記事のポイント
オルヴェオンは、ベアミネラルのD2CサイトにAmazonのバイウィズプライムを導入し、CV率60%・収益40%増という成果を得た。
オルヴェオンのようにBuy With Primeを導入したブランドは、D2Cで顧客データを保持しながら、Amazonの配送インフラを活用できる。
オルヴェオンは、配送利便性を維持しつつ、ロイヤルティ施策と組み合わせて継続購入を促進している。


2023年7月、ベアミネラル(Bare Minerals)のD2Cサイトであるbareminerals.comで「バイウィズプライム(Buy With Prime)」の提供を始めたとき、オルヴェオン(Orveon)のチームは、それがどんな変化をもたらすのか想像もしていなかった。このチェックアウト機能を使えば、Amazonプライム会員の購入者は、同サイトで注文した商品をAmazon経由で受け取ることができるのだ。

ベアミネラルのほかに美容ブランドのローラ メルシエ(Laura Mercier)とバクソム(Buxom)を所有するオルヴェオンは、ベアミネラルのD2Cサイトにこの機能を追加した結果、数字が好意的な反応を示したと述べた。

「我々はこれが漸進的なものかどうかを理解したかった。バイウィズプライムにベアミネラルをローンチした際、バイウィズプライムの配送を提供することがコンバージョンの向上につながるかどうかをA/Bテストしたが、その通りになった。訪問者1人あたりの収益が40%増加し、買い物客のコンバージョン率が [60%] 上昇した」と、オルヴェオンのeコマースおよびデジタルエクスペリエンスのグローバルバイスプレジデント、カーニー・ニール氏は言う。「Amazonにビジネスを移行したわけではない。実際に当社のD2Cサイトでより多くの人をコンバージョンさせ、消費者データを取得している」。

「送料無料」が当たり前の時代



このプログラムは成功し、オルベオンは2023年11月にバクソム、2024年11月にローラ メルシエにバイウィズプライムのオプションを導入した。ニール氏によると、多くの消費者にとって迅速で無料の配送が当たり前となっている一方でブランドにとってはコストがかかるという時代において、このプログラムは非常に重要だという。

「パンデミックの間、美容ブランドはすべての注文で送料を無料にすることに注力し、Amazonやセフォラ(Sephora)などに対抗しようとしていた」とニール氏は言う。「現実には、ここ数年 [顧客獲得コストが] 大幅に上昇しているため、すべての注文を送料無料にするのは難しい。当社の損益計算書では必ずしも意味をなさない」。

「どこで買うか」より「どう満足させるか」



バイウィズプライムの採用は、ブランドがもはやAmazonの物流支配に対抗する必要がなくなったことを意味する。そしてAmazonにとってこのプログラムは、2億人を超えるプライム会員をAmazon.com以外でも満足させるチャンスである。Amazonによると、米国のプライム会員の50%が、プライム会員向けのショッピング特典を提供しているD2Cサイトから再度購入する可能性が高いと回答しており、バイウィズプライムを利用しているブランドは、このプラットフォームを導入した後、平均16%の売上増を記録している。

Amazonのバイウィズプライム担当バイスプレジデント、ピーター・ラーセン氏は次のように述べた。「プライム会員がAmazonで購入するか、Amazon以外で購入するかについては中立であるというのが我々の立場だ。それにこれらのオムニチャネルブランドも、まったく同じように感じるようになってきている。買い物客がどこにいても購入できるようにしたいだけなのだ」。

ラーセン氏によれば、バイウィズプライムの主な目的は、外部の買い物客をAmazonプライム会員に登録させることではないという。プライム会員は月額14.99ドル(約2000円)、年額139ドル(約2万円)だ。

「我々の真の目標は、米国にはすでに何億人ものプライム会員がいるという点にある。何よりもまず、その人たちを幸せにしたい」。

D2CとAmazonを両立させるには



Amazonは2022年、COVID後のeコマースブームを受けて、バイウィズプライムを初めてローンチした。ラーセン氏によると、バイウィズプライムに参加しているブランドは、このプログラムに長期的にコミットする必要はないが、Amazonのフルフィルメント手数料と、年中無休のカスタマーサポートを含むプライムサービス手数料を都度支払うという。またこのプログラムでは、Amazonの倉庫から直接D2Cで購入することにより、ブランドは在庫管理を簡素化することができる。

「[ブランドは] 顧客データを管理できる。長期にわたって顧客との関係を築いていくことができる」とラーセン氏は語る。「さらに、Amazonとそれ以外のチャネルの両方に対応できる当社の倉庫内の共有在庫プールを活用することで、ブランドはコストを削減の手段だと捉えるようになる」。

Amazonは、何人のリピーターがバイウィズプライムを利用した後にAmazonで直接購入するか、あるいはD2Cチャネルにとどまるかについてのデータは提供していない。ローラ メルシエ、バクソム、ベアミネラルの製品はすべてAmazonのプレミアムビューティストア(Premium Beauty Store)から直接購入できる。これらのブランドはTikTokショップ(TikTok Shop)でも購入可能で、そこでもバイウィズプライムで配送することができる。だがオルヴェオンは、D2Cで購入した顧客にはポイントプログラムや購入時のギフトなど、特定の特典を提供している。

「獲得コストがこれ以上安くなることは当分ないと予想している。そのため、ロイヤルティとリテンションプログラムの構築に注力している」とニール氏は言う。「バイウィズプライムは、そのためのもうひとつのよい方法だと考えている。迅速で無料の配送を求めている顧客には、それを利用してもらえる。プライムでのチェックアウトを好む可能性のある顧客をセグメントすることができるし、そうした顧客が当社のD2Cサイトでの買い物によるほかのメリットをあきらめる必要はない」。

Amazonの視線は海外へ



現在、バイウィズプライムの利用は米国の消費者のみに限られている。ラーセン氏によると、Amazonはタイミングが合えば、このサービスを国際的に拡大する用意があるという。

「買い物客がいる場所に出向き、できる限り顧客を満足させれば、最終的にはうまくいくものだということを、我々はつねに実感してきた」とラーセン氏は述べている。

[原文:Beauty brands are benefiting from offering Amazon’s Buy with Prime to direct-to-consumer shoppers]

EMILY JENSEN(翻訳:Maya Kishida、編集:戸田美子)