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今も昔も「顕微鏡」は科学の世界への入り口としての大きな役割を果たしています。子どもたちの教育においても顕微鏡は非常に重要な道具なのですが、価格が高いために簡単に手に入れられない場合もあります。そんな問題を解決すべく開発された「Foldscope」は主に紙を材料にした顕微鏡で、従来よりも格段に安いコストで入手することができる顕微鏡です。

Foldscope - The Origami Paper Microscope by Foldscope - Manu Prakash & Jim Cybulski - Kickstarter

https://www.kickstarter.com/projects/276738145/foldscope-the-origami-paper-microscope

この「ペーパー顕微鏡」は、2014年にスタンフォード大学の生物物理学者マヌー・プラカシュ博士が開発していたもので、1個あたり100円以下で買うことができるもの。その顕微鏡が完成して、本格的に普及に向けた取り組みが進められています。

約50円で自作できる超激安「使い捨てペーパークラフト顕微鏡」が開発される - GIGAZINE



Foldscopeがどのような製品なのかは、以下のムービーなどを見るとわかるようになっています。

チューリップなどの花が生けられた花びん。この中に入っている水をスポイトで採取して……



プレートの上にポトリ。



そしてFoldscopeのレンズ部分をのぞき込むと……



水の中に住む微生物などを観察することが可能。これがFoldscopeの性能だとのこと。



低コストで顕微鏡を使えるFoldscopeは、本体の主要パーツが紙でできています。



台紙からパーツを外し、折り曲げながら組み立てていくと……



140倍の拡大が可能な顕微鏡が完成。説明には「Origami」という言葉が使われていますが、日本人が考える「折り紙」とは少しニュアンスが違う感じ。しかし、紙工作で顕微鏡ができるという意味では確かに折り紙といえるのかも。



実際にFoldscopeで観察した様子は以下のとおり。バクテリアを拡大したり……



微生物であるラッパムシ(Stentor)もハッキリ大きく見ることが可能。



アリの顎の観察もできます。



観察を行うときは、このように光を通して自分の目でのぞき込むほか、LED照明を使ってスマートフォンのカメラで撮影することも可能とのこと。



誰でも簡単に顕微鏡を使え、場所をほとんど選ばないのも便利なところ。開発チームは、「全ての人のための顕微鏡」というコンセプトでFoldscopeをデザインしたとのこと。



Foldscopeはすでに完成しており、開発チームは5万個の製品を世界中の学校などに配布するパイロットプログラムを実施済み。実際に使用したユーザーからは大きな反響が返ってきているようです。



FoldscopeはクラウドファンディングサイトのKickstarterで出資を募集中。目標金額の5万ドル(約550万円)に対し、記事作成時点では世界中の4000人以上の出資者から約18万5000ドル(約2100万円)の出資が集まっています。

記事作成時点では、20ドル(約2200円)の出資でFoldscopeが1個入った「Individual Foldscoper」を1セットゲットすることが可能。また、30ドル(約3300円)の出資だとFoldscope、レンズ、説明書、ナイロン袋が20個入っている「Foldscope Teacher」を1セットゲットできます。

セットの内容はこんな感じ。台紙(4)を組み立ててレンズ(3)を装着し、スライド(6)に対象物をのせて観察を行う仕組みになっています。



詳細な仕様。Foldscope本体は180×80×5mmで、わずか8グラムという軽量さ。対象物を140倍に拡大し、2ミクロンの物体を観察することが可能だそうです。観察の際には「直視」と「スマートフォンカメラでの撮影」と、「投影」の3パターンが可能とのこと。



なお、日本への発送にはプランに応じて19ドル(約2000円)からの送料が必要。出資の締め切りは日本時間で2016年12月22日(木)午前3時2分となっており、出荷時期は2017年8月ごろが予定されています。

Foldscope - The Origami Paper Microscope by Foldscope - Manu Prakash & Jim Cybulski - Kickstarter

https://www.kickstarter.com/projects/276738145/foldscope-the-origami-paper-microscope