脱・税理士の菅原氏が、『役員報酬を配当金にして節税!?中小企業では結局どっちがおすすめなのかシミュレーション解説します。』と題した動画を公開した。配当なら税率20%で済むという通説を前提に、配当と役員報酬のどちらが得かを数値で比較する内容である。

配当が有利に見える理由は、上場企業株式の配当が約20%の税率で処理される点にある。しかし非上場中小企業の配当は総合課税の対象となり、所得額に応じて15%から55%の累進税率が適用される。一律20%という前提は成立せず、配当控除を考慮しても最終的な税負担は大きく変動する。

菅原氏は年間手取り600万円を想定し、役員報酬と配当の2パターンで会社と個人の負担総額を試算した。役員報酬の場合、個人の税金は約45万円、社会保険料は本人・会社負担合計で180万円、法人税は300万円となり、総額は525万円に達する。配当の場合、個人税は約30万円に下がるが、配当は経費計上できないため法人税が507万円に跳ね上がり、総額は607万円となった。

この差額82万円は、役員報酬が損金算入可能である点に起因する。配当は税引後利益から支払われるため法人税圧縮効果がなく、会社全体で見れば外部流出が増大する構造である。菅原氏は「法人税の差が決定的」と断じ、個人税だけでなく会社負担を含めた総合判断の重要性を強調した。

配当控除は配当額1,000万円以下で10%の税額控除が受けられるが、配当規模が大きくなると控除率は5%程度に低下し、メリットは薄れる。したがって中小企業では配当を主要な受取手段とするケースは少なく、役員報酬を選択する方が実務上は一般的である。ただし役員報酬を抑えて社会保険料を削減し、残りを配当で受け取るハイブリッド戦略も存在し、状況次第では有効な選択肢となり得る。

中小企業の資金配分は、税制・社会保険制度・会社の損益構造を総合的にシミュレーションしなければ最適解を導けない。

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