1ヵ月で約243杯! 生ビールを飲み続けて分かった日本の“生”

久々のビール特集を担当した、ライター菜々山、肥田木、岡本、井島、本郷に加えて、編集の戎が、調査・取材で実感したニッポンの生ビールのおいしさを語ります。にしても、ほぼ1ヶ月で飲んだ杯数が合計約243杯とは……。飲みすぎでしょ!?
いつものビールが注ぎ方ひとつで激変
戎「久々のビール特集!クラフトも大手メーカーのものも、ビールを愛する者として、もう毎日ワクワクでいっぱい!それを読者のみなさんにも感じてもらえたらと思って記事作りに挑みました。とはいえ、気をつけたのはマニアックになりすぎないこと。ビールに詳しくなくても、楽しめる内容に仕上がったかなと思います」
井島(以下・井)「私もクラフトビール大好きなんだけど、ここ最近は味の方向性というか、流れが変わってきたような気がする」
戎「そうなんです!ちょっと前まで個性の強いIPAが全盛だったんですけど、ラガーやピルスナーを作るブルワリーが増えてきた印象で、さらに身近な存在になったと思います」
井「やっぱコアなファン向けだけじゃなく、ビギナーでも楽しめる味わいにしなきゃ、裾野は広がらないよね」
戎「『THIS BREWING』で作っているのも、アルコール度数も高くなく、ビール好きはもちろん、そうでなくても楽しめる味の方向性にしていましたしね。ポンカンとカルダモンを副原料に作ったサワーエールが個人的にドンピシャでした」
『THIS BREWING』this stout w/cacao&tonka bean Regular950円、this sour ale w/ponkan&cardamon Large1350円

菜々山(以下・菜)「そうそう。私はクラフトよりもやっぱりナショナルブランド派。個性が強すぎると、飲み飽きしちゃうんだよね。だからクラフトだけど穏やかな味わいに仕上げた『ふたこビール醸造所』はかなりお気に入り」
岡本(以下・岡)「大手のビールを楽しむなら、立ち飲みで紹介した店もおすすめよ。サッポロビールが考えた、パーフェクトな黒ラベルが味わえる銀座の『ザ・バー』は、ビール好きはもちろんだけど、普段生ビールをそんなに飲まない人にこそ行ってほしい。メーカーが本気出すとマジですごいから(笑)。あと『ピルゼンアレイ』も、アサヒスーパードライの注ぎわけの飲み比べが楽しかった」
井「注ぎ方で本当に味が変わるよね。『ビヤホールライオン』はビールらしい苦みもちゃんとあるんだけど、飲み心地が軽くてキレがいい。『ビアライゼ’98』で出してくれた1杯は不思議なことに甘い。これは旨みの甘さ?時間が経つと味わい深くなるのにも感動した〜」
『ビヤホールライオン銀座七丁目店』サッポロ生ビール黒ラベル中ジョッキ930円

もう“とりあえずビール!”って言わない
肥田木(以下・肥)「私ね、もう“とりあえずビール!”って言わないことに決めた!温度管理や設備などすべてに驚くほど徹底している『KEEL’S BAR』のスーパードライのクリスプサーブは爽快だった。昔のビアホールや本場欧州のスタイルを新設備や注ぎ方で体現しているんだけど、これがまあ弾けるような軽い泡でサクッと何杯でも飲める!」
菜「ちゃんとした注ぎ方をしたビールって不思議と何杯でも飲めるんだよね」
井「そうそう、『麦酒大学』は独自にビールの注ぎ方を研究している店で、伝統の注ぎ方もリスペクトしながら常に新しい注ぎ方がないか考えていて、ビールの面白さを教えてくれる。ここはビールのアトラクションを体験しに来たみたいな気分になる演出も楽しくて、リサーチで4杯も飲んでしまったよ。でも立ち飲みだから、飲み過ぎにストップをかけられるのがありがたいかも」
『麦酒(びーる)大学』鶏皮和え650円、枝豆の麦酒漬け450円、麦酒大学注ぎ780円
肥「生ビール4杯は結構いったね(笑)。こちらの取材でいちばん印象的だったのが、『ハイバリー ザ・ケイヴ・オブ・ビア』。昭和の主流だった錫管をクラウドファンディングで復刻させたの。それも物珍しさや昔懐かしさで挑んだのじゃなく、全盛期の味を復活させることで業界と日本に活力を取り戻したいという店主の想いに胸を打たれた。そんな世界唯一の錫管サーバーで注がれた黒ラベルは、雑味のない味でまろやかに感じるんだよね」
戎「くうぅ。会議があってその取材に立ち会えなかったのが残念でならない。校了したら絶対行きます!」
菜「今回の取材で衝撃だったのが、『Beer Engine』のハンドポンプから注ぐ1杯かな」
『Beer Engine』箕面ビールW−IPA(ハーフ)990円

井「へええ、飲んでみたい!どんな味になるの?」
菜「炭酸ガスを注入せず、樽から汲み上げるだけだから、ほぼ泡なしの微炭酸。余計な炭酸ガスがないからこそ、ビールの味がダイレクトに感じられるよ」
泡の量・作り方で味の印象に違いあり
井「なるほどね。でもこちらは泡の重要性にも気づいた取材だったんだ。『ビヤホールライオン』の泡はふわふわで、『ビアライゼ’98』はねっとりとしてコシがあるタイプ。『麦酒大学』の代表的な麦酒大学注ぎや『マスターズドリームハウス』はきめ細かくてクリーミー。これらのさまざまな泡に、余計な炭酸や苦味などの雑味をどう閉じ込めるかが味に影響してくると聞いて、泡の作り方のこだわりに驚かされっぱなしだった」
『MASTER‘S DREAM HOUSE(マスターズドリームハウス)』ザ・プレミアム・モルツマスターズドリーム823円

本郷(以下・本)「みなさん、いい取材をされてたのね」
菜「本郷さんは何の担当?」
本「私は“湯上がりに1杯”ってことで、銭湯×生ビールを巡ってた。まあ、普段から飲み会があると、近くの銭湯でひとっ風呂浴びてから参加するんだけどね。汗をかいた後の1杯は格別なのよ〜」
肥「銭湯と酒好きの本郷さんにピッタリの企画だね」
本「うん!それに今や銭湯がビール作りもしてるって例もあるの」
菜「へええ!知らなかった」
本「『黄金湯』ってところでね、オーナーが湯上がりに飲んでほしいビールを自分で醸造しちゃおうと、近所にブルワリーも立ち上げたの。種類もいくつかあって、『FOREST』ってビールはアルコール度数3.7%とやや低く軽い感じのヴァイツェンで、湯上りゴクゴクにぴったり。季節限定の『りんごのエール』も甘さというより皮の苦味がほのかに感じられて、とてもおいしかった」
『コガネキッチン』SHOWER700円、FOREST700円

肥「その取材、ついて行きたかった〜」
銭湯での“即ビール”は最高
本「ふふ、でしょう?あと、広々とした銭湯で、温泉に浸かれる『桜館』は、週末だけ飲食スペースも営業するから即ビールが可能。ここでぐっと堪えて街へ繰り出すのもいいけどね。近くでおすすめが『RE.beer』。醸造タンクが10基もあって、わさびや玉ねぎを副原料にした珍しいビールも。これが本当によくできていて食事にもバッチリ合うの」
井「それ、飲んでみたい!」
本「それと銀座のビル街に残る奇跡『金春湯』に入った後に『新橋ドライドック』で飲んだアサヒスーパードライにも感動!店のスタッフの、この1杯かけるこだわりがちゃんと伝ってくるおいしさだった」
『新橋DRY‐DOCK(ドライドック)』名物チキンバスケット890円(3ピース)、ビールに合うポテトサラダ600円、アサヒスーパードライ780円

戎「ビールはできたてが一番おいしいのは間違いない。そこから輸送の状態、お店での樽の管理方法、サーバーのメンテナンス、注ぎ手の愛情、すべての工程が旨さに直結してくると思います。身近な大手メーカーのビールをキチンとした状態で飲ませてくれる店はホントありがたいです」
肥「でも酒好きの我々からしたら信じられないけど、年々日本のビールの消費量って落ちているんでしょう?」
戎「みたいですねえ」
井「この特集で改めて感じたのは、ニッポンの生ビールの偉大さだよ。程よい炭酸の喉越しがいい上に、コクも深みもあって和食にも洋食にもエスニックなんかにも抜群に合う!それでいて主張しすぎず、料理に寄り添ってくれる存在なんだよね」
戎「そうなんです。しかもクラフトもナショナルブランドも、気分や料理に合わせて幅広く選べるという生ビール大国。本特集をきっかけにビールの楽しさをもっと知ってもらえたらうれしいです」
文/菜々山いく子、撮影/小島昇(THIS BREWING、ビヤホールライオン、麦酒大学、Beer Engine)、西崎進也(マスターズドリームハウス)、小澤晶子(コガネキッチン、新橋DRY‐DOCK)
■おとなの週末2025年7月号は「夏の麺」特集
※2025年6月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
…つづく「東京駅でビールを楽しむマニュアル 都内屈指のビールタウン、「クラフトビール自販機」でレアな人気銘柄も買える!」では、選択肢が多い東京駅だからこそ、納得のいく1杯、1本が飲める・買える店をレポートしています。



