〜5月、医療現場の状況を51の全都道府県拠点病院の院長を対象に調査した。41病院が回答した(回答率80%)。

 がん医療を提供する上で不足する人材を尋ねた結果(複数回答)、35病院(85%)が薬物治療の知識と技能を持つ「腫瘍内科医・薬物療法専門医」を挙げた。細胞や組織を調べる「病理医」の31病院(76%)や、「消化器外科医」の26病院(63%)などを上回った。「腫瘍内科医の減少により新規の患者受け入れを縮小した」との回答もあった。

 地域のがん医療の20年間の進展についても尋ね、全41病院が「進展した」と答えた。理由は「手術・放射線・薬剤の治療法」や、患者一人ひとりの遺伝子を調べて効果的な治療薬を見つける「ゲノム医療の普及」が多かった。

 近年、免疫本来の攻撃力を回復する新薬などが次々に登場している。がんが進行した患者でも長期に生きられるケースもある。新薬は心筋炎などの命に関わる多様な副作用が表れる場合があり、薬物治療の専門医の必要性が高まっている。

 日本臨床腫瘍学会の吉野孝之理事長は「薬物治療の進歩は目覚ましいが、きちんと管理できる医師の育成が追いついていない。専門医が対応した場合に診療報酬を手厚くするなど、国には専門医の養成を後押ししてほしい」と話す。

 ◆がん対策基本法=日本人の死因1位のがんについて、全国どこでも高い水準の診療を受けられる体制や、患者が安心して暮らせる社会の実現が掲げられた。適切な治療を受けられずに病院を転々とする「がん難民」が社会問題化したことがきっかけになった。法に基づき、国は5〜6年ごとにがん対策の基本計画を策定している。