ブラックマジックデザインは4月28日、米ラスベガスで行なわれた「NAB 2026」で発表した新製品を国内メディア・代理店向けに紹介する新製品説明会を開催し、新たにフォトページが加わった動画編集ソフト「DaVinci Resolve 21」などを紹介した。フォトページが追加されたDaVinci Resolve 21については「既存の写真用ソフトの置き換えを狙っているわけではない」と強調した。

ソフトウェアベースのライブ・オーディオミキサー「Fairlight Live」

同社はNAB 2026でDaVinci Resolve 21のほか、ソフトウェアベースのライブ・オーディオミキサー「Fairlight Live」、アップルの「Vision Pro」向けのApple Immersive Videoを撮影できるライブプロダクション用カメラ「Blackmagic URSA Cine Immersive 100G」などさまざまなソフトウェア/ハードウェアを発表している。

なかでも話題となっているのが、新たに写真編集ができるフォトページが追加されたDaVinci Resolve 21。ブラックマジックデザインの石井陽之氏は、DaVinci Resolve 21のフォトページは「フォトグラファーに対して、DaVinci Resolveという、ハリウッドでも使われているソフトにアクセスしてもらう目的で作った」とする。

「DaVinci Resolve 21」に新登場したフォトページ

「もちろんフォトページで完結していただいてもいいのですが、スチルカメラマンの方がDaVinci Resolveのフォトページを入口として、Fusionページやカラーページ、あるいは動画を扱うようになったらFairlightなど、いろいろなページが使えるようになるので、そこでより良いクリエイティブを生んでいただけることを願って作りました」

「もうひとつ、従来からDaVinci Resolveを使っているカラリストの方が、新たにスチルの仕事も受けて、また今までのフォトグラファーとも違うクリエイティブを生み出すためのソフトウェアでもあります」

「あくまで既存のフォト用ソフトウェアの置き換えなどを考えているのではなく、新しいクリエイティブを生むための一歩だと考えています」

動画用エフェクトは静止画にも反映可。書き出し速度にも強み

ブラックマジックデザインの岡野太郎代表取締役

説明会では、同社の岡野太郎代表取締役がDaVinci Resolve 21を詳しく紹介。岡野氏は「DaVinci Resolveは毎年アップデートがあって、毎回『大きいアップデートだ』と言っていますが、ページが追加されるというのは、なかなか大きな話です」とした。

「(DaVinci Resolveの)カラーページはハリウッドや日本の映画・ドラマでも使われていますし、エディットページはNHKや放送局、YouTuberなどさまざまな方が使っているページですが、これらはどちらかというと動画関連というイメージがあります」

「そこにフォトページが追加されることで、スチルをDaVinci Resolveのなかで管理したり、現像したり、グレーディングしたりすることができます。これが非常に大きなアップデートです。DaVinci Resolveは毎年アップデートがあって、毎回『大きいアップデートだ』と言っていますが、ページが追加されるというのは、なかなか大きな話です」

岡野氏によれば、これまでも静止画をDaVinci Resolveで編集しているユーザーもいたが、以前のDaVinci Resolveは静止画のRAWファイルに非対応だったため、JPEGなど別のファイル形式に一度変換したうえでDaVinci Resolveに取り込む必要があったとのこと。

今回はフォトページ追加にあわせ、ソニーとキヤノン、ニコン、フジフイルムの4社のRAWファイルと、DNGファイルの読み込みに対応。ファイル変換することなく、直接DaVinci Resolveに取り込むことが可能になっている。

キヤノンのCR2ファイル、8K解像度のファイルも取り込める

また従来は、取り込んだファイルを一度タイムライン上に置かないと編集ができなかったため、取り込む画像の解像度はプロジェクト設定で指定した解像度に制限されていたが、フォトページではそうして制限なく取り込める。

ただし、書き出し解像度については無料版の「DaVinci Resolve 21」では最大4Kまで。8Kなどより大きなサイズで書き出す場合には有償版の「DaVinci Resolve Studio 21」を購入する必要がある。これは「動画を書き出す場合の制限と同じ」とのこと。

ヒストグラムのほかベクトルスコープなどでも表示・調整できる

DaVinci Resolve 21ではカラーページのノード表示をレイヤー表示のような「リストビュー」にも切り替えられ、「レイヤー表示に慣れた方も簡単にカラーページに入っていけるのではと思っている」(岡野氏)という。

続けて岡野氏は「スチール業界にあまりなかったこと」として、静止画の色や彩度をヒストグラムだけでなく、ベクトルスコープやパレードなどでも表示・調整できることを紹介した。「ハリウッドのカラリストはパレードのほうが見やすいという人もいる」という。

さらに「もともと動画用のソフトなのでレンダリングが速い」ため、大量の画像を書き出す速度も優れているといい、「あるユーザーさんの話ですが、以前のソフトでは500枚のスチル画像を書き出すのに8分かかっていたのが、DaVinci Resolve 21では30秒で終わったそうです」とエピソードを明かしつつ、大量の静止画を扱う場合にはDaVinci Resolveの強さが発揮されるとした。

岡野氏は「フォトページはあくまでスチル用の入口であって、すべてのことをこのページでやっていただきたいとは思っていません。例えば画像に文字を追加したいならFusionページに、もっと細かいレイヤーを重ねて現像したいならカラーページに行ってほしいと思っています」と語る。

「そういった流れの作業も簡単にできるようになっていて、フォトページでの操作がカラーページにも引き継がれますので、より細かい調整をカラーページで行なえます」

動画用に用意されている豊富なエフェクトを静止画にも適用できる

そのほか、大量の静止画を扱う際に便利なレーティング機能やお気に入り機能も使えること、ソニーとキヤノン製カメラではテザー撮影ができること、動画用に用意されているさまざまなエフェクトやAI機能をスチルに適用できることなどを紹介した。

なお、テザー撮影やAI機能も有償版のDaVinci Resolve Studio 21でのみ利用可能。

AIを使った「モーションブラー除去(Remove Motion Blur)

動画撮影時、ブレて読みにくくなってしまった看板の文字や建物の彫刻などがクッキリと見やすくなる

DaVinci Resolve 21では動画関連の機能も強化されており、AIを使った機能は従来の30から40に増加。肌の質感を残しつつ、人物のシミなどを除去する「シミ除去」や、選択した人物の顔を若返らせたり、老けさせたりする「AIフェイス年齢変換ツール」、映像の手ブレなどを補正する「モーションブラー除去」などが利用できることを紹介。

岡野氏は「今はAI全盛なので、他のAIでも同じようなことができますが、DaVinci Resolveはローカルで全部できる」ことが強みだとした。

「プロが使うものなので、(映像ファイルを)サーバーに送ったり、インターネットに送ったりするのは結構厳しいわけです。我々のAIは40種類すべてローカルで動きます。ちょっとマシンスペックが必要になりますが、外に流出することはないので、その点はかなり安心して使っていただけると思います」

DaVinci Resolve 21は現在ベータ版として無料公開されているが、岡野氏によれば6月~7月ごろには正式版となる見込み。従来同様、DaVinci Resolve所有者には無料アップデートとして提供される。

ソフトウェアベースのライブ・オーディオミキサー「Fairlight Live」

AmbisonicsやApple Spatial Audio Formatといった立体音響フォーマットにも対応

説明会では、ステレオから5.1chサラウンド、イマーシブフォーマットにまで対応するライブ・オーディオミキサー「Fairlight Live」も紹介された。

Fairlight Liveは、PC/Mac上で動作するソフトウェア・ベースのオーディオミキサー。自社製品に加え、サードパーティ製のインターフェースにも対応し、「スポーツ中継はもちろん、小型のポッドキャストスタジオ、またはPC1台で乗り込むような環境まで幅広く使っていただける」(石井氏)という。現在、ブラックマジックのホームページ上でベータ版が無料配布されている。

またFairlight Liveは、ステレオや5.1chに加え、アップルの「Apple Spatial Audio Format」にも対応。立体音響をライブでミキシングできる。

そのほか、業務用カメラ新製品で100Gイーサネットに対応し、440fpsまでの高フレームレートSMPTE-2110ライブプロダクションをサポートする「URSA Cine 12K LF 100G」、アップルの「Vision Pro」向けのイマーシブ・シネマカメラでライブプロダクション用に設計した「URSA Cine Immersive 100G」、こうした映像を伝送するための機材として「StudioBridge 10G PWR」や「SDI Expander 8x12G」なども紹介された。

「URSA Cine 12K LF 100G」

「URSA Cine Immersive 100G」

「StudioBridge 10G PWR」