ユニホームの着こなしとして代表的な5パターン【イラスト:出内テツオ】

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ユニホームの着方は、大きくオールドスタイルとストレートスタイルに分けられる

 プロ野球選手のユニホームの着こなしはさまざまだ。とりわけ、違いがわかりやすいのは足元。ツイッターで「オールドスタイル」と画像検索すれば、それを愛するたくさんの野球ファンを見つけることができ、選手らの着こなしを楽しみにしている人の多さがわかるはずだ。そこで今回は、野球選手の足元の着こなしに焦点を当て、その違いを紹介していく。

 上の画像のうち、オールドスタイルとは左から2つを指し、ストレートスタイルは右から3つを指している。どちらもよく見られるありふれたスタイルだが、どのような違いがあるのか。

〇オールドスタイル

 まず、オールドスタイルとは、「膝より下の位置でストッキングとユニホームの裾を折り込み、ストッキングを見せる履き方」を指し、以前はこのスタイルが主流だった。このオールドスタイルは、「膝下までストッキングを露出させる」ショートスタイルと、「ショートスタイルより10センチ程、ストッキングが短い」レギュラースタイルに分類できる。

 オールドスタイルの選手は、パ・リーグで言うと日本ハムの中島卓也内野手、楽天の茂木栄五郎内野手、ロッテの荻野貴司外野手、オリックスの福田周平内野手らが代表的で、俊足を売りとする選手が愛用しているようだ。

〇ストレートスタイル

 1990年代から見られるようになったストレートスタイルは、「ユニホームの裾をストッキングに折り込まず、外に出す履き方」を指す。ストレートスタイルも、「ユニホームの裾部分をゴムで絞る」ロングスタイル、「ユニフォームの裾を絞らない」正統派のストレートスタイル、「ユニホームの裾が、膝位置あたりから広くなっている」フレアスタイルに分類できる。

 ストレートスタイルを着用しているパ・リーグの主な選手は以下の通りだ。

【日本ハム】
秋吉亮投手、上沢直之投手投手、近藤健介外野手、中田翔内野手、西川遥輝外野手

【楽天】
辛島航投手、岸孝之投手、松井裕樹投手、辰己涼介外野手、ブラッシュ外野手

【西武】
高橋光成投手、多和田真三郎投手、増田達至投手、金子侑司外野手、森友哉捕手、山川穂高内野手

【ロッテ】

有吉優樹投手、石川歩投手、種市篤暉投手、益田直也投手

【オリックス】
増井浩俊投手、山岡泰輔投手

【ソフトバンク】
千賀滉大投手、森唯斗投手、周東佑京内野手、デスパイネ外野手

2つのスタイルによる違いは? 選手が語るそれぞれの良さ

 こうしてみると、特に投手の中では、ストレートスタイルが人気なようだ。その理由を探るべく、桜美林大学で教鞭を執る若松健太氏が発足した草野球チーム「ジャンクベースボールクラブ」の選手ら29名にご協力いただき、アンケート調査を行った。

 すると、パ・リーグの選手の中ではストレートスタイルが圧倒的人気を誇るのに対し、「ジャンクベースボールクラブ」所属選手の半数以上となる17名が、オールドスタイルを着用しているという意外な事実が判明した。

 さらに調査を進めると、多くの選手がオールドスタイルの選手について、「足が速そう。機敏そう」といった印象を持っている一方で、ストレートスタイルの選手に対して、「長距離打者が多い。足が長く見えるので体が大きく感じる」といった印象を持っていた。

 その理由としては、「ストレートスタイルより涼しい」「慣れているから」「俊足に見せて、相手を警戒させたい」といったことが挙げられたほか、オールドスタイルを着用したことがある選手のうち19人が、その動きやすさを評価しており、やはりこの機動力がオールドスタイルの大きな魅力と言えそうだ。

 ストレートスタイルを着用する選手からは、「怪我防止」「ストッキングの汚れ防止」といった実用性を評価した意見が聞かれたほか、「足が長く見える」「着こなしが楽」「プロ野球選手っぽい」などファッション性を評価する声も多く得られた。また、11人の選手が「オールドスタイルのゴムの締め付けが気になる」とも回答しており、これもストレートスタイルの人気を後押ししていると考えられる。

 今回の調査では、それぞれのユニホームの着こなしごとに長所や短所があり、試合を有利に進めるための思惑を持って、ユニホームの着こなしを選んでいる選手がいることもわかった。プロ・アマを問わず、日によって着こなしを変えている選手も多く確認できたころから、どちらの着こなしを選ぶかは、選手のその都度のフィーリング次第と言えそうだ。

 しかし、その着方に注目すれば、選手それぞれの個性も感じられ、より一層プロ野球を楽しめるのではないだろうか。ぜひ今後の野球観戦の参考にしてみてほしい。(「パ・リーグ インサイト」今泉友香)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)