後継者は誰になるのか?(画像は橋下徹オフィシャルサイトより)

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 大阪都構想の住民投票が反対多数という結果に終わり、記者会見で任期終了とともに政界からの引退を表明した橋下徹市長。

 市長退任まで半年あるため、橋下市長は記者会見で去就について問われたものの明言を避けている。知事になる以前はタレント弁護士としてお茶の間の人気を得ていただけに、市長退任後はテレビ業界を中心に活躍することが有力視されている。

 他方で、主君を失った維新の党と大阪維新の会は混乱が明らかに求心力を失うだろう。国政でも江田憲司代表が責任をとる形で代表を辞任し、後任として松野頼久議員が新代表に就任。

 地域政党である大阪維新の会は、橋下代表・松井一郎幹事長体制の続投は決まったが、それも市長退任までとの見方が強い。橋下・松井両氏はともに今年11月に知事・市長職の任期切れを迎える。

 そうなると、必然的に起こるのが橋下市長・松井知事の後継レースだ。大阪維新の会の新代表は議員団から選ばれるだろうが、市長と知事は市民の投票で選ばれるために知名度の高い候補を担ぐのではないかと見られる。大阪都構想が否決されれば松井知事も知事を退任するとしていたが、住民投票後は続投をにおわせる発言もしている。

 しかし、橋下市長が続投する可能性は薄く、大阪維新の会では市長の後継候補を急いで探さなければならない。市長選をめぐっては、すでにマック赤坂氏が立候補を表明しているほか、住民投票の反対派からは平松邦夫前市長や大阪都反対の論陣を張った藤井聡京都大学大学院教授の待望論が出ている。

橋下市長が応援演説をすれば誰でも当選できる

 大阪維新の会にとって、次の大阪市長選は党の威信に賭けても負けられない戦いとなる。それだけに勝算の高い候補を立ててくることが予想される。

 まず候補者として考えられるのは、2011年のW選で知事候補として浮上した人物たちだ。2011年のW選では、橋下知事が辞任して市長選に出馬したため、維新の会は勝てる知事候補を探した。知事候補にはたくさんの名前が浮上したが、なかでも有力だったのが東国原英夫前宮崎県知事や経済産業省OBでもあり大阪市特別顧問にも就任していた古賀茂明さんだった。そうした候補者が出馬を固辞したことから、松井幹事長が府議を辞職して出馬したという事情がある。

 先に挙げた2011年の知事選で名前が浮上した人物のほかにも、2015年の市長選に維新から出馬するのでは? と噂されている人物はいる。観測気球的な噂話も多い中で、大阪のマスコミ関係者の話を総合すると、「吉本興業所属のお笑い芸人のたむらけんじ氏やテレビ司会者の辛坊治郎氏」などが有力のようだ。

 橋下市長の後継に政治家経験のない人物の名前が挙がるところは、大阪維新の会らしいといえば大阪維新の会らしいが「『市長選で橋下さんが何回か応援演説をすれば、どんな候補でも当選できる』と囁かれるぐらい、橋下さんは大阪では人気です」とテレビ局関係者は言う。

 大阪都構想が否決されたことで橋下劇場は閉幕するとも報道されているが、まだ目は離せないようだ。

(取材・文/小川裕夫)