この道30年 かずら工芸作家が語る「モノづくり」の魅力【徳島】
古くから建築や織物などの材料として使われ、かずら橋でも知られるつる植物の「かずら」。
このかずらを自ら採取し、かごやオブジェを30年作り続けてきたかずら工芸作家の女性に迫ります。
あるかずら工芸作家は思っています。
自然の中に、真っ直ぐなものなんて存在するのだろうか。
「風の舞」フジカズラとアオツヅラフジ。
かずら工芸作家、家形笑美子さん77歳です。
家形さんは、「むぎ笛」というグループを作り、子どもからお年寄りまでかずら工芸を教えています。
工房には、生徒と夫をはじめ家族の協力で、近くの山から採ってきたかずらが保管されています。
かずらは、日当たりのいい森や山に広く生育し、ほかの樹木に巻き付いて伸びる、つる植物の総称です。
古くからかずら橋などの建築物や、織物の材料として重宝されてきました。
(かずら工芸作家・家形笑美子さん)
「乱れ編みと平編みを合わせた、中くらいのつぼ」
「手が痛くて、夜になったらグローブはいたようになるんです。手が腫れて全体に」
「使っていたら元には戻ってくる、同じこと30年もしてるから痛んで当たり前やけど」
「かずらを始めたとき、48歳の時に主人の両親が二人ともが調子が悪くなって」
「会社を辞めて、家で年寄りを見るように主人に言われて、会社を辞めて家で年寄り二人を見てたんですけど」
「毎日毎日こんなこと世話して、おしめかえて、ストレスが溜まって」
介護を頑張れば頑張るほど、自分の時間も大切にしなければならないことに気づきました。
そこで家形さんは、昔から興味のあったかずら工芸をやってみようと、その足は自然に近所の山へと向かっていました。
独学でかずら工芸に取り組んできた家形さん。
時には、買ってきた工芸品を湯につけ柔らかくしてほどき、かずらがどう編まれているのか調べました。
(記者)
「こちらのアオツヅラ、まだ柔らかいんですが、採ってから10日ほど経ったということで、見てください」
「曲げたときに裂けてしまったようです。かずら作りは時間との勝負なんです」
(かずら工芸作家・家形笑美子さん)
「これフジカズラ、春が来たら舞妓さんがつけてるじゃないですか、あのフジのかずら」
「道のすぐそばの絶壁のようなところに、上からぶら下がってきてたんですよ」
「それをなんとか引っ張り落として、車に乗るくらいの大きさに丸めて、家帰ってきて即、形にします」
「時間が経ってきたら針金のようになるから、無理やり曲げたらポキッて折れるんです」
「採ってきたらすぐに形にするんですけど、こんな形にしたいと思ってもできない。かずらに聞いてくださいになるんですよ」
❝「森のたからもの」サカキカズラとオオツヅラフジ❞
❝「樹々からの贈りもの」サカキカズラとオオツヅラフジ❞
❝「風のゆくえ」サカキカズラとオオツヅラフジ❞
❝「優しさに包まれて」イトツヅラとオオツヅラフジ❞
❝「風の舞」フジカズラとアオツヅラフジ❞
家形さんは朝から取り掛かっていた中型のつぼを、乱れ編みと平編み、それにこめじ編みを組み合わせながら編んでいきます。
完成まで3時間かかりました。
果たして…。
(かずら工芸作家・家形笑美子さん)
「こんな感じ」
設計図通り出来たのでしょうか。
(かずら工芸作家・家形笑美子さん)
「思い通りにならんと、自分が思っていたのよりもずっといいのが出来たり」
「いやーこんなん、こんなはずじゃなかったのに、と思う時があります」
家形さんはアオツヅラで、取っ手のようにも見える装飾を取り付けました。
2025年の秋に摘み取っていた「千両」を生けます。
このツボには、野の花こそ相応しい。
(かずら工芸作家・家形笑美子さん)
「やっぱり子どもたちに自然のものを使って、自分でモノづくりっていうものを習ってもらって出来たときの感動」
「うわー、これ自分で作ったんやっていうのを、子どもたちにも味わってほしい」
「余計なことかも分からんけど、今の子どもたちってゲームばっかりしてるじゃないですか」
「やっぱりモノづくりって大事じゃないかなと、やったーっていう気持ちをね、味わってほしい」
家形さんは牟岐町の工房で月に一度、日曜日に工芸教室をしています。
モノづくりに興味のある方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。
