しま模様の広場「御庭」正面。奥に、焼失した正殿があった

 10月31日。首里城の火災から、丸1年の月日が過ぎた。2019年10月31日未明、首里城正殿から炎が噴き出し、南殿、北殿とまわりに燃え移っていき、9施設が焼けた。

「 “沖縄のシンボル” というべきものが燃えてしまい、県民の喪失感は相当なものでした。すぐに各自治体で、『募金運動を行おう』という声があがりました。

 しかし首里城は、『沖縄美ら島財団』という一般財団法人が管理をしており、『募金先が決定してから慎重にお金を集めるべきだ』という自治体も多々ありました。

 悲しいことですが、そのような混乱に乗じて、SNSを通じた募金詐欺が一部、見受けられました。また石垣市では、職員が起こした義援金問題について、中山(義隆)市長らが記者会見をひらき、謝罪するという騒ぎもありましたし……」(地元紙記者)

 石垣市長が謝罪した「騒ぎ」とは、10月13日に同市市役所でおこなわれた会見内で公表された、同市職員による義援金着服問題のこと。市民保健部主事であった20代の男性職員が、市民や市内事業所から集めた首里城火災や台風災害の義援金、赤十字活動費の計501万6931円を着服していたのだ。

 同市によると、着服は2020年9月に発覚。2019年度末に募集を終えた首里城義援金について、当該の20代職員に何度も県の窓口に送金するよう促しても進まなかったため、問い詰めたところ不正を認めたという。さらに内部調査で、別の3件の不正も判明。20代職員は懲戒免職処分になり、管理監督責任で当時の上長らも減給などの処分を受けている。

 首里城再建のための募金自体は、いまだに続いている。

「『総額で50億円近くの寄付金が集まっている』ともいわれていますが、きちんと財政上の処理ができているのか、疑問視されているんです」(地元メディア関係者)

 管理体制は、どうなっているのか。

沖縄県庁内でも未だに、募金窓口を一本化できていません。各課の窓口で、募金を預かっている状況です。実際に我々が預かった額と、地元メディアの発表した額に差額が生じて、クレームが入ったこともありました。

 募金した金額ぶんは、非課税になります。さまざまな事態を受け、県庁内では、『募金が脱税のスキームに使われてもおかしくない』との声もあがっているんです」(県庁職員)

 善意の寄付金と復興作業の進展にばかり注目が集まるが、金銭問題をはじめ、課題が山積している首里城の復興事業。沖縄のシンボルが “再建” される日は、まだ目の前とは言えないようだ。