【図表1】SBI証券のNISA口座保有残高ランキング(8/22現在)。松井証券の株価ボードで表示(終値などは8/25現在)

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「NISA口座を開設したけれど、まだ株を買っていない」「NISA口座でまだ100万円の枠に達していない」という人も多いはず。そこで、今回は、NISA口座に合った長期戦略的な銘柄を、最近のネット証券のレポートから探した。

みんながNISA口座で保有している銘柄とは?

 NISA(少額投資非課税制度)口座で株を取引すれば、売却益や配当が非課税になり、有利な投資ができる。NISA口座の投資額は、年間で上限100万円まで。実際に取引する場合には、1単元が100万円近い1銘柄を持つより、10万、20万円といった銘柄に分けた方がリスクを分散できる。今回は、比較的安く買える銘柄を探してみよう。

 その前に、みんながNISA口座で保有しているのは、どんな銘柄が多いのか。SBI証券や楽天証券のサイトでは、NISA口座のランキングが公開されている。【図表1】は、SBI証券のNISA口座保有残高ランキングに登場した銘柄だ。楽天証券でもほぼ同じ銘柄がランクインしている。

 銘柄を見ると有名な大型株を持っている人が多いことがわかる。【図表1】にはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)も掲載されている。現在、現在東証1部の連結PBRは約1.3倍、連結予想PERは16倍弱だ。この数値よりも小さいか、大きいかが、株価が割安か割高かの目安になる。

 たとえば、三井物産(8031)は、PER8.1倍、PBR0.81倍と割安感があるが、武田薬品工業 (4502)はPERが43.8倍もある。年内中にNISA口座で新たに買う銘柄を考える時には、割安度もひとつの判断材料になるだろう。

20万円以下で買えるお手軽高配当銘柄

 安く買える好配当利回り株を紹介しているのが、楽天証券で公開されているレポート「20万円以下で買える好配当利回り株」(3分で分かる今日の投資戦略、7月8日)だ。

 景気敏感株から選ぶ「攻めの銘柄」として、東海東京フィナンシャルHLDG(8616)など6銘柄、景気の影響が比較的小さい業種から選ぶ「守りの銘柄」として、NTTドコモ(9437)など4銘柄が掲載されている。

 なお、このレポートでは銘柄のスクリーニング条件が掲載されているので、楽天証券やその他の証券会社のスクリーニングツールを利用して、最新情報による銘柄抽出が可能だ。

<スクリーニング条件>
・予想配当利回り 2.5%以上
・時価総額 1000億円以上
・売上高経常利益率 5%以上
・景気敏感セクター:証券、商社、不動産、自動車、銀行など
・景気の影響が小さいセクター:通信、医薬品、食品など
・最少売買単位 20万円以下

中間期末が近づき物色される高配当銘柄

 9月期末が近づき、高配当利回り銘柄が物色のテーマとして注目される時期がやってきた。SMBC日興証券のレポート「WeeklyOutlook」(2014年8月14日号)では、中間配当の高利回り企業が紹介されている。

 銘柄抽出の際には、減配リスク、流動性が低い銘柄を除外するために、「JPX日経400銘柄」「今期増収増益予想」の条件を追加。住友商事(8053、予想配当利回り3.73%)、平和(6412、予想配当利回り3.29%)など、10銘柄が紹介されている。

 また、SBI証券の公開サイト上のレポート「日本株投資戦略〜「ドコモ、三井物、リコー」などの主力株で狙う!好配当利回り投資!」(8月8日掲載)でも、9月末配当の高利回り銘柄が紹介されている。

 このレポートでは、「我が国を代表する企業でも年3%の高配当利回りを狙うことが可能」だという。「配当収入が安定する」という理由から「分散投資」を勧めている。

 分散投資の例として【図表2】のようなパッケージがある。5銘柄を1単元ずつ買っても約78万円。実は10万円台で買える大型株は多いことがわかる。これならNISA口座でも投資しやすい。

 なお、高配当銘柄を選ぶ際には注意点がある。高配当だけを狙うならば、さらに4〜7%台の銘柄もあるが、「その多くが不動産投資信託(REIT)であったり、中小型株。価格変動リスクは高くなる」という点が指摘されている。

【図表2】高配当銘柄セクター分散パッケージ例
銘柄名(コード) 株価 セクター 予想配当利回り
1 三井物産(8031) 1721.5円 総合商社 3.72%
2 NTTドコモ(9437) 1821.5円 通信サービス 3.29%
3 第一三共(4568) 1852.5円 ヘルスケア・医薬 3.24%
4 リコー(7752) 1142円 事務機器 2.98%
5 AOKIホールディングス(8214) 1297円 小売り 2.78%
※株価、配当利回りは8/25時点。売買単位はすべて100株

低ROE株は将来に期待が持てる!?

 「低ROE株に投資しよう」と言ったら、「今流行の高ROE株ではなく、低ROE株なのか!?」と違和感をもたれる方もいるかもしれない。

 そもそもROE(自己資本利益率=純利益÷株主資本)とは、自己資本がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを見る指標だ。株主重視の効率経営をしている企業ほど、ROEのパーセンテージが高い。

 一方、低ROE企業がROEを高めるには、利益額を増やすか、配当や自社株買いを行って自己資本額を減らすかのどちらかだ。今は低ROEでも、将来、高ROEに変化する可能性を秘めた銘柄を見つけられたら、株価が化けるかもしれない。

 そこで、株価が割安なキャッシュリッチ(現金を潤沢に保有する)企業に注目したのが、SBI証券のサイトで公開されているレポート「日本株投資戦略〜キャッシュリッチ企業を狙え!「アマダ」に続く企業は?〜」(7月4日掲載)。

 キャッシュリッチに加えて、低ROEな企業には、「増配や自社株買いを実施するよう、圧力がかかる可能性がある」とレポートは指摘する。将来の増配+株価上昇を狙った投資法だ。

 同様の狙いで、ROEの変化に着目したレポートもある(SMBC日興証券「Weekly Outlook」8月7日号)。その分析によれば「最も良好なパフォーマンスを得るのはROEが前期8%未満→当期8%を超える水準に改善した銘柄である」という。現在は低ROEだが今期、予想通り高ROEに変化すれば、株価上昇が狙える。

 なお、以上のレポートで紹介されている銘柄の一部を【図表3】に掲載した。さらに多くの銘柄や情報を知りたい場合には、各レポートの原本にアクセスしていただきたい。SBI証券、楽天証券はサイト上で公開、SMBC日興証券はログイン後の投資情報欄で読める。

【図表3】将来の上昇が期待される低ROE銘柄
銘柄名(コード) 株価 ROE PBR 特徴
1 応用地質(9755) 1896円 4.5% 0.81倍 キャッシュリッチ。PBR1倍未満
2 双葉電子工業(6986) 1670円 1.4% 0.58倍 キャッシュリッチ。PBR1倍未満
3 富士フイルムHD(4901) 3205円 4.2% 0.76倍 キャッシュリッチ。時価総額5000億円以上。
4 国際石油開発帝石(1605) 1506円 7.0% 0.79倍 キャッシュリッチ。時価総額5000億円以上。
5 三井金属鉱業(5706) 320円 2.4% 1.14倍 ROE今期改善予想
6 住友電気工業(5802) 1540円 5.9% 1.03倍 ROE今期改善予想
※株価、配当利回りは8/25時点。売買単位は三井金属工業のみ1000株で他はすべて100株

 また、ROEを使った投資法は、過去の記事「JPX日経400指数登場で注目度アップ!高ROE銘柄を買うために必要な工夫とは?」でも紹介しているので、銘柄探しに役立てていただきたい。

※本記事はネット証券の情報紹介を目的としており、個別銘柄を推奨するものではありません。

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