感動をありがとうで、ロシアW杯をまとめてはいけない。

 現地時間7月2日に行なわれたベルギーとの決勝トーナメント1回戦で、日本はすべてを出し切った。グループリーグのコロンビア戦、セネガル戦と同じように、自陣に閉じこもることなく敵陣へ飛び込んでいった。規格外といっていいロメル・ルカクの身体能力を目の当たりにしても、エデン・アザールやケビン・デブルイネらのビッグネームと対峙しても、日本の選手たちは決して怯むことがなかった。

 ふたつのゴールシーンは、チームとしてのコンビネーションや、複数の選手がボールに絡んだ結果ではない。どちらかといえばシンプルな形から生まれたものだが、それが逆に一つひとつの技術の確かさを、思い切りの良さを、浮き彫りにする。

 監督の指示にプレーの選択を限定されることはなく、それでいて自分本位のプレーもない。守備では前線から連動して規制をかけ、ボール奪取のタイミングに迷わず食らいつく。

 失点をしないために守るのではなく、得点をするための守りである。ポーランド戦のラスト10分が誰にとっても不本意だったことを、日本はキックオフから証明していった。

 後半開始直後に奪った2点のリードを、守り切る手立てはあったはずである。1点差に迫られたところで、最初の交代カードを切ることはできた。2対2のまま迎えた後半の終了間際に、3人目の交代選手を入れて失点の予防をすることもできた。3枚の交代カードの1枚を残したまま、西野監督は試合を終えている。

「延長戦のことは当然考えた」と、指揮官も振り返る。ただ、「3点目を取って勝ち切る」のは、このチームの核となるメンタリティである。西野監督も選手たちも、後ろ向きな思考は頭から締め出していた。

 強豪相手にも勝ち切る覚悟を持って臨んだから、グループリーグを突破した。強豪相手に勝ち切る覚悟に揺らぎがなかったから、ベルギーに逆転負けを喫した。それが、このチームの真実である。
 
 ロシアW杯はベスト8が出揃い、いよいよクライマックスに突入していく。ドイツも、アルゼンチンも、ポルトガルも、スペインもいないなかで、黄金のトロフィーを手にするのはどのチームなのか。ハイレベルかつドラマティックな戦いが続いていく。

 日本の視線は大会後に移る。

 西野朗監督のもとでトレーニングをしてから1カ月強の時間で、FIFAランキング3位のベルギーとクロスゲームを演じたのである。結果はともかく試合内容は恥じるものではない。

 だとすれば、西野監督との契約を更新することにためらいはないだろう。かりに西野監督と別れを告げるとしても、後任は日本人にするべきである。外国人監督にチームを託す必然性が、僕には見当たらない。