7節・湘南戦で逆転勝ちを収め、開幕戦以来の白星を掴んだ名古屋。長谷川監督は「選手たちが気持ちを出して戦ってくれた」と労った。(C)J.LEAGUE

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[J1リーグ第7節]名古屋 2−1 湘南/4月7日/豊田スタジアム

 開幕戦以来の勝点3は、勝利への執念と気迫でもぎ取った。J1第7節で、名古屋はホームで湘南に2−1で勝利した。

 開始8分で湘南に先制され、劣勢の前半を過ごした試合としては、それだけでも強い手応えを感じることもできるだろう。対戦相手に有効なクロスの質や組み立てを想定しつつも、上手くいかなかった前半には嫌な雰囲気も漂った。

 同じく勝利から遠ざかっていた相手が及び腰にならなければ、後半の逆転劇も為しえなかったかもしれない。だが、同点となるオウンゴールを鋭いクロスで誘発した森下龍矢は、ハーフタイムのロッカールームの雰囲気をこう語る。

「『このままじゃダメなんだ』ってみんなで再確認して。その再確認が後半の始まりの勢いにつながったんじゃないかなと思う。勝ったことも大きいけど、自分たちでその雰囲気を変えられたというのが、それ以上にもっと大きい」

 前半はどうにも歯車がかみ合わず、劣勢を過ごした。ハイラインの相手の裏を取る動きを前線が強調するあまり、出し手とのタイミングが合わずに布陣は間延び。パスコースが見えない中盤はボールロストを繰り返し、フィードを蹴っても跳ね返され、セカンドボールも拾われた。
 
 セットプレーでの失点は相手のブロック役の選手に良いボールが合ってしまったという偶然の要素も重なり、やることなすこと裏目の45分間でもあった。

 しかし気合を入れ直した後半は立ち上がりから攻撃のテンポを上げ、同じ裏狙いのロングフィードでも「それで少し下がってしまったし、逆に1点リードしていて失点したくないというマインドも少しあった」(大野和成/湘南)と効果も増大。落ち着いたビルドアップからのメリハリの利いたサイドチェンジから森下のクロスが生まれ、同点にできたことが後半の攻勢の呼び水になった。

 メンタルでも体力的にも劣勢を感じた湘南は布陣の距離感が乱れ、押し込まれる展開に耐えていたが、好機と見るや名古屋の長谷川健太監督は相馬勇紀、阿部浩之、甲田英將と次々アタッカーをリフレッシュし、試合終了間際に阿部のパスに走りこんだ相馬が倒されPK獲得という最高の流れも演出。レオ・シルバとのじゃんけんを制した阿部がこのPKを決め、なんとかホームでの面目を保った。

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 土壇場で結果をひっくり返した試合展開には、「短い出場時間の選手も本当によく頑張ってくれた。選手たちが今日は本当に気持ちを出して戦ってくれた」と指揮官も声を震わせる。

 先制された試合の運び方、得点へのアプローチ、交代選手の活躍など、ここまで抱えてきた課題にひとまずの答えを出したことも収穫で、「こういう状況、展開の中で勝ち切ったというのは今の時期にとっては大きなことだった」と、やはり長谷川監督の言葉には情感がこもった。

 それはチームの総意であるが、一方で何一つ安堵しているわけでもない。森下は言う。

「殴られる前に殴りに行かなければいけないんです。なので、先にどれだけ自分たちから仕掛けられるか。で、ゴールを奪って自分たちのゲームにできるかというのは、ものすごく大切なこと。これは名古屋グランパスの選手もスタッフもみんなが思っている課題なので、欠かさずにやっていきたい」
 
 追いつき、追い越すための得点を奪う作業は気合いで成功へと押し切った。しかし余分なパワーを使ったことは当然で、それは先制点を奪うほうにこそ費やすべき力だ。

 敗れた湘南の山口智監督は「攻撃のところでパワーを使える状況で、本当に単純なミスや失い方をしてしまうところが数多くある。非常に問題点として大きく抱えている部分」と言い、また別の意味での“無駄使い”に触れていたが、名古屋にとっては先制されてからのエクストラなプレーがそれにあたる。

 毎試合数度の決定機を作り、守備も整ってきただけに、あとは燃費の向上で勝利への流れを安定化できるか否か。重大な欠陥があるというよりは、噛み合っていないだけの印象も強く、いかに力を発揮できる試合展開に持ち込むかが、この湘南戦でも課題としていまだ色濃く感じられた。

取材・文●今井雄一朗(フリーライター)