広大な宇宙のどこかには地球外生命体が存在していると考える人は多い一方で、「これまで地球に宇宙人が現れていない」ことを高度な知的文明を持つ生命体が地球外に存在していない理由として主張する人もいます。その説に対し、ニューサウスウェールズ大学シドニー校で科学コミュニケーションおよび宇宙生物学を研究するキャロル・オリバー教授は、「宇宙人が存在するとしても、宇宙人が地球を訪れない理由が3つある」と解説しています。

Aliens might exist. But there are three reasons why they’re not visiting us

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宇宙人が存在しても地球に訪れない理由としてはまず、宇宙が大きすぎることが挙げられます。太陽に最も近い恒星であるプロキシマ・ケンタウリは太陽から地球までの距離の26万8000倍に相当する約40兆km地球から離れています。天文学者の測定ではこれは「4.3光年」に相当し、光の速さで進んでも到達までに4年と数か月かかることになります。

現代の技術では、宇宙空間を移動できる最も高速な宇宙探査機であるパーカー・ソーラー・プローブでも最高速度は秒速191kmと、光速の0.064%に過ぎません。パーカー・ソーラー・プローブの速度だとプロキシマ・ケンタウリに到達するまで約6650年かかる計算になります。つまり、それより遠い恒星系に知的生命体が存在していたとして、仮に地球と同じタイミングで宇宙開発をしていたとする場合、地球に到達するのが数千年後ということになるわけです。

物理学者のエンリコ・フェルミが提唱した「フェルミのパラドックス」は、地球外文明が存在する可能性はある程度高いと思われるにもかかわらず、地球外文明の痕跡やメッセージが一切見つかっていないのはおかしいという疑問を提示したものです。これについても、地球から宇宙に光速の電波を発信し始めたのは1901年であり、その電波はまだ120光年先にしか届いておらず天の川銀河の約0.000002%に過ぎないことで説明可能です。

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宇宙人が地球に訪れない理由の2つ目として、想像を絶するほどのエネルギー需要をオリバー氏は挙げています。宇宙船の質量は速度とともに増加するため加速させるにはより多くのエネルギーが必要となり、仮に宇宙のどこかに地球よりはるかに優れた文明があって光速に近い移動方法を生み出していたとしても、光速で動く宇宙船には無限のエネルギーが必要となり、実現は不可能と考えられるそうです。

「光速で移動できる文明は無限のエネルギーも開発している」とも考えられそうですが、そうなるとそこまで発達した文明が、なぜはるかに発展が遅れた地球までそのエネルギーとある程度の時間を費やして訪れるのかという疑問が生じます。

3つ目の理由として、地球が宇宙人にとって有害な星である可能性が考えられます。生命と地球は数億年かけて共進化しており、地球のほとんどの生命に必須な酸素は、反応性が高く腐食性が高い気体でもあります。



1960年以来、研究者たちは通常の電波天文学を応用して、地球外の知的生命体を探す能力を身につけてきました。地球外生命体探査プロジェクトの中で最大規模を誇るものとして、カリフォルニア州のSETI研究所と、オックスフォード大学を拠点とするブレークスルー・リッスン・プロジェクトが知られています。しかし、138億年に及ぶ宇宙歴史の中で、私たち人類が観測を行ってきた期間は100年程度しかありません。その短い期間に知的生命体を発見できる可能性は極めて低いと言えます。それでもオリバー氏は、1959年の論文の表現を引用し、「成功の確率を推定するのは難しいが、探さなければその確率はゼロにまで低下する」と語っています。